本当に英語力の問題?アメリカ人に対するコミュニケーション術

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先日、友人の紹介でアメリカ人女性と昼食を共にしてきました。ただ単に昼食を一緒に食べただけでして、別にデートでも何でもありませんが、この体験を在米一ヶ月の日本人の知人に話したところ、日本ではあまり考えられない思考とのことで少々驚かれました。おそらく在米期間が長くなるに連れ、私は自然とアメリカ人に対応した会話に慣れてきたのだと思います。今回はアメリカで営業をしたり、アメリカ人との会話の展開に苦労されている方のため、この体験を書こうと思います。

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アメリカに住むアジア系女性と初めて会うことに

私はミシガン州で活動するビジネスネットワークに最近興味を持つようになってきました。友人はすでに十分おり、楽しくやっておりますが、ビジネスでの繋がりというと、やはり別のコミュニティに所属した方が良さそうです。私のアメリカ人の友人がボランティアでアジア系アメリカ人のビジネスネットワークに参加しており、そのコミュニティで働く女性職員をFacebook上で紹介してきました。

「アメリカ生まれの人」か「移民してきた人」か

ちょうど先日、会社を休み真夏のミシガンを楽しむ予定だったので、彼女に連絡、昼食の段取りを済ませました。Facebook上の写真で確認をすると、相手がアジア系であることは判然としています。

ただし、気になるのは相手が「アメリカ人」なのかそれとも、移民してきたアジア系の人なのかです。なぜなら、アメリカ生まれのアメリカ人と、私のように成人してから外国から移ってきたアジア人の場合、コミュニケーションの取り方が異なる場合があるからです。

アメリカ生まれのアジア人ですと、白人の多いミシガン州でマイノリティとしての肩身の狭さを訴えてくる場合がありますし、アジア生まれのアジア人ですと、移民してきた年齢にもよりますが、自国の文化を引きずりながらアメリカに適応しなければいけない苦労を吐露する場合があります。

Facebook上の情報から推測

私は彼女の名前がNancyやJaneのような英語名でないことが気にかかりましたが、Facebookに男性の友達(らしき)人物たちとhugしている写真を多く載せていること、ニッコリと笑う笑顔、彼女の歯並びが良いことを理由に、おそらくアメリカ生まれではないかなと推測をつけました。アジア系の移民は子供がアメリカで生まれた場合、英語名での名前をつけ、ミドルネームに自国からの名前を残すケースが多く、”Michel Hiroshi Watanabe”のような英語名を持つことになります。

彼女の使用言語を見ると、英語、ベトナム語、フランス語となっており、おそらく両親はベトナムからの移民で彼女は英語を第一言語として育ち、成長過程でフランス語を学んだと推測できます。彼女はベトナム系アメリカ人であることはある程度はっきりしてきましたが、この場合、避けるべきトピックはベトナム戦争です。

避けるべきトピックを考える

私は「知らない間に誰かを傷つけているかもしれない?私の戦争”非”体験」の記事でうっかり、ベトナム戦争の遺児と思わしき方を傷つけたかもしれない経験があるので、同じ過ちを繰り返すわけにはいきません。また、基本的に宗教、戦争、政治といったイデオロギーに関わる話題も初対面のうちは避けた方が無難です。相手からのメッセージを見ると、

“What do you wanna eat for lunch?”

と尋ねてきており、正直 “Anything is fine”と答えました。私は別にベジタリアンでもありませんし、食べ物に宗教的制約があるわけでもありません。おそらく相手も同様だと踏んでいると、彼女も何でも食べるそうで、彼女の勧めもあり、Madison Heightsという街にある一軒のベトナム料理屋に決めました。

これが白人の若い女の子だったりすると、鳥と魚は食べる自称「ベジタリアン」だったりして話がややこしくなることが多いのですが、今回は相手がアジア系。宗教的制約による食べ物の影響がない相手のようでして、食べ物の趣味も合いそうです。同じアジア系でもインド系だと牛肉を食べないことが多いので、相手のバックグラウンドを推測&理解しながら、話を進めていくことはアメリカでは大変重要なのです。

初対面の日

握手から推測

当日、On timeで約束のベトナム料理店で待っていると、颯爽と駐車場に銀色の車が止まりました、中から出てきた女性はやっぱり彼女でして、ここは無難に握手。アメリカ人は一般的にしっかり握手してくる人が多いと言われていますが、私の握力測定からいって、彼女が生粋のアメリカ人である可能性は更に濃厚になりました。

席に着き、お互いの自己紹介を始めると、彼女の英語はアクセントがなく、やはりアメリカ生まれだとのことです。彼女はよどみなく自身のご両親について話を始め、ベトナムの政治体制から逃れてアメリカに別々の時期にやってきたボードピープルとのこと。このことから考えられるのは、決して彼女は裕福な家庭で育ったわけではなく、おそらく彼女のご両親は英語もままならず、彼女を育ててきたに違いありません。

言葉を選びながらの会話

アメリカでは”FOB (Fresh off the Boat)”という表現があり、ボートから抜けて出てきたフレッシュな奴、と難民を揶揄する言葉があるぐらいです。私もこの表現はImprov(※)の舞台で白人相手のいわゆる「アメリカ人」を罵倒する際にしか使ったことがなく、外国人の私がアメリカ人をバカにすることで聴衆の爆笑を取ったことがあります。私と違う意味でアメリカでマイノリティ出身の彼女に対して、言葉を選びながら話を進めます。

※ Improvは即興をベースにした漫才ゲームのようなものです。「アメリカ版の漫才?即興コメディ「Improv」の魅力と面白さ」の記事で詳しく紹介しています。

私は簡単に日本の大学を終えてアメリカの大学院を卒業し、ミシガン州に就職したことを伝えると、彼女は私の家族が私がアメリカナイズされていくことに問題を感じているかどうか、尋ねてきます。私の家族にとって私がアメリカにいることはそれほど問題視されていないので、”Not really”と正直に伝えると、彼女にとって彼女がアメリカに生まれ、英語を母国語として育ち、アメリカ文化に染まっていくことにご両親はかなりの焦りを感じていたとのこと。

移民の親が悩む子どもに対する教育

つまり、彼女はアメリカで育ち両親とはベトナム語を話しますが、学校では英語で勉強していきます。ベトナム語の会話は両親から学びますがあくまで話し言葉ですし、読み書きはベトナム語ではアルファベットを使うとはいえ、習得は難しくなっていきます。

彼女は大学でフランス語も勉強しある程度ベトナムの文化(ベトナムは以前フランスの植民地でした)に適応しようとしますが、メインは英語。自国の文化を失っていく愛娘に焦りを禁じ得ないご両親との軋轢は、時折彼女を苛立たせたようです。

私の周りでは日本人同士結婚したご夫婦がいくつかございます。彼らの悩みのひとつは、子どもの教育。アメリカでずっとやっていくのでしたら英語での教育で問題ありませんが、将来日本に帰るのでしたら、我が子を週末の日本語補習校に入れないといけません。補習校は一週間分のカリキュラムを一日で教えるため、負担が非常に大きく、多くの子供が嫌がると聞きます。

子供は決して「自然と」文化を学ぶのではなく、多くの葛藤を抱えたり、壁にぶつかったりしながら学んでいきます。よって、子供によって習熟度に差が出てくるのは当然でして、親は自分の我が子をアメリカ文化に軸足を置くべきか、日本文化にいつでも帰れるよう片足を突っ込みながらやっていくのかで悩むことになります。

彼女の場合、生まれ育った環境にベトナム語補習校がなかったこともあり、公的な機関でのベトナム文化の教育を受ける機会はありませんでした。しかし、ご両親がアメリカの教育を受けていなかったこともあり、アメリカナイズされていく我が子を受け入れることが難しかったことが推測できます。子供のいない私は彼女の話を聞きながら、私の友人のケースなど話し、理解を示しました。

食事の食べ方を観察

昼食が運ばれてきました。私達はベトナム料理店ということもあり、お互い麺類を頼んだのですが、ここでの注意点はおそらく、彼女は麺をすすらないのではないかということです。アメリカで育ちの彼女は立ち居振る舞いも非常にアメリカナイズされており、ニッコリ返答したり、身振り手振りのジェスチャーもアメリカンです。

私は麺が運ばれると、わざと間をおき、彼女がどう、食べるのか注視しました。私の勘は当たりました。彼女は器用に箸を使いながらも、音を立てずに麺を口に運び、啜りません。アメリカに来てから麺をすすることを止めた私も、同様に倣いました。

最後はアメリカ流ハグで別れる

お互いの出自、受けた教育、仕事のことなどを話し、次回のイベントに参加することを約束しました。昼食を終えてみると、新しい人に出会えた歓びと満足が共有できて、お互いにとって大変有意義な時間でした。レストランを出ると、彼女はアメリカ流にHugで別れをしたいといい、私も応じました。

hugの時間は一瞬でこれは友達を意味します。日本では友人たちと抱き合わないのでちょっと分かりにくいかもしれませんが、hugの親密度は時間に比例します。時間が長ければ長いほど、特別な感情を持たれていることになります。

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それは本当に「英語ができないから」か?

在米経験の長い私は時折、アメリカ人の友人ができないと悩んでいる日本人にお会いします。皆さん、その原因を「英語ができないから」とハンを押したようにご自身の英語力に原因を見出すのですが、私の見解は時折違います。

もしかしたら、アメリカ全般の理解度が低いがゆえに、会話を楽しく展開できていないのかもしれません。確かに英語で会話を続けていくにはある程度の英語力は不可欠です。しかし、英語だけできても実際の会話の内容が楽しいものでない限り、人はまた自分に会ってくれることはないでしょう(アメリカ人からすれば、わざわざ外国人の私達と付き合わなくても良いという事情もある)。

ビジネスの関係では利益を生み出すというお互いの目的がはっきりしているため、会話が楽しくなくてもアポは取れます。しかし、会社外の関係では金銭的な利益という目的から離れるため、より自身の魅力が問われることになります。

英語力はネタで補える

私は英語でのコミュニケーションの本質は、鮨の握り合いだと思っています。寿司を握る技術は英語力、ネタは話者のトピックです。英語が母国語の人は寿司を握る技術にそれほど問題は生じませんが、英語を母国語としていない私達は、握る際ご飯をこぼしたり、寿司ネタを大きめに切ってしまうような不手際をしてしまうでしょう。ご飯がポロポロとこぼれてしまうかもしれません。

しかし、その場合はネタで勝負することで、美味しさを演出することができます。普段のアメリカ人同士の会話にはでてこない、視点の違い、考え、自身の体験を提示し、会話を楽しく演出することが大切です。

また相手が自分の知らないネタを提示してきた場合、自分にある程度の知識、経験がないと消化不良を起こしてしまいます。一切知らないことを相手に伝え、基本的なことを聞きながら会話を進めることもできますが、話は展開しにくくなる可能性が高いです。

「英語」「英語」と躍起になる日本のメディアを見たりすると、コミュニケーションは技術だけではないのに、と私はため息を付いてしまいます。ネタも大切であることにお気づきになられた方は、海外で多くの友達に恵まれることでしょう。ただし寿司ですから、話者が手を清潔にしているなどのエチケットやマナーが守れていることは最低必須条件になります。

最後に

上記のことを踏まえ、ネタのバラエティの強化、鮮度や美味しさを向上させるため、私は英語の勉強だけでなく、アメリカの歴史、社会、経済、教育、政治、宗教などについての本を読むことを欠かしません。

今回は会話にあまり宗教が絡んできませんでしたが、人によっては非常に信心深いアメリカ人がいます。そういった方と話をうまく展開させ、相手の気分を害さないためには、相手のバックグラウンドに関するベーシックな知識が不可欠です。これからアメリカで生活される方、ビジネスを行う方の参考になれば幸いです。

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命かげろう
命かげろう

初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。