言葉はできなくても海外で生活はできる?海外生活で必要な語学力について
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私が年末年始の休みを利用して日本に一時帰国している間、日本で古い友人と会食する機会がありました。そこでひとりの友人より、現在仕事の都合で海外で一年間研修を受けることを検討しているが、一体どのくらいの語学力があればいいのか、という質問を受けたのですが、これが回答に難しい質問でした。「英語なんてぶっつけでできるよ」という人もいれば、語学力不足で敢え無く退学していった留学生も数多くおります。そこで今回は在米経験17年の私が考える海外生活で必要な語学力について述べます。
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まったく語学を勉強しないで海外に行った場合
1年以上の長い生活を英語圏でする場合、日本の義務教育で行われる中学高校の英語レベルの知識、単語は必須でしょう。もし身につけないで離日した場合、これからお話しに挙がる方のような状態になると思います。
私の知人で、30歳前後の頃、とある留学エージェントを通じて、某東ヨーロッパの国に留学をした人がおります。彼女は英語で十分と考え、一切の語学の準備をせず留学をしたのですが、半年後に引きこもり同然になってしまいました。原因はいろいろと考えられるのですが、やはり英語圏ではないのに英語で押し通そうとすることにムリがあること、また当人に現地語を習得する気が一切ないこと。最初から他力本願の傾向があり、自分で手続をやることを面倒臭がったことが挙げられるかと思います。
当時、すでに渡米をしていた私の元に電話で相談があったのですが、彼女の数多い悩みのひとつが、毎月のインターネットの代金でした。その国は日本人からすると全般的に物価は安いが、なぜかインターネットの代金だけは、日本円換算で一万円前後もしており、どうしてもその理由が解せない。私にどうしてなのか、質問があったのですが、私はその国のインターネット料金の相場を知りませんし、答えようがありませんでした。彼女いわく、毎月送られてくる請求書に書かれたアラビア数字の金額を機械的に銀行で支払っているだけで、サービス内容を知らないとのこと。現地にいる彼女ですら知らないのですから、私には推測しかできません。しつこく聞いていくるので、幾つかの可能性を羅列しました。
- インターネットの代金そのものがその国では高いのかもしれない。
- もしかしたら、不必要なサービスに加入しているのかもしれない。
- 実はネットが定額制ではなく、ダウンロードのデータ量に応じた従量制なのかもしれない。
といった理由が考えられますが、真相は藪の中。結局は誰かがそのプロパイダーに現地語で問い合わせなければいけません。彼女はそれすら、私に頼んでくる始末でして、私は呆れました。彼女としては溺れる者は藁をも掴む心境だったのでしょうが、だいたい、誰が最初の契約をしたのか、不思議です。
「いったい誰がネット回線の契約をしたの?」と私が尋ねると、相手はなぜか沈黙。その沈黙でハッとしたのですが、恐らく彼女は先に留学をしていた日本人か誰かに契約代行を依頼したのではないだろうか。少なくとも彼女自身が契約をしていないことは間違いありません。実はこれ、留学にはつきものの「定番」トラブルでして、現地の事情を知らず、言葉ができないと、生活のためのインフラのセットアップを他人に依頼しないといけないことが背景にあります(多くの場合、現地に先にいる日本人居住者になる)。
そこで起きるのが、契約後の勘違い、実際より思った金額より高い請求が来た、契約内容を変えたい、依頼主側が頼りすぎて面倒がられたなどのトラブル。日本でも同じでしょうが、携帯電話のプランなどはアメリカでも非常に複雑怪奇でして、どのプロパイダーのどのプランが一番自分に合ったプランなのか、綿密なリサーチをしないと分かりにくい状況になっています。くわえて広大なアメリカ大陸ゆえに、すべてのプロパイダーの携帯電話が均一に電波を拾うわけではないので、住む場所によっても異なるのが実情です。おそらく日本でも、家族以外の他人に積極的に携帯電話の契約を手伝ってあげる人は珍しいのではないでしょうか。
言葉はできなくても、海外で「生活は」できる
ここで見えてくる現実は、海外では言葉ができなくても、「生活は」できるということです。実際、彼女は現地語を話さず、6ヶ月間生き延びてきたのですから。現在ではよっぽど発展途上の国でなければ、スーパーマーケットという色々な食品、雑貨を扱ったお店が日常生活に必要なものを取り揃えて売っています。支払いもレジに並び、クレジットカードで支払いをすませば、簡単に支払いが行われます。アメリカでもその際、必要な英語表現は”Thank you”のみ。一切会話を成立させることなく、ショッピングを終え、自宅に戻ればインターネットを通じてYouTubeなどで、豊富な日本のコンテンツに浸ることができます。
上記で私がインターネットの代金が高い理由のひとつに、データ量に応じた従量制なのかもしれないと、挙げていますが、その理由は、海外で言葉ができないと、どうしても日本のコンテンツをインターネットで楽しむことしか楽しみを見い出すことができず、ネットで一日中遊んでいる方も多いからです。東ヨーロッパに留学した彼女は現地語ができなかったですから、一日中、ネットで日本語のチャット、Youtubeを観ていた可能性が高く、そのことがネットの代金を押し上げていたのかもしれません。実際、彼女は「こんな生活は留学じゃない!」と仕切りにこぼしておりました。
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留学する場合は、テストの点数をクリア必須
よって、こういった事態を避ける上で大きな指標となるのが米国留学の場合、必須なTOEFLです。TOEFLの点数をクリアすることは多くの留学生にとって大きな目標ですが、日本にいる間にクリアしておきたいものです。なぜなら、現地に来てから、寮の契約、銀行口座の開設、携帯電話の契約、学生証の取得、場合によってはSocial Security Numberの取得、State ID(その州に住んでいるというID)の取得、学内メールアドレスの登録、シラバスを読んで授業の登録と、怒涛の手続きが待ち構えているからです。これをすべて他人が代行してくれると期待するのは大きな間違いです。
なぜなら、こういった手続きの多くが、「本人」でないと登録できず、他人が代わって契約ないし登録することは不可能だからです。ましてや銀行口座の開設には金銭が絡みますから、他人に代行してもらい、自分の口座にいくら振り込むのか、第三者に伝えるのは愚行です。
海外在住日本人のコミュニティは狭い
私が聞いた話ですが、とある日本人が渡米をしてきて、配偶者に内緒で銀行口座を開設しようと依頼してきた。理由は自分のメインの口座のステートメントは奥方が勝手に開封するので、自分は「ウラ」口座を作り、そこから自由にお金を使おうとのこと。最初は依頼された方も断ったのですが、あまりのしつこさに、銀行に赴くと、相手はかなりの金額をその口座に振り込み、こんなことに駆り出す相手への軽蔑の念を禁じ得なかったそうです。
海外では日本人のコミュニティが狭いので、表面上お互いナイスに振る舞ってくれます。しかし、その実、影ではうわさ話が多く、神経をすり減らす社会でもあります。現地語のできない日本人海外居住者が、日本人コミュニティを放り出された場合、生活を楽しむ術は酒か日本のテレビ放送かインターネットくらいしかありません。よって、どう考えても、現地語(アメリカでは英語の場合が多い)ができるに越したことはないと思います。
これから海外生活をなさる方へ
このTHE RYUGAKUを拝見されている読者の方には、これから留学をしたり海外生活をされる方が多いと推察します。結局、どの程度現地語ができればいいのかという、問いの答えは、本人が「どの程度の海外生活のQualityを求めているのか」に依ります。結局、言葉ができなくても、現地の日本人を頼ったり、お金を使えば、生活をスタートすることができます。しかしその反面、いくら長くいても現地の友達ができなかったり、どこかしら海外にいても「寂しい」生活になりがちです。よって、ご自身が自分の求める海外生活は何なのかを自問して、準備を進められると良いでしょう。
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この記事を書いた人
初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。