タイの地方で新年に起きた悲惨な交通事故。そこから考えるタイの交通事情とは?
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タイの交通事情は全体を通してまだ発展しているとは言えません。地方へ向かう際などに余裕がある場合は飛行機の国内線を利用してあっという間に目的地まで向かうことができますが、一般市民やバックパッカーの足はまだまだツアーバスや鉄道、ロットゥー(乗り合いバン)などが主流です。そんな中、2017年の新年明けにロットゥーと乗用車合わせて二台の衝突事故が起こり、合計25名の死者が出たことで大きく話題になりました。今回はタイで利用する移動手段の中には決して安全が保障されている訳ではない乗り物があると言う事情をお話しします。
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バンコク〜ヂャンタブリー間の国道で起きた悲惨な衝突事故
2017年1月2日の午後14時頃、バンコク〜ヂャンタブリー間の幹線道路を移動する乗り合いバン(通称:ロットゥー)とピックアップトラックの衝突事故が起こりました。
この事故で乗客合わせて25名の死者(生存者2名)が出る悲惨な結果になりました。そしてこれによりタイの交通事故の背景にある問題点が浮き彫りになることとなりました。
事故の詳細
その悲惨な事故はバンコクから地方へ向かう幹線道路の中間地点辺りで起こりました。
事故当時、荷台部分にも多くの人数を乗せたピックアップトラックがスピードを出して走っていました。そして途中、信号のない脇道から乗客を満員まで乗せたロットゥーが対向車の確認をせずに飛び出して来ました。
そのとき、ピックアップトラック側もスピードを出していたために避けることができずに衝突、ロットゥー側はLPGガス燃料も積んでいたため、現場では大きな火の手が上がりました。
この事故では、まずロットゥー側に非があったと伝えられています。バンコク〜ヂャンタブリー間は約250km程の距離があり往復でも7時間ほどかかります。そしてドライバーはこの経路をほぼ休まず5往復もしていたために、疲労による不注意で事故を起こしたと報じられています。
年末年始はバンコクから地方の実家に帰る人や、帰省を終えて再びバンコクに戻る人など、長距離バスやロットゥーはフル稼働になる時期です。そのため、ドライバーにとっては一番の稼ぎ時になります。
ほんの少しの仮眠で何度も往復していたドライバーはすでに疲労のピークだったのでしょう。そして本来は荷物を積むための荷台部分に多くの人数を乗せたピックアップトラック側にも問題があったとも言えます。
その二台が衝突し最終的に多くの命を巻き込む結果となってしまいました。
タイの地方で交通事故が絶えない理由とは?
タイの地方道路はきちんと舗装はされていますが、幹線道路でさえ踏切や信号も殆ど無く、街灯も少なかったり故障していたりなどでドライバーにとって決して安全と言える環境にはなっていません。
加えて地方ではまだ治安が良いとは言えないので、夜間は運送業や長距離バスのような車以外で走る人たちはあまりいません。そのため、地方ではほぼ毎日のように不注意や速度オーバーからの事故が相次ぎ、踏切では鉄道との接触事故も多く起こります。
しかし一番の問題になっているのがドライバーの質と言われています。残念ながらタイではドライバーによる薬物使用や飲酒運転などの問題が多くあります。何故なら刑務所から出所後にタクシーやバス、ロットゥーなどのドライバーになる者が多くいるからです。
これは雇用側が面接時に経歴を気にしないという場合や、あまりチェックをしない会社も多いからです。そのため、こういったドライバーの中には再び薬物に手を染め、あろうことかそのまま乗客を乗せて運転する者も居ます。
そしてバンコク市内でそのまま運転をして、多くの車を巻き込み事故を起こすことが多いというのが現状です。
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重要な車両点検を怠る一部のドライバーも?
飲酒や薬物の使用がなくとも、車の整備を怠り重要な事故に繋がる場合も多くあります。
同じタイヤを10年以上使用し納車後一度も整備をした事ことがなく走行中に外れて大事故になるなど、日本ではまず考えられないような事故が多く起こります。さらにロットゥーは通常14人を最大定員としていますが、それ以上に無理に乗せたりという場合もあります。
そういった状況で、バンコクから地方都市まで数百キロの距離を速度オーバーで走行しているのですから、事故が起こる可能性は大きいと言えるでしょう。車についてもタイの車検制度が厳しくないために、このような整備不良の車でも走ることができてしまう、という現状があります。
タイの地方への移動手段はどうすればいい?
タイで最も死者が多く出る乗り物がロットゥーであると言われています。ロットゥーは多少割高ですがバスより速く便利であるため、バンコク郊外でも良く使われている交通手段と言えます。
しかし、仕事に対するプロ意識が低く乗客の命を重く考えないドライバーがいるのも事実です。こういった危険な車に乗ってしまったために、年に1度の里帰りで命を落とすという、家族にとってはいたたまれない結果になる場合もあります。
年末年始に加えて、ソンクラーンというタイ正月の時期は1年でも多くの事故が起こる時期になります。整備不良だけではなく、地方では親戚の家でお酒を飲んだ帰りに、そのまま運転をしてしまうなど飲酒運転による事故も非常に多くなっています。
警察による取り締まりがあるとはいえ、それで成果を挙げられるのはその一時期だけであり、車を運転する者の意識を根本的に改善しなければこういった事故が無くなることはありません。
まとめ
タイの年末年始や連休などに外国人でバスやロットゥーに乗り地方へショートトリップに行く人々も多く見られます。確かにこういった交通手段は飛行機よりずっと手軽で何より安く済むので良く利用するという方もいるでしょう。
しかし覚えておいて欲しいのが、こういった交通手段には自身がどれだけ気をつけても防げない事故が起こり得る可能性があるということです。
留学生の皆さまもタイでちょっとした旅行を楽しむ場合には、一番にコストではなくまず何よりも「安全な方法で移動をする」ということを忘れずに計画を立て、楽しく旅行ができるようにして下さい。
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この記事を書いた人
タイ在住。タイの南部からバンコクに引っ越してきました。お寺巡りとプラクルアン集めが趣味。休暇はタイの南の島でシュノーケリングするのがお決まりの過ごし方。