アメリカ版の漫才?即興コメディ「Improv」の魅力と面白さ
20441
View
スポンサーリンク
私はアメリカのコメディである「Improvisation(通称:Improv)」をやり始めて3年になります。今回は「Improvとは何か」についてご紹介致します。
スポンサーリンク
私がアメリカのコメディであるImprovisation(即興という意味)をやり始めたきっかけはすでに『日本人がアメリカで漫才?同僚に「私の英語のせい」で仕事ができないと言われた日』の記事でご紹介しました。
今回は日本人からよく聞かれる質問、「Improvってなにさ?」についてお答えします。
実を言うとImprovを定義することは難しいです。Improvの中には、様々なゲームがあり、そのゲーム一つ一つにルールがあります。そのため、一概に表すことができません。
ただし、私流に解釈すると、「即興をベースにした漫才ゲーム」とでもいいましょうか、即興ゆえにどう展開するか演っている人間にも分からないところが大きな魅力になっています。
Improvのゲーム「Google Translate」
今回は、数あるゲームの中でも私の大好きなゲームの一つ「Google Translate」を例に取り説明していきます。
Google Translateのサイトで、何か文章を入力して他の言語に訳し、それを元の言語に訳し直すと全く意味の違うセンテンスになることはままあるものです。この現象をImprovに当てはめたものが、Google Translateです。
Google Translateのルール
1.まずは1組(2人)が即興コント:文章の入力
まず演技者を6人募り、二人ペアで3組(A組、B組、C組とします)に分かれます。A組は室外に退去。B組がまず即興でコントを行います。即興コントは、観客から何かのヒント(今日の晩御飯でもいいですし、今日言ったNiceな言葉でも構いません)をもらい、そこから繰り広げていきます。C組はこのコントを見守ります。
2.別の1組が同じ内容を別言語(のフリ)でコント:他の言語に翻訳
B組のコントが終わると、室外のA組が部屋に戻ります。見守っていたC組は、観客から募った言語(イタリア語でもいいですし日本語でも構いません)で話すフリをしながら、同じ身振り動作でB組のコントの再現を試みます。室外にいたA組は、最初の演者であるB組が何をしていたのか推測しながら見物します。
3.最後の1組が英語でコント:元の言語に訳し直す
最後に、室外にいたA組が英語で、最初のコントの再現を試みて、観客はその「違い」を楽しむことになります。
スポンサーリンク
実際に私がやったGoogle Translate
この間、私の受講しているImprovの授業でこのゲームをやったのですが、私以外の受講生にこのゲームの経験がなかったため、私が最初のグループでコントを行いました。
私とこのゲームの相方であるNick(男性)が貰ったヒントは「Desert(砂漠)」。もらったヒントが砂漠ですし、私に続くグループは私たちの演技の再現を試みなければいけません。よって、身振り手振りが大きいほうがこのゲームは面白みが増します。
そこで、私は突然、床にうつ伏せになり、喉をかきむしりながら、大声で
Honey! I am sorry, it was my mistake. We should not have come to the desert for honeymoon!
と叫びました。
英語では恋人や伴侶にしかHoneyとは呼びません。このシチュエーションを投げかけたことにより、私の相方のNickは「砂漠に新婚旅行中の私の新妻」になりました。
Nickも心得たもので、すぐに怪しげに腰をフリ、”That’s why I told you, I did not want to come here!” と応じます。
私は喉をかきむしりながら、”You have got water, please give me!”と水を新妻に請うのですが、そこで彼は私にゲームを仕掛けてきました。
If you want this, say I am beautiful!
彼はペットボトルを持っている演技をしながら、私に「私のことをbeautifulだと言え」と強制しているのです。
普通の夫婦だったらすぐに言うでしょうが、ここはコメディ。私はぐっと言葉を飲み込み、”Well… no… honey, please don’t let me say it”と拒みます。
案の定、Nickは私の言葉を聞くやいなや、ペットボトルの水を自分自身の体にかけ、”You do not want to waste this water, do you?”と脅してきます。
私は這いつくばりながら彼の体に駆け寄り、この水をなめていいかと聞きながら舌を出し、彼の体を舐めるフリをするのですが、彼(ここでは彼女です)は”Only if you say I am beautiful”とさらに強要。
なかなか言わない私の前で水を飲んだり、足蹴にしたり首を絞めたりとコントがつづき、結局、激怒した新妻がペットボトルを砂漠に放り投げこのコントは終わりました。
2組目のコント
続く第二グループはこのコントの再現を試みなければいけません。
室外にいた二人の前で、第二グループはスペイン語の真似をしながらコントをはじめました。スペイン語はアメリカ人の教育の中で最も一般的な外国語だけあり、第2グループの二人はかなり上手なスペイン語(ただしデタラメ)を駆使し、爆笑をさらっておりました。
3組目のコント
で、最後に第三グループは、この場面の再現を英語で試みます。
私が寝転がって喉をかきむしっていたため、容易に水が欲しい場面だとわかったのでしょう。ただし、場面は砂漠ではなく、山の山頂に変わっておりました。
また、二人の関係もハネムーンの新婚夫婦ではなく、友人同士で山頂に登った男二人になっており、Nickの必死の新妻演技もどこかで抜け落ちたようです。私の新妻の体にかかった水を舐める演技も、必死に友人にすがる男の姿に変わり、気色悪さが払拭されました。
最後に友人に水をやりたくない男が、ペットボトルを山の頂に投げゲーム終了。かなりよくできた再現性と、再現できなかった部分の相違に教室内は爆笑に包まれました。
即興ゆえの大変さが面白い
これは、Improvのゲームの一例です。実際には山のようにゲームがあり、ひとつひとつにルールがあります。
文章にして書くと結構まとまったコントのようになりますが、実際演ってみると即興ゆえに、どう展開するのか分からず、演者としては頭のなかは次の場面展開を考えるため、高速回転中になります。
くわえて私はnativeのEnglish Speakerではないため、次の場面展開が頭に浮かんでも、自分の限られた英語力では実行できず、頭のなかで却下になることも多いのです。
事実、今回も私の頭のなかでは「沙漠」という言葉を聞いた時、サハラ砂漠が連想されました。ただし、問題は、サハラ砂漠を英語で何というのか?
ご存知のように、日本語ではカタカナで「サハラ」といっても、英語の発音では違うことはままあるものです。私の発音の失敗で相方のNickが「?」となり間が不自然に空くのは避けたいという思惑もあり、私の頭に浮かんだ「サハラ砂漠で新婚旅行」という案は、単純に「砂漠で新婚旅行」に変更になった裏事情がございます。
さらに相手の出方にもよります。
今回は相方のNickがうまく私の言葉に反応して場面展開に応じてくれましたが、私の英語に慣れていない相方ですと話が噛み合わず、双方の思惑はすれ違いを起こすことになります。
私自身、100%相方の英語が完全にいつも理解できるとは限りませんので、緊張はマックスになります。
自分の知らない「英語」を痛感
また日常の生活では次の場面展開を予想することは簡単ですが、このImprovではコメディゆえに、今回のように
砂漠にわざわざハネムーンに来た新婚カップルが遭難、オアシスを発見するも、そこは実は油田で水と誤って原油を飲み込み、腹痛を起こす
という場面展開になる可能性もなくはないのです。
よって、自分の知っている英語の知識の範囲を越えた場面展開となると非常に難しくなるのです。相方が私の知らない単語を駆使し、攻勢を仕掛けてくることもままあります。私はImprovをやるたびに自分の英語力のなさを痛感します。
以前、医者のシーンで医者にならざるを得なかったのですが「医者らしい英語表現とは何なのか」、頭のなかで過去の記憶を引きずり出そうと思ったのですが、医者に会うことは年一回の健康診断だけの私にはかなり厳しい要求でした。考えてみると
・図書館司書
・スターバックスのバリスタ
・学校の先生
・警察官
・飲み屋の親父
・レストランのウェイトレス
といった様々な職業の人たちそれぞれに、自己を表現するセリフが日本でもございます。(ウェイトレスだったら、「いらっしゃいませ~。ご注文は?」など)
では英語では何と言ったらいいのか。
私はImprovを始めて、日常の中で周囲の人達の些細な英語表現にもっと注意を払うようになりました。このことがImprovを始めて自分にとって一番の効能だったかもしれません。
スポンサーリンク
このシリーズのほかの記事
短期留学でTOEIC300点アップ!
留学エージェントの勤務経験者が「短期留学でもTOEIC300点UP!語学学校の効果を高める秘訣」についてeBookで全て公開しました。
- 語学留学を成功させる方法
- 語学学校の仕組み
- 日本でやるべき準備
- 留学生活で使える英語
- 日本でやれる英語の勉強方法
これらの情報を期間限定で無料でプレンゼントしています。
アメリカの人気記事
英語の人気記事
この記事に関するキーワード
この記事を書いた人
初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。