夢は日韓仏の食文化の架け橋的存在になることーーフランス・パリ第4大学(ソルボンヌ大学)修士課程留学生インタビュー

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今回の留学経験者インタビューは、フランス政府給費留学生としてパリ第4大学(ソルボンヌ大学)修士課程に在籍しながら、ブログ「パリノメモ」の運用をはじめ、フリーで執筆、翻訳、通訳、コンサル業などを行うジュロウさん。日韓ハーフとして生まれ、幼い頃から韓国と日本を行き来し、ワーホリ〜語学留学の経験を経て、現在に至るまでのお話を2回に分けてお伝えします。第2回目の本記事では、フランスでのワイナリー研修体験から現在、将来の夢についてのお話をお届けします。

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フランスで所持金が底を付き、全く身動きが取れない状態に

フランスのワイナリーでの研修中のジュロウさん

(↑フランスのワイナリーで研修中のジュロウさん)

ーー前回の記事では、生い立ちから大学時代のモロッコへのフランス留学についてお聞きしましたが、そもそも、何故ジュロウさんはフランスに行こうと思ったのでしょうか?

元々、韓国の美食文化の中で育った影響なのか、子供の頃から飲食に興味がありました。その延長で日本の大学でも「飲食文化」に関する研究を行っていたのですが、フランスは国と国民が一体となって「食」を「文化」として発展させている点に興味を持ちました。

ーー なるほど。それでフランスなのですね。モロッコでの語学留学を経てフランスでのワイナリー研修が始まるのですが、どのようなものだったのですか?

これがまた色々大変でして(笑)。まず、研修させてもらえるワイナリーを探すのに苦労しました。元々コネがない状態で飛び込みでいろんなワイナリーに直接お願いしに行ったのですが、そう簡単に研修できる場所が見つかるはずもなく、気づいたら食べるのにも苦労するくらい資金が底をついていて、身動きが取れない状態に陥りました。

結局、大学の恩師のコネクションで人を辿っていき、2箇所のワイナリーで研修をすることができたのですが、この2回の体験が全く違うものでした。最初に研修を受けたワイナリーでは、ワインに使うぶどうの収穫の手伝いをしたのですが、ぶどうの収穫は祭りのようなもので、みんながワインを飲みながら陽気に歌ったりして楽しく作業をしているんですよ。

これがいわゆるワイナリーでの研修なのかと思っていたら、2回目に研修を受けたワイナリーでは苗を植えるための穴をひたすら掘り続けたり、枝や石をひたすら運び続けたりと、地味な肉体労働ばかりでした。体力的にはキツイ部分もあったのですが、ワイン文化の晴れやかの側面だけでなく、日常の地道な努力の実態も知ることができたので本当にいい経験となりました。

その後、日本の大学に戻ってからビオワイン(有機ワイン)についての研究をしたのですが、この経験についても研究内容に盛り込むことができました。

フランス政府給費留学制度の奨学金審査に合格

2016年度フランス政府給費留学生の祝賀会の様子
Campus France フランス政府留学局-日本支局 Facebook

ーー 1年間の休学でさまざまな海外経験を経て日本の大学を卒業し、就職せずにソルボンヌ大学修士課程に挑戦されましたが、不安や迷いはなかったのですか?

休学期間を終えて日本の大学に戻ってから、就活シーズンが始まったのですが、自分の中では「もう一度フランスに行って、自分の実力を試したい」という気持ちを抑えることができなくて、就活を放棄してフランスの大学院に挑戦することを決めたんですね。

そうは決めたものの、就活という大きな流れに逆らうこととか、周りがどんどん就職が決まっていく中で焦りはありました。でも、やっぱり「ここでやらなきゃ一生後悔する」という気持ちの方が勝っていたのと、渡仏の日程が近づいてきて「やるしかない!」という状態に持って行きました。

自分と同じように、留学に挑戦しようと思って悩んでいる人に向けて前向きなメッセージを発信したいという信念が、ブログを続けるモチベーションのひとつになっています。

ーー 今回のフランス・ソルボンヌ大学修士課程への留学はフランス政府給費留学生としての留学となるのですが、どのようにして奨学生としての切符を掴んだのでしょうか?

まず、今回フランスへ留学するのに際して、奨学金は絶対に必要な条件だというのがありました。その理由は、休学中のフランスでのワイナリー研修の際に、お金がなくて身動きが取れなくなった経験が大きかったからです。お金がないと学べるものも学べないということを身をもって体験したので。

そこで、まずは奨学金について徹底的に調べました。するといろんな団体が奨学金制度を実施しているのが分かり、片っ端から挑戦していきました。最終的にフランス政府給費留学制度の奨学金の審査に合格することができたのです。

そのノウハウはnoteにて販売しておりますので、興味のある方は参考にされてみてください。

ーー ソルボンヌ大学ではどのような研究を行うのですか?

ビオ食品についての研究を行う予定です。ビオ食品とは、所謂オーガニック(有機)食品のことです。自分は生産側ではなく、消費者側の視点での研究を行います。

フランスではビオ食品の人気が非常に高く、街中でもビオ食品を購入できる場所が増えております。そんな中で「なぜ我々はビオ食品を選ぶのか?」「ビオ食品ムーブメントの要因」といった、マーケティング的な側面や、消費動向などを主に研究します。

日本でもオーガニック食品は近年人気ですが、その理由としては健康問題や食の安全といった側面がクローズアップされがちです。でも、それがフランスだと、そのような要因がありつつも、単純に「ビオ食品の方が美味しいから選ぶ」という理由があって。このあたりの違いなどを研究できればと思っています。

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ブログは自分自身の宣伝ツール

作業をするジュロウさん

(↑作業中のジュロウさん。作業中は基本的にワインで集中力を上げているとのこと。)

ーー 続いて現在のお仕事についてお聞きします。ジュロウさんはブログ「パリノメモ」の運用を中心として、フリーで執筆、翻訳、通訳、コンサル業などさまざまな仕事をされておりますが、ブログについては、どのような経緯で始めようと思ったのでしょうか?

ブログを始めた経緯については、こちらに詳細が書いてありますが、先ほどお話したワイナリー研修の際、資金が尽きて身動きが取れなくなった経験から、在宅でも収益を上げられる術を身につけることができれば良いなというのがきっかけのひとつでした。

同時に、せっかく留学をするのだから、その留学活動自体をコンテンツ化し販売、収益を上げ、その収益を留学活動に充てることができれば、新しい留学の形を作ることができるのではないか?と考え、自分の体験をベースにした留学・旅行・フランス情報に特化したブログを立ち上げることにしました。

ーー ブログを通じて広がった世界はありますか?

まず、ブログ自体が自分自身の宣伝ツールとして非常に大きな役割を果たすことがわかりました。ブログを読んだ方から、外部メディアへの執筆依頼や翻訳の依頼を頂いたり、先日もパリでお会いした日本人の方が偶然ブログの読者で(笑)、スムースに打ち解けることができました。

また、徐々にではありますが、noteの有料コンテンツも購入してくださる方も増えてきております。この調子でコンテンツを拡充しつつ、仕事や次のステップに進むことができればと考えております。

ーー 将来の夢についてお聞かせください。

将来は日韓とフランスの食文化の架け橋になりたいと考えています。具体的には日本、もしくは韓国の企業が食品関係の事業でフランスに進出する際のコンサル業をしたいです。

例えば、先日ブログでも紹介したのですが、フランス・ブルターニュ地方に、カツオブシを製造する工場が新設されたんですね。もちろん、これはフランスやヨーロッパにある日本食料理店に供給するための工場であって、必ずしもフランス人が「カツオブシ大好き!」ということではないのですが、ただ、食の文化的な側面から見ると非常に大きな出来事だと思っています。

これまで「カツオブシ」というもの自体がほとんど無い文化圏に、新しい文化をインストールしたんですよ。個人的には日仏の食文化の歴史に残る重要な出来事だと思っています。自分もこういったことに関わって行きたいと思っているんですよね。

ーー 最後にメッセージをお願いします。

留学メディアである「THE RYUGAKU」さんにインタビューをしていただいているということで、せっかくですのでこれから留学をされるかどうか迷われている方々に激励の言葉を。

留学をするとしたら今は絶好のチャンスですよ。何年か前まで留学に行く人が減少していたみたいで、最近は政府による奨学金制度とかも整ってきてますので、この機会を逃すのはもったいない。

とくに自分みたいに、大学卒業後に海外の大学院に進学するのは自分で言うのもなんですが賢い手かもしれません。めちゃくちゃ実力がつくし、交換留学じゃなくて正規入学してしまえば学費が安い国がたくさんありますからね。フランスなんか学費無料ですよ!

まぁ僕はこれからこっちで生きていこうと思っているので留学というよりはむしろ移住という感覚なんですけどね(笑)。

留学や海外移住に関するコンサルも行っておりますので、何か留学に関して相談したいことがあったらブログを通してお気軽にメールください。

パリノメモ お問い合わせフォームはこちら

編集部コメント

今回はジュロウさんのフランスでのワイナリー研修体験から現在、将来の夢についてのお話をお聞きしました。苦しい体験を通じて生まれた現在の形が徐々に実を結んで行く過程や、ジュロウさんの「食文化」への思いが伝わるインタビューになりました。

本インタビューの中でもありますが、現在ジュロウさんはフランスの留学・旅行・情報に特化したブログ「パリノメモ」を運営しております。フランスに興味のある方はぜひチェックしてみてください。

インタビューにお答え頂いたジュロウさん、ありがとうございました!

今回紹介したフランスのパリ第4大学(ソルボンヌ大学)の口コミ

パリ第4大学のロゴです
名称Université Paris-Sorbonne(パリ第4大学)
国・都市フランス / パリ
学校形態大学大学院
住所1, rue Victor Cousin 75005 パリ
電話番号33 (0) 1 40 46 22 11
公式サイトhttp://www.paris-sorbonne.fr
口コミサイトhttps://ablogg.jp/school/7900/

インタビュアー

内田隆(うちだたかし) / THE RYUGAKU編集長

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この記事を書いた人

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THE RYUGAKU [ザ・留学] 編集部です。留学コニュニティサイト『アブログ』も運営しています。

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