アメリカン・コメディの定番「Standup Comedy」を学び始めて
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私は趣味でコメディをやっております。英語でのコメディですから、日本の漫才と違い、フォーマットはすべてアメリカのコメディでのスタイルになります。今まで、Improvisationと呼ばれる即興喜劇をやっていたのですが、今年からはちょっと趣向を変え、Standup Comedyの授業を受講し始めました。理由は、私をよく知るインストラクターの方が、私にこのスタイルをやってみたらどうかと持ちかけてきたことです。当初は営業理由で持ちかけてきたのかなとも思いましたが、物は試し、ちょっと試してみました。
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Standup Comedyとは?
アメリカのStandup Comedyとは聴衆の前で約15分ほどの小話をするスタイルです。その際、パフォーマーはノートを見てもいいですし、カードにしゃべりたいトピックや表現を書いていてしゃべるのも構いません。問題は、話の内容が他人を引き込めるかどうかがポイントなのです。
Standup Comedyのコツ
インスタラクターは地元の劇場などで出演している本職のコメディアン兼俳優の方で、すでに何回か授業を受講しましたが、徐々にStandup Comedyのコツが飲み込めてきました。その要点は下記のようなものです。
- 自分の体験を話す。
- 周囲の仲間に話している際、気に入ったフレーズ、爆笑を取ったフレーズなどを常にノートに書いていく。
- 話の構成をわかりやすくし、聴衆に伝えやすくする。
- ノートやメモを見ても構わないが、当然、見ないで話をするパフォーマーの方が聴衆に伝わりやすい。
英語が第一言語じゃないことが逆に強みに
私の場合は他のアメリカ人の受講者と比べて、言語、文化、宗教、人種など、あらゆることが違うので、その違いがコメディでは強みになることもあります。以前から気づいていたのですが、私は英語を第一言語として話しているわけではないので、話している最中、どうしても英語のミスやちょっと「ズレた」英語表現を話すことがあるようです。それが返って面白みを誘い、私が体験を話していると、周囲は「面白い!」といってくれるのです。
インストラクターの先生は私のバックグラウンドを活かし、アメリカ生活の中で、「Misunderstanding」にまつわる話をするよう強く勧めてきました。私も在米生活が長くなり、そんなに勘違いがあったかなと思ったのですが、渡米直後のとある女の子との騒動があったので、それを話にいたしました。
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初対面の女性からいきなり・・・
1999年、私は大学院留学のために渡米してまいりましたが、日本では3月に学校が終わるため、9月のセメスター開始まで時間がありました。そこで英語学校に入学し、英語の勉強と生活の構築に勤しむことにしたのですが、入居した寮に何人ものアメリカ人の学生が当然、生活をしておりました。
寮のカフェテリアで食事中、私は周囲のアメリカ人の学生から、一人のアメリカ人の女生徒を紹介されました。一見、ブラウンの長髪に大きな瞳、知的な雰囲気のするアメリカ人の女の子です。私はひと目で好印象をいだき、嫌われてはいけないという不安から、最上級の挨拶で自己紹介をいたしました。座席から立ち、100万ドルの笑顔とともに右手を差し出し、握手を求めながらの自己紹介です。
「Hi, my name is ○○. Very nice to see you.」
というと、相手は
「My name is xx, I think women should be independent.」
と切り返してきました。ここで混乱です。なぜ、この子は、女性の自立を説いてくるのでしょうか。確かにアメリカ人の女性は自立していると聞いたことはありますが、日常的に女性の人権や公民権に関して話すのでしょうか。私はかなりの間を開けてから、
「・・・Right.」
と、返答するしかありませんでした。その後、彼女は延々と女性が仕事を持てること、家庭にいなくてもいいことを話し始め、当時英語力が大変低かった私は応答に苦慮いたしました。彼女は、日本の社会に対して否定的で「it is not fair!」と私を糾弾し、私はほうぼうの体で逃げ出しました。逃げる際、彼女はどういうわけか、自分のメールアドレスをナプキンに書いて渡してくれたのですが、自分の部屋に帰ってから考えてみると、どうにも腑に落ちません。
彼女は話からすると日本に行ったことがないはずです。なぜ日本社会をそこまで非難するのか。確かに日本でも女性の職場での立場が低いなど問題になっていますが、アメリカでは別に人種での「Unfairness(不公平)」が問題になっていたり、別の形での不公平さも取り沙汰されております。付け焼き刃の知識で簡単に日本を非難する彼女にいささかの不快感が否定できず、私は彼女にこう、メールを打ちました。
「Dear xx, it was nice seeing you at lunch today. P.S. Please marry me!」
当然、彼女と結婚する気はありませんでしたが、ちょっと相手の鼻をへし折ってやろうという感情があったのは否定いたしません。私はメールを打った後、他の用事で忙しく、夜になるまでこのメールのことは忘れてしまいました。
その晩です。夜の9時頃、私の部屋のドアをノックする音が聞こえます。開けてみると、彼女が立っており、かなりご立腹のご様子。瞬間「マズイ!」と思ったのですが、自分の部屋ですので逃げられません。彼女に謝罪をすると、相手はなぜそんなことをいったのか尋ねてきました。
そこで、私はたどたどしい英語で、相手が「Fairnesss」を重視するのに関わらず、まったく「Fair」ではないことに、私がかなり不快感を感じたことを伝えました。私はアメリカに来てまだ数ヶ月で、頭のなかでスペルチェックとグラマーチェックをした後に、英語を話す必要があったのですが、彼女は私が話し始める前に、言葉をつなげてしまい、一切、私の話に耳を傾けようとする姿勢がなかったのが気に食わなかったのです。
自分も気持ちを伝えたものの
彼女は、自分の姿勢に反省したのか、かなりうなだれており、以前、誰かから日本では女性が虐げられていると聞いたと言ってきました。確かに日本ではそういった話はありますが、だからといって日本人男性すべてが「male chauvinist(男性至上主義者)」とは限らないのが現実です。
アメリカでは人種差別が大きな社会問題ですが、アメリカ人=人種偏見主義者とはいえないことと同じです。彼女は自分の不徳を恥じたのか、夜食にピザを一緒に食べることを提案してきました。私が快諾し、二人で夜の10時に寮の地下で一緒にピザを食べ始めました。
その頃、アメリカのピザは私にとってご馳走でした。なにしろ日本では考えられなく大きく、ボリュームがあるのです。大きなピザを食べながら彼女はしゃべりつづけ、私は徐々に疲れを覚え始めました。
1時間後、疲労を感じ始める。
2時間後、目眩を覚え始める
3時間後、ついに頭痛がし始める。
といった感じで、当時の私の英語力では1時間以上、アメリカ人と会話を持続させることができなかったのです。彼女は「Oh, you are such a great listener.」といっておりましたが、私は単純に相手の話に相槌を打つしかできず、話を合わせることしかできなかったのです。
ついに時計は夜中の1時をまわり、私は片手を挙げ、相手を制すると、相手はやっと私が極度の疲労を感じていることに気づきました。相手から開放してもらい、自分の部屋に戻ると、シャワーも浴びずにベットに倒れこんだのは懐かしい思い出です。
でも、彼女のおかげでその後、英語の発音を直してもらったり、色々とアメリカの学校のことや文化を学びました。今では出会えたことを感謝しております。こういった経験も留学の醍醐味のひとつでしょうか。
この話を皆の前で話すと、私は爆笑に包まれました。一人ひとり話が終わると、受講生たちとインストラクターが批評をするのですが、インストラクターが真剣な面持ちで、受講生に尋ねます。
「Gentlemen, have you ever kept listeing to women's story for three hours?」
と尋ねると、アメリカ人男性陣が口々に、”No! No! No!”と首を振り、これまた皆で爆笑になりました。
最後に
私はアメリカで生活をしていると、外国人ですので、どうしても周囲のアメリカ人の友人たちと経験が違い、子供の頃の観ていたテレビ番組、漫画、学校などの話を共有できないという一種のコンプレックスがないわけではありません。
しかし、自分の経験が違うことはどうしても変えることはできませんから、あきらめて素直に受け入れ、何かに活かしたほうが得策かと思います。私の場合、それはコメディでした。海外で生活している皆様にも、何か生活の楽しみになるツールが見つかることを切に希望しております。
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この記事を書いた人
初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。