イギリスのバレンタインデーの歴史&現在のバレンタイン事情
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古くはローマ時代にまでさかのぼるバレンタインデー、イギリスではどのようにお祝いしてきたのでしょうか。簡単な歴史とユニークな慣習、現在のイギリスでのバレンタイン事情も一緒にお送りします!
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バレンタインデーの起源&イギリスでの始まり
バレンタインデー(St. Valentine's day)の起源は、遠くローマ時代にまで遡ると言われています。当時ローマでは戦が多く、そのため愛する人を残して戦地に赴くのを嫌がる兵士が増えることや、戦での士気が下がることを恐れたローマ皇帝が結婚、婚約を禁じたと言います。
Christian priest(キリスト教聖職者)であったバレンタインは、密かにその中で数々のカップルを結婚させてきました。それが見つかり彼は牢屋に幽閉され、2月14日に亡くなるまで、そこで過ごしたそうです。その彼をしのび、祈りをささげ、2月14日が彼にちなんで「愛の日」となったという説が伝えられています。
さて、イギリスでのバレンタインデーの歴史ですが、遠く昔500年頃からサクソン・イングラントでは2月14日は男の子が少女に手袋をプレゼントするのが伝統だったそうです。
その後、長い歴史の中でバレンタイン・パンなる御菓子を作る地方が登場したりするなど、さまざまな形でイギリスではバレンタインをお祝いしてきたようです。中でもユニークだと思ったのは、イギリスのノーリッチという街(イングランド東部、ノーフォークの州都)では、前日の13日、イブに愛する人の家のドアステップにギフトが詰められた包みを置いておく習慣があったとか。
ですが、1872年にポストオフィスが12オウンスまでの荷物は郵便で送れるとし、その年には150,000件もの郵便がノーリッチだけでバレンタイン前に投函されてからは、ドアステップにプレゼントが置かれる光景は段々と見られなくなったそうです。
チョコレートは19世紀から
その後もプレゼントはユニークなものが人気を集めます。お腹の部分を押すと音が鳴るキューピーのような柔らかい人形や、イミテーションの装身具(ブローチ、指輪など)、なぜかオレンジ(イギリスでは育たないので高かったのでしょうか)や宝石箱や裁縫道具入れ、本、シルバーのペンにペンホルダーなど、今とは違ってチョコレートの影も形もありませんでした。
17世紀には高価なプレゼントが人気となり、宝石やシルクのストッキング、ガーターベルト、香水が主に贈られたようです。今のようにチョコレートを贈る習慣ができたのは、イギリス人が大好きな「デイリーミルク」チョコレートで有名な製菓会社Cadburyが、ハートの箱に入ったチョコレートを発売し出した19世紀になってからだそうです。長い歴史の中では、つい最近のことなのですね。
ウェールズでは、これまたユニークなプレゼントが人気で、「You unlock my heart(直訳ではありませんが、あなたに夢中です!のような表現)」を指すとして、鍵に鍵穴、ハートのパターンが彫られた木のスプーンを贈ったりしたそうです。
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バレンタインカードにまつわる話
イギリスでは古くから男性が無名で個人的なメッセージを添えて「From your valentine」と、カードを送っていました。その名残で今でも男性が無名で女性にカードを贈る場合も多いようです。
バレンタインカードの人気が出たのはビクトリアン時代の頃からで、レースをあしらったカードにベルベットやサテンのリボンがかけられ、刻印が押されていたものが主流で、大体それらのカードにはトリックが仕掛けられており、「秘密のメッセージ」がリボンやレースの下に隠されていたそうです。
当時とても厳格であったイギリスの父親たちが、娘が受け取って読むに値するか先に開封してチェックするために、男性が愛する女性に本当に伝えたいメッセージを、カードにあれこれ工作をして忍ばせたのです。
現在のイギリスのバレンタイン事情
現在でのイギリスのバレンタインデーは「愛を確認する日」と捉えられているためにカードやプレゼントも、愛するもの同士で交換することが一般的になっています。
結婚していたり、一緒に住んでいる場合はこっそりバレンタインデーの当日の朝、枕元やサイドテーブルなどにカードや小さなプレゼントを置くことも多いですが、「愛を告白する日」でもあるために、今でも無名で、そっとカードを女性のデスクに忍ばせたりする男性もいます。
現在のイギリスでのプレゼントの定番はバラ、チョコレートなど、とても小さなものです。かわいい熊のぬいぐるみだったりもしますが、高価なものを贈り合うというよりは、一緒に家でディナーを作ったり、男性が料理したり、レストランにディナーに行くなど、とてもささやかです。
町ではバレンタインの日に男性が一輪のバラを抱えて歩く姿が多く見られます。またそれ用の赤いバラをスーパー、お花屋さんではたくさん用意します。
伝統的には、A dozen(1ダース、12本と同じ意味)か、一輪の赤いバラを贈るようです。しかし、赤いバラでも黒っぽいダークな色合いものは「死」を意味するために、鮮やかで、まさに真っ赤なものを選ぶのが良いそうですよ。
またカードと一緒に、女性からもジョークの聞いた小さなおもちゃや、チョコレートを渡したりもします。
気をつけたいのは、日本のように「ハッピーバレンタイン!」などとメッセージを誰にでも贈ってしまうと「えっ?」と勘違いされたり、びっくりさせてしまうことがありますので、イギリスではメッセージは愛する一人の人だけに送ってくださいね。
まとめ
いかがでしたか?今回も楽しんでいただけましたでしょうか?日本のバレンタイン事情とはとても違っていろいろ面白いですよね!留学生の皆様もイギリス式のバレンタインデーを楽しんでみてはいかがでしょうか?皆様の留学生活がすばらしいものになることを心から応援しています!
Have a lovely day!
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この記事を書いた人
イギリスのロンドンはウィンブルドンに住んで9年目です。元ハリーポッターに出演していた夫(南アとオランダのダブル国籍です)と二人暮らしです。私がいっぱい涙が出るくらい恥ずかしい思いをしつつ経験してきた生活の知恵、英語の言い回し、イギリスの穴場やこぼれ話をお届けできたら嬉しいです。またBAFTAの試写会でのセレブリティーの写真もご紹介できたらと思います。