【体験談】アメリカの銀行口座の相続に必要な「Living Trust(生前信託)」を作成した話

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アメリカ在住の読者の皆さんは、アメリカの銀行口座に「Beneficially(相続人)」を設定しているでしょうか。相続人は万一口座の持ち主が亡くなった場合、お金を引き継ぐことができますが、アメリカに在住している邦人の中には、設定していない方も多いと聞きます。最近、その制度に変更があり、Social Security Numberを持っていない日本の家族は設定できないルールとなり、弁護士を通じ「Living Trust(生前信託)」の作成を行いましたので、ここでは、その一連の流れについてご紹介します。

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ルール変更?Social Security Numberが無いと相続できない?

ある日、仕事場にいる私の携帯に、突然銀行から電話がありました。

理由を尋ねてみると、銀行口座のBeneficially(相続人)に関する取り決めに変更があり、今後、相続人がSocial Security Numberを持っていない限り、相続人として登録できなくなったとのこと。

Social Security Number(以下SSN)とは、日本語では「社会保障番号」と訳され、日本いうところの「マイナンバー」と同じようなもので、アメリカ市民、永住者、外国人就労者に対して発行されるものです。

私の場合、相続人が日本にいる家族ですから、SSNは持っておりません。万一、私が死んだ場合、お金はどうなるのか。心配になったので銀行に駆け付け相談することに。

Living Trust(生前信託)の法的文章の作成

担当銀行員の話によれば、銀行での制度が変わり、今後、相続人がSSNを持っていない場合、相続人として登録できなくなった。私は現在すでに相続人として日本の家族を登録しているが、私が死んだ場合、もしかしたらお金が簡単に私の家族に渡らない可能性があるとのこと。

どうしたらいいのかと相談をすると、相手は「Living Trust(日本語では「生前信託」)」という、法的文書の作成を勧めてきました。

早速、家に戻ってインターネットで検索をすると、確かにLiving Trustに関する情報が載っています。銀行員から弁護士を紹介してもらえたので、その弁護士と後日、面会をしました。

弁護士曰く、相続人として家族に遺産を渡したい旨を、第三者(Co-Trustee)と取り決めるのがLiving Trust作成の流れとなるようです。

また、法律的にも一般的な手続きのようでして、弁護士曰く「アメリカ人でもかなりの人が行っている」とのこと。

提示された金額は$1,500。決して安い金額ではありませんが、払えない金額でもありません。むしろ自分の生命保険、資産が家族に行くようにするための金額としては安いぐらいです。

返事を保留し、私は早速、弁護士の友人に連絡を取りました。

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作成にかかった費用と時間

私には弁護士の友人が何人かおります。弁護士といってもすべての分野に精通しているわけではなく、専門があるため一般的な質問をしたのですが、皆「Trustが必要」と回答してきました。

中にはTrustを作る弁護士の友人も紹介してきてくれた人もおり、私は費用の比較も検討しました。

また、Trustを作るために検討しなければいけないのは、受託者であるCo-Trusteeです。彼らは私が死んだ場合、私の家族に遺産を相続させることを決定する権限を持ちますから、うかつな人間を選んではトラブルのもとになります。私は日系人の親友と、シカゴにいる遠縁の従兄にCo-Trusteeになってもらうようお願いしました。

色々とリサーチをしたのですが、$1,500という金額は決して高額ではないようです。むしろ弁護士を通したサービスとしては手ごろな部類。

結局、私は最初に紹介された弁護士に作成を依頼し、二週間ほどでメールでTrustの下書きが送られてきました。

ここで困ったのはTrustの英文です。長文かつ英語は難解(総ページはファイル一冊になるほど)、大体の意味は取れるのですが、本当にこれでいいのか、という判断がつかないのです。ここでも私は弁護士の友人に一度目を通してもらい、確証を得ることにしました。

そして最初の交渉から二ヶ月後、Trustが出来上がり、私はCo-Trusteeと私の家族からの署名を集めると、すべての文書をPDFにスキャンをし、私の保険会社、会社の人事部、銀行などに配布。

念のため、日本の家族にもコピーした文書を郵送で送付、実家に保管してもらうようにしました。またCo-TrusteeにもPDFを送付。万一の際、私に協力してもらうよう再度お願いをしました。

最後に

なぜ私がここまでお金をかけて自分の身を守ろうとするのかというと、私は長い在米期間を通じて、周りの方でトラブルに遭われた方を見てきているからです。気の毒にも亡くなった方がいないわけでもありません。

聞いた話ですが、日本人の駐在の方が交通事故で亡くなってしまったが、その方は相続人の設定をしておらず、奥方は財産を受け取るために、法的手続きに入ったが英語が不得手なゆえ、また多額の費用が掛かった。

さらに、アメリカに在住していたドイツ人で亡くなった人がおり、家族が銀行口座のお金を引き取ろうとしたが、すでにお金は差し押さえられ、法的手続きにかかるであろう見積金額は最低10万ドル。家族は諦めてドイツに帰っていったそうです。

もしご自身の財産で気になる方がいれば、一度銀行に問い合わせてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

命かげろう
命かげろう

初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。

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