アメリカ留学を「大使館」が全力応援するイベントとは?--アメリカ留学EXPO 2016レポート
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9月10日、御茶ノ水ソラシティ・カンファレンスセンターにてアメリカ大使館主催の「アメリカ留学EXPO2016」が開催されました。このイベントに、THE RYUGAKU編集部の中でもアメリカ留学経験のあるインターン生が取材に行ってきました。この記事では、実際の会場の様子や雰囲気、経験者として私が感じたことについてお伝えしたいと思います。アメリカ留学を考えている皆さん、必見です!
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「アメリカ留学EXPO」とは?
アメリカ留学EXPOはアメリカ大使館主催の留学イベントで、年に一回開催されています。大学や大学院でのアメリカ留学を考えている中高生、大学生とその保護者を対象にしたもので、アメリカ留学に関する様々な情報提供を行います。アメリカの各大学の担当者と直接話すことができるブースがあったり、テーマごとにセミナーが開催されたり、ゲストスピーカーがいたりと、内容は盛りだくさんです。
今回は、アメリカへの留学経験をもつ大学3年生の山本が取材を担当しました。1年間交換留学で、アメリカ中西部に位置するコロラド州のUniversity of Colorado at Boulderに通っていました。まだ帰国して間もないので、アメリカ留学にはとても親近感があります。
また、そろそろ就職活動が始まるので、留学経験を将来にどう生かしていくのかを真剣に考えている時期でもあります。そこで今回はこの留学EXPOを、改めて自分の留学を見直す機会にすると同時に、アメリカ留学経験者の視点から、留学前にこれは知っておくべき!という便利な情報を会場の雰囲気とあわせてみなさんにお伝えしていきたいと思います。
11時30分:会場に到着
御茶ノ水ソラシティという高いビル内の一角にイベント会場が設置されていました。イベント開始前から会場は多くの日本人とアメリカ人でにぎわっており、着々とブースの準備が進んでいました。また、大学関係者の会話はほとんどすべて英語。実際にアメリカに行ってイベントに参加しているような、不思議な感覚でした。
12時00分:オープニングセッション
ケネディ駐日大使のお話
アメリカ留学EXPO最初の催しです。まず最初に、駐日アメリカ大使であるキャロライン・ケネディさんがご登壇されました。まさかの大使の登場に、会場のお客さんは驚きを隠せない様子。
その後ケネディさんは、アメリカ留学を考えている学生とその保護者に、何事も恐れずに挑戦することの大切さ、そして今後グローバルリーダーとなって世界を引っ張っていってほしいという強い思いを述べられました。
実際のケネディさんのお話を少し抜粋してご紹介したいと思います。
"I know that all of you have dreams for how to improve whole world, and I believe that studying abroad, particularly in the United States, will help you really make those dreams come true."
「皆さんはこの世界をどのように良くしていくかについて夢をお持ちでしょう。そして私は留学が、特にアメリカでの留学が、そのような夢を実現する助けになってくれると確信しています。」
"We need global citizens today who can solve the challenges that the world faces, and in order to do that people of new generation need to be able to work with people from the other countries and understand what they think to experience their cultural traditions, and also to teach them about Japan."
「世界が直面している問題を解決できるグローバルな人材が必要とされています。他国の人々の文化を経験し、また日本のことも教えられるように、 若い人々が共に働き、相手の考えを理解する必要があります。」
"All of these successful individuals tell me that the decision to go abroad changed their life and made them able to achieve their dreams."
「成功している人々は、留学するという決断が彼らの人生を変え、夢を実現させることにつながったと言っています。」
"So I hope today will be the beginning of your journey that will change your life and then you'll come back from the U.S., and tell everyone else what great experiences you had, and you'll be ambassador for Japan."
「今日が皆さんの人生を変える旅の始まりであり、アメリカから帰ってきて、あなたの素晴らしい経験を皆に話し、皆さんが日本の大使になってくれる事を望みます。」
今は日本とアメリカを繋ぐ架け橋となって活躍されているケネディ大使。そのようなグローバルに活動されている経験があるからこそ、学生時代に海外経験を持ち、物事に対する視野を広げることの大切さをよく理解されているのでしょう。大使自身も学生時代に留学経験があるので、話に非常に説得力がありました。
参加者の方々は、皆熱心な様子で大使のお話を聞いていました。この会場の中から今後留学に行ってグローバルに活躍する人がたくさん出ることでしょう。
ゲストスピーカー、フランキー・スィーヒさんのお話
続いては、ゲストスピーカーである画家のフランキー・スィーヒさんのお話がありました。スィーヒさんは日本とアメリカのハーフで、ニューヨークにあるSchool of Visual Artsに留学された経験があります。現在は日本を中心に世界各地で個展を開き、グローバルに活躍されています。
スィーヒさんは、自身の留学経験をもとに、留学中に大変だったこと、自分の将来について悩んだこと、留学してよかったと思うことなど、赤裸々に語ってくださいました。以下、彼女の言葉を抜粋してご紹介します。
自分を伝えることは、自分を知ることに
「日本とアメリカのハーフであることから自分はアメリカ人寄りのハーフだとずっと思ってたんですよ。でもいざNYに行ってみると、結構自分でもカルチャーショックを受けて、英語が話せていても言葉の壁だったり、ハーフでありながらも文化の壁っていうのにはぶつかって、結構自分を見失ってしまった時期があったんですね。でもだからこそ、自分を見つけることができたんです。」
「日本で生活するとなかなか自分はどういう人間なんだろう、日本ってどんな国なんだろう、日本人ってどういう人なんだろうって、自分に問いかけることはできても、話すきっかけってなかなかないですよね。 まず自分はどういう人間かっていうのを英語で伝えてちゃんとコミュニケーションを取るところから始まると思うんですね。」
参加者へのメッセージ
「自分が勉強するための留学ではなくって、人と出会うための留学でもあるので、ぜひ一人でも多くの人たちと友達になって自分のことを知ってもらって、相手のことも知るチャンスにしてもらって欲しいなって本当に思います。」
その後の質疑応答でニューヨークに行ったことで日本の良さを再認識できたと仰っていたのですが、これには私もすごく共感しました。日本を離れて外国に行くと、日本を外国人の目線で客観的に見れるようになります。留学は、自分が今までどういう環境で育ってきたのか、自分はいったいどういう人間なのかを考え直し、自分自身とも向き合ういい機会になります。
話全体を通して、留学中の楽しかったことやつらかった経験などを生き生きとお話しするスィーヒさんの様子がとても印象的で、充実した留学生活をうかがい知ることができました。
12時45分:各大学のブース巡り
最初のセミナーまで時間があったので、大学のブースに行ってみました。各大学から1~3人の担当者が来ていて、大学職員や実際の卒業生もいました。今回参加した大学の数はなんと83校!アメリカ全土から様々な大学が来ていました。
中にはIvy Leagueに属する世界トップクラスの大学であるHarvard UniversityやColumbia University、さらにはMIT(マサチューセッツ工科大学)のブースもあり、留学を考えている学生がたくさん集まっていました。
なんと、オープニングセッションでお話しされていたケネディ大使も自らブース巡りをされていました!大学の担当者と言葉を交わされたり、実際にブースを訪れている学生に話しかけたりと、興味津々のご様子でした。
ブース会場が盛り上がりを見せる中、そろそろ私が注目する最初のセミナーの時間になりました。ブースにいる方には後程お話を聞くことにして、まずはセミナーに参加してみることにしました。
14時00分:【セミナー】大学院留学基本情報
セミナーとは?
このイベントでは、各大学のブースだけでなく、留学に関する様々なテーマに沿ってセミナーという勉強会のようなものが開催されていました。その内容は、「留学のための奨学金制度」、「サマーワークトラベル/インターンシップ制度」、「コミュニティカレッジ(公立2年制大学)留学と4年制大学への編入進学(一般編)」など、非常に多岐にわたりました。その中でも、私はまず「大学院留学 基本情報」というセミナーに参加してみました。
このセミナーは、アメリカ国務省の支援を受けたネットワークのアドバイザーの方が、アメリカの大学院進学について日本の大学との比較を交えながらお話ししてくださいました。学部留学についてはネットなどで得られる情報も増えてきているので、あえて今回は大学院留学についてのセミナーに参加しました。
このセミナーで学べること
私のように学部留学を終えた人や、学部では留学できなかったけどやっぱり留学してみたい、という人には最適のセミナーだったと思います。学部と大学院に共通する、大学の選び方や、アメリカの大学教育全般についてのお話もありました。参加できなかった方のために、要点をしぼって内容をご紹介したいと思います。
①日本におけるアメリカ留学の最近の傾向
- アメリカに来る全世界の留学生数はおよそ100万人、そのうち日本はわずか2%
- 日本人留学生総数のうち、学部志望は46.6%、大学院志望者は17.3%
- 日本人留学生数は1990年代にピークを迎え、現在はその半数ほどしかない
- 日本人の文系理系の比率は1:2くらい
②アメリカの大学システム
- 文科省不在のため、代わりに認定制度がある(認定を受けた大学でないと、日本では卒業扱いにならない場合もある)
- 学期制で、学期が変わるごとに入学可能
- 入試ではなく書類審査
- 学校によって特徴やポリシーが異なるため、日本のようなランキングや偏差値はない
- GPA制度があるため、いい成績を取らないと卒業は保証されない
- プログラム、学習内容が多様で柔軟
- 教育理念はcritical thinking
- 多様な地域文化がある
- 日本と同様、州立と私立の違いもある
③大学院の特徴
- 平均年齢32.4歳と幅広い。学部時の専門と異なっていても大丈夫
- 学術系大学院・・・研究者養成
- 専門職系大学院・・・専門職養成 職業経験が重要
- 修士課程は1-2年間なのに対し、博士課程は通常4-8年間で、定められたコースワークを終了しなければならない
④留学前にすべきこと
- 留学目的を明確にする
- 学校の選択条件を書き出す(目的、能力、希望を考えてリサーチ)
- 入学後のミスマッチを防ぐため、カリキュラムや内容をよく吟味し、複数の情報源から最新の情報を入手する
- 留学フェアなどを通じて実際にリクルーターに会う
※このセミナーで使用されたスライドが、アメリカ留学EXPOのホームページ内【セミナーのページ】に掲載されています。他のセミナーの内容も紹介されているので、もっと詳しく知りたい方はぜひご覧になってみてください!
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14時40分:再びブース巡り
ここでは、いくつか大学の担当者にいくつか質問をしてみました。アメリカの大学も選考は厳しいので、どのようにしたら大学に受け入れてもらえるか、気になりますよね?現地大学の担当者の生の声を聴いて、今後の留学準備に生かしましょう!
担当者に尋ねた質問は以下の3つです。
1.大学のアピールポイントや魅力的な点
2.どんな学生に来てほしいか、留学中何を頑張ってほしいか
3.留学を考える学生にアドバイス、メッセージなど
Dartmouth University
まずはIvy Leagueに属するトップ大学、Dartmouth Universityです。
1.Ivy Leagueに入ってる大学だから、学力のレベルの高さと知名度はもちろん、研究のクオリティの高さには自信がある。特に大学院生より、学部生向け。一年生のころからトップクラスの教授に直接指導してもらえる。
2.ビジネススクールやメディカルスクールが特に有名だが、基本的には学問の面ではバランスはとれている。幅広い知的好奇心を持った学生に来てほしい。例えば、英語専攻の学生が生物学を学んだり、医学専攻の学生が機械工学を学んだり・・・様々なことに興味を持てる学生であってほしい。
3.留学に行く前に、リーディング力を可能な限り上げておくべき。来てからのリーディングの量は半端じゃない。何事も恐れず、どんなことにも積極的にチャレンジしよう!
Dartmouthの担当者の方は終始明るく笑顔で、なんと私の留学経験にも興味を持ってくださり、しっかりと話を聞いてくださりました。こうした日常的な会話からも、教授と学生との距離の近さがうかがえました。
University of Hawaii at Manoa
続いては、日本からの留学生も多く人気が高いUniversity of Hawaii at Manoaです。
1.ハワイはアメリカの中で最も幸せな州。また、いろいろなところから学生が来る多文化な環境で、アジアの学生も多いため、アメリカに来たことがない人にもお勧めできる。美しいキャンパスも特徴。
2.リベラルアーツだから、学生はどんなことでも勉強できる。何か研究をしたい学生にはぴったりの環境だと思う。ハワイではワークライフ・バランスを大事にするので、勉強以外の課外活動も楽しめる。
3.日々の生活を楽しめるハッピーな子に来て欲しい。なんでも自分のやりたいことを一生懸命に頑張れる子がいい。
ハワイならでは、といった内容ですね。勉強以外のことも楽しめるのはすごく魅力的だと思いました。
Portland State University
最後は、こちらも日本人に人気の、オレゴン州にあるPortland State Universityです。
1.1971年にNIKEのアイコンを作ったのはPSUの学生、自主的な学生が多く、なんでも自由に学べるのがウリ。入学前にSATのスコア提出が必要ないため、出願しやすい。
2.エンジニアリング、ビジネス、コミックスタディなど、学問分野は多岐にわたる。
3.町中にあるキャンパスのため、立地が非常によく、バスや路面電車の交通網も発展している。理想的な立地。ぜひここで勉強を!
私も留学中に一度訪れたことがあるのですが、ポートランドはとてもきれいで美しい街でした。都会のキャンパスで、しっかりと勉強に励めるのも魅力的です。
15時20分:【セミナー】帰国後の就職事情と企業が求めるグローバル人材
留学とその先の人生に関わる就職活動は、切っても切り離せないものですよね。中には、就活のことを考えて不安になり、それが原因で留学を断念してしまう人も少なくありません。
このセミナーで学べること
このセミナーでは、留学と就活をうまく両立させるためにはどうすればいいのかを、マイナビ副編集長の相木良介さんがお話してくださりました。留学後のキャリアについて考えている私にとっても、非常に勉強になるセミナーでした。以下、セミナーの要点をまとめてご紹介します。
①そもそもグローバル人材って?
外国語を使って働く、海外展開している企業で働く、外資(ブランチ採用、意外と日本)、日本を海外に発信する仕事(海外の仕事多)。業種は多岐にわたるため、特定はできない。
②求められる能力
- 国内の市場の縮小、海外へ拡大。その風潮はしばらく変わらない
- 語学力
- 行動力・バイタリティ・・・自分で考えて行動、困難を乗り越えた経験、日本の常識にとらわれない発想力
- コミュ力・・・リーダーシップの経験
- 日本のことをよく理解している学生
③渡航前の準備
- キャリアセンターなどに行って事前に情報収集と相談をしておく
- 就活のことを頭に入れながら留学生活を送る
- 留学を含めた就活スケジュールをあらかじめ立てておく(時期によっては企業説明会などが終わってしまっていることも)
- マイナビ国際派EXPOなど、時期が違う人向けのイベントを有効活用(アメリカ現地で開催されるものもあり)
18時00分:アメリカ留学EXPO終了
こうして、アメリカ留学EXPO2016は大盛況のうちに幕を閉じました。最後までたくさんの参加者の方が会場に残り、熱心に質問をされている様子が印象的でした。
本当に内容が盛りだくさんで、留学を考える学生にとって非常にためになるイベントだったと思います。私も留学に行く前に参加しておきたかった!と強く思いました。
来年のEXPOは?
来年のEXPOに関しては、詳細が決まり次第ホームページに随時情報が掲載されるようです。今年行けなかった方や、今回新たにアメリカ留学に興味を持った方は、忘れずにチェックしておきましょう!
編集後記
まず留学をするにあたって、どの学校に行けばいいかわからない、という話をよく耳にします。実際、私も何を基準に大学を決めればいいのかわからずにいました。このイベントのように実際に現地の大学の担当者と話せると、大学の雰囲気を知ることができて大学選びの助けになるし、留学前に抱える学業の面での不安解消にもつながります。
また、セミナーもすごく役に立つと思いました。私が出席したセミナー以外にも、ビザ申請の仕方、奨学金についてなど、留学準備のためのセミナーが多かったように感じます。留学を控える人はとても助かるだろうと思います。
このイベントに参加して、改めて自分の留学を振り返ることができました。なぜアメリカに留学したのか、どうやって準備を進めていったか、アメリカでどんなことを学んだのか、そして今後その経験をもとにどう生きていくのか…。これから留学する皆さんにも、しっかりと目標を立てて、入念な準備をして、万全な状態で留学に臨んでほしいと思います。この記事の情報が少しでも皆さんのアメリカ留学の助けになれば幸いです。
ライター
山本和香奈(やまもとわかな)/ 早稲田大学3年 / アブログインターン生
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