科学・技術分野への大学院留学をサポートする団体「カガクシャ・ネット」とは?

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インターネット上に留学に関する情報が殆どない2000年から科学・技術分野の大学院留学に特化した情報発信及びネットワーク構築のサポートを目的として活動を続けるボランティア団体「カガクシャ・ネット」。今回は代表の武田さんにインタビューを行いました。

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今回のインタビューは、科学・技術分野の大学院留学に特化した情報発信及びネットワーク構築のサポートを目的として活動を続けるボランティア団体「カガクシャ・ネット」の代表で、米国の病院にて研究者としても活躍する武田祐史(たけだゆうじ)さんに団体の紹介から運営の苦労話までお聞きしました。

科学・技術分野への大学院留学を支援するカガクシャ・ネット

カガクシャ・ネットのロゴイメージ

ーー まず最初に、カガクシャ・ネットについての概要を教えてください。

カガクシャ・ネットとは、主に科学・技術分野への大学院留学、特に修士もしくは博士への留学を希望する人と、現在留学中の留学生、留学経験者のネットワークを構築することを目的としたボランティア団体です。2000年に発足し、私は5代目の代表となります。

ーー 具体的に、どのような活動を行っているのでしょうか?

活動は主に3つです。まずは、ウェブを通じた留学支援及びネットワークの構築。次にイベントの開催。そして書籍の出版及び寄稿を行っております。

始まりはメーリングリストでの情報発信

海外の学会で発表を行うカガクシャ・ネット代表の武田氏

ーー ウェブを通じた留学支援及びネットワークの構築とは具体的にどのような活動になるのでしょうか?

2000年の発足当時はメーリングリストを作成し、留学に関する情報発信及び情報交換を行っておりました。当時はインターネット上に留学に関する情報が殆どなかったので、メーリングリストで留学に関する準備や進路の相談、留学生同士のネットワーク作りを行っておりました。

また、2007年からは留学情報に関するメールマガジンの配信をスタートし、留学中の学生による学生生活及び研究内容の紹介から、大学院の卒業生で研究者としている方のインタビューなどの情報を発信しておりました。

2015年からは、メーリングリストの機能をLinkedInに移行し、留学に関する情報交換の場として機能させております。現在LinkedInに参加しているメンバーが約270人ほどいますが、その中には、これから留学をする人から、既に留学を終えてアドバイスを送る側の人も含まれています。

また、スタッフによる留学ブログや、FacebookTwitterでも留学に関する情報発信を行っております。あとは、カガクシャ・ネットのウェブサイトにて留学後のキャリア構築に有益なジョブフェアやジョブオファーの情報発信も定期的に配信しています。

Skypeなどを利用した小規模のオンライン座談会を開催

カガクシャ・ネット主催のイベントの様子

ーー これまでに行ったイベントとはどのようなものでしょうか?

これまでに大きなイベントは三回ほど行いました。一回目は2010年12月に東京大学農学部にて「第一回・博士キャリアアップシンポジウム」、二回目は2012年7月に東京国際フォーラムにて「理系グローバルリーダーへの道しるべ(杉本慶子先生, 安西祐一郎先生)」、三回目は2013年8月にウェビナー「研究留学からのプロフェッショナルキャリア(山本智徳先生, 鳥居啓子先生)」を開催しました。

最初の二回は、実際に場所を借りて行いましたが、スタッフが海外に在住していることや、カガクシャ・ネットの性質(ウェブを通じた留学支援及びネットワーキング構築)から三回目はウェビナー(ウェブセミナーの略称。オンライン上でのセミナー配信)となりました。

現在はSkypeやGoogle Hangoutを利用した小規模のオンライン座談会、留学・キャリア相談会を随時行っております。

2010年には書籍を出版

ーー 書籍の出版などもされているのですか?

はい。最初に外部メディアへ寄稿したのは、2002年に分子生物学と医学に関する雑誌「実験医学」にて、留学生の討論会についての記事を寄稿しました。また、2010年には、これまでメールマガジンにて発信してきた情報を修正・加筆し「理系大学院留学―アメリカで実現する研究者への道(留学応援シリーズ)」という書籍をアルク社より出版しました。

 
アルク社より出版された本、理系大学院留学―アメリカで実現する研究者への道 (留学応援シリーズ)
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恩返しがしたくてスタッフとして参加

ーー 武田さまが代表に就任された経緯についてお聞かせいただけますか?

元々、留学をする前からカガクシャ・ネットのメーリングリストの利用者で、本も読んでいました。最初はいち利用者だったのです。

その後、アメリカでの留学生活が開始するのですが、お世話になったカガクシャ・ネットに何か恩返しができればと思い、留学先の受け入れが決まった頃、運営スタッフを募集してないかと問い合わせしました。

運営スタッフとして5年ほど参加した後、2015年の1月から代表となりました。

国際的に活躍できる人材を育成することが理念

ーー 今はさまざまな留学支援のサービスや団体が多数存在しますが、その中で、カガクシャ・ネットは「ここが違う!」という点はありますか?

一般的に留学=語学留学や短期留学といったイメージがありますが、我々は海外の大学院に科学者や研究者として留学する方へのサポート及びネットワーク構築に特化しております。

具体的な学部で言うと、所謂STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics:科学・技術・工学・数学)などの分野になります。そのような分野にて国際的に活躍できる人材を育成することで、日本の科学技術の未来に貢献することを理念として掲げております。

スタッフのリクルーティングは常に課題

ーー カガクシャ・ネットを運営していて苦労したことなどはありますか?

スタッフが世界中にいるのでskypeなどのオンライン座談会の時間設定はいつも苦労します。一方は深夜遅くで、もう一方は朝5時といったことがよくあります(笑)

また、スタッフのリクルーティングには常に苦労しています。特にアドバイスを送る側の人材は常に不足しております。

歴代の代表は大学教授や製薬会社の研究員として活躍中

カガクシャ・ネットの歴代代表。左から、小葦泰治さん(三代目代表)、中尾俊介さん(四代目代表)、武田祐史さん(五代目代表)
カガクシャ・ネット

ーー カガクシャ・ネットを運営をしていて嬉しかったことはありますか?

やはり、カガクシャ・ネットの利用者が学校を卒業後に活躍しているのを見ると嬉しくなります。歴代の代表数名は現在大学の教授や製薬会社の研究員として活躍しており、他にも多くの利用者が卒業後に研究を続けていたりして、それぞれの道で頑張っています。

あとは個人的なことですが、2015年の年末に、それぞれ世界中の色んなところに離れているメンバーが日本に集合し、食事会をしたのが印象的な出来事でした。これまでオンライン上でしか面識がなかったメンバーもいたので、一同が集結したのは感慨深いものがありました。

編集部コメント

代表の武田さんは現在アメリカの病院に研究員として勤務されている傍ら、ボランティアとしてカガクシャ・ネットの運営をされており、「お世話になったカガクシャ・ネットに恩返しがしたい」ということと「研究者のスペシャリストを育てたい」という情熱が活動の原動力となっていることが伝わりました。

理系の大学院留学を検討されていらっしゃる方は、ぜひ一度カガクシャ・ネットの活動をチェックしてみてください。取材に協力してくれた武田さん、ありがとうございました!

インタビュアー

内田隆(うちだたかし)/ THE RYUGAKU編集長

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THE RYUGAKU [ザ・留学] 編集部です。留学コニュニティサイト『アブログ』も運営しています。

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