「ハーフ」という言葉の裏側に潜むもの。波乱に満ちた2015年ミス・ユニバース日本代表

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前回の『ミス・ユニバースに「日本人らしさ」は要らない?波乱に満ちた2015年ミス・ユニバース日本代表』の記事では、ミス・ユニバースそのものに焦点を当てました。今回は「日本人らしさ」とは、いったい何なのか?さらに、日本でよく耳にする「ハーフ」という言葉に焦点を当てていきます。

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「日本人らしくない」という批判

ミス・ユニバースの日本代表に日本で初めて混血の女性が選ばれた直後、ツイッター上では「日本人らしくない」とか「ハーフが日本代表じゃまずいだろ」とかの書き込みが多数よせられました。

それらの発言は日本国内での騒動にとどまらず、海外にも広がりました。さらに、ミス・ユニバース日本代表となった宮本エリアナさんが、海外記事のインタビューで「人種問題」に言及したことが、騒動を更に大きくしました。

海外では「日本という単一民族国家における混血に対する差別」として一様に記事で取り上げられています。宮本さんに対しては「日本代表でありながら反日行為だ」とのバッシングも日本国内で沸き起こり始めました。

ワシントンポストの記事

私がこの宮本さんに対する批判を知ったのは恥ずかしながら最近です。たまたま過去のワシントンポストの記事を読み漁っておりました。その中で偶然に出くわしたのが、下記の記事だったのです。

Washington Post "Japan’s half-black Miss Universe says discrimination gives her ‘extra motivation’"

記事の中には、人種に関する単語が度々出てきます。

biracial:日本で言うところのハーフ、混血
mixed-race:人種が混ざり合っている
racism:人種差別
homogeneous:同種
discrimination : 差別

その中で、私が一番気になった文面があります。

~ pervasive feeling in Japan, which is considered one of the most homogeneous places on Earth, that mixed-race people are not fully Japanese.(混血は完全なる日本人ではないといった、地球上でもっとも同種が集まっている場所の一つであると見なされている日本で広まっている感情)

他の海外の記事でも、こういった「日本は差別を行う国」みたいな感じで取り上げられていました。前回の記事(『ミス・ユニバースに「日本人らしさ」は要らない?波乱に満ちた2015年ミス・ユニバース日本代表』)でもご紹介したのですが、アフリカ系アメリカ人を父親に持つ彼女の風貌に対して、数々の心ないコメントがあったのです。

宮本エリアナさんのカミングアウト

宮本さんは、日本代表として世界大会へ行き、人種差別の問題について訴えたいとはっきり発言しています。アメリカのCNNのインタビューでは「学校でゴミを投げつけられた」「同じプールに入るな」と言われたなどのカミングアウトもしました。

その発言に対して、日本国内から新たな批判を浴びせられました。

「日本代表なのに、日本を敵に回してどうすんの」
「日本代表なのに、日本の悪口を言うつもり?」
「応援したくなくなる」

どうやら、宮本さんは自身の発言により、さらに火に油を注いでしまったようです。

混血の人たちにとっての日本の日常

もちろん、宮本さんは日本の良さも当然分かってらっしゃると思います。しかし日本における混血の方の日常は、本人にしか分からない部分も多く、私などには想像はできても実感は決してできません。

おそらく、彼女の容姿だと絶えず黒人女性だと勘違いされていたでしょう。東京の港区あたりならともかく、田舎では接触する事を敬遠され、「日本語が上手いですね」などと言われたり、日本人として対応されないことは日常茶飯事だったのではないでしょうか。

自分のアイデンティティが次第に分からなくなる状況下もあったのだと想像いたします。中には、そんな状況を逆手にコメディにしてしまうキャラクターのハーフの方もいるかもしれませんが・・・。

宮本さんにおいては、都心での生活でなかったこと、両親の離婚や母子家庭などの複雑な家庭環境、同じ混血であった友人の自殺などもあり、さまざまな状況下を笑いにして楽しむ余裕もなく、ただひたむきに生活をしていた女性だったのかもしれません。

「アメリカ人らしい」「フランス人らしい」とは?

アメリカ人
Keith Allison

アメリカ人といったら、どういった人を思い浮かべますか?昔だったら、色白で鼻が高くて、でかい外人だったかもしれません。今では映画俳優のウィル・スミスさんもアメリカ人であり、タイガー・ウッズさんもアメリカ人だと思いますよね。

フランス人のイメージも「ボンジュール」とささやく色白のお洒落な西欧人だったかもしれません。しかし、サッカーのワールドカップのフランス代表では黒人選手の方々も多く見られました。

極めつけは、オバマ大統領です。彼の父親はアフリカのケニア人です。今回の一部の日本人の心なきコメントは「アメリカ人に見えないから大統領はだめだ!」と発言しているようなものです。

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私の従妹にあった出来事

私は今回の記事を書くにあたって、思い出した出来事があります。昔、私の従妹に結婚話が持ち上がりました。お相手はアフリカ系アメリカ人でした。彼女の父親はその際に何と言ったと思いますか?

「せめて白人の外人だったら、生まれてくる子供もかわいいだろうけど、黒んぼはねぇ」と言って反対したのです。「トム・クルーズみたいな白人であれば」と言っているのと何ら変わりません。

もし、今回のミス・ユニバースの日本代表が滝川クリステルさんだったらどうでしょう。滝川クリステルさんは、日本を代表して東京オリンピック誘致の際の「お・も・て・な・し」の演説で見事に日本を開催国に導きました。

彼女は日本国籍の日本人ですが、父がフランス人という宮本さんと同じ混血の方です。しかし、日本で活躍しているアナウンサーであるという知名度もあり、あの美貌です。彼女が日本を代表してスピーチすることに対しては、何の非難もありませんでした。

人権問題に立ち向かった女性のエピソード

Rosa Parks(ローザ・パークス)という女性をご存知ですか?彼女はアフリカ系アメリカ人で、キング牧師とともに人権問題に立ち向かった女性です。

1955年アメリカ南部、当時は人種分離法により、バス内は白人席と黒人席に分けられていました。彼女がバスの車内で座っていたところ、次第に乗車して来る白人が増え、立って乗車せざるを得ない白人も出てきました。そこで運転手は、座っている黒人に立つよう命じたのです。

しかし、ローザは立たなかったのです。運転手がローザのところにやって来て「なぜ立たないのか」と詰問し席を譲るよう求めましたが、ローザは「立つ必要は感じません」と断固、拒否しました。

まさに、この現代の先進国の日本の中で「ハーフが日本代表?」という発言は、宮本エリアナさんに対して、バスの中で「宮本さんは席を立つべきだ!」と言っているのとなんら変わりません。

「ハーフ」という言葉

この「ハーフ」という言葉は和製英語なのです。外国で「ハーフですか?」などと言ってしまうと嫌な顔をされます。「半分ですか?」という意味です。「完全でない」といった意味合いになります。

上記のワシントンポストの記事でもそうですが、海外のほとんどの記事では『「hafu」とはhalf-Japaneseである混血のことを指す』とかの説明文が添えられています。「half-Japanese」が正しい表現です。

問題は、多民族国家であるアメリカやヨーロッパでは、「ハーフですか?」という質問自体が稀であり、極めてナンセンスであるという点です。右を見ても左をみても、混血の方だらけだからです。混血でない方を探すほうが大変かもしれません。

「ハーフ」は一種の差別用語

いちいちハーフとかクォーターなど区別する発想がそもそもないのです。「ハーフ」という言葉が日本でよく使用されるのは、単一民族国家であるがゆえに起こりうる悪しき特徴でもあり、一種の差別用語とも言えるかと思います。

日本では「ハーフ」という言葉を用いて、日本人の枠外のマイノリティ・グループに区別してしまう。軽い気持ちで「ハーフだから」とか「ハーフなのに」という発言があること自体が欧米では非常に驚くべき事なのです。

海外でも未だに人種差別をしている人は確かに存在します。しかし、人種問題に対してかなり神経質であることも事実です。「ハーフは日本人ではない」などの発言は、耳を疑うもので、決してあってはならない発言なのです。

ほとんどの日本人は「ハーフ」という言葉を発する裏側には、日本人と混血の方を区別する存在意識があると思います。それが混血の方たちにとって、どれだけ精神的な疎外感を与えてマイノリティ意識を植え付けているのか、多くの日本人が気付いてはいません。

日本代表という微妙な立場の宮本さんではありますが、今や日本のローザ・パークス的な存在だと言えます。宮本さんに関する騒動は、日本人にそのことを気づかせる、いい機会であったのかもしれません。

最後に

ミス・ユニバース日本代表の選考会において、少子化を問題視している日本での政治的な思惑があったのかは分かりません。しかし、彼女の出現によって一つの石が投じられ、これからも何らかの波紋が広がっていくのは確かだと思います。

宮本さんは、日本人であると同時に「日本人らしさ」をも身に着けていらっしゃると思います。日本人が持つ「礼儀」「優しさ」「思いやり」を武器に、1ヶ月にも渡る選考期間を乗り切って欲しいと思います。

ちなみに、私の従妹の旦那様とは今では良き友人です。さらに、私の子供はすべて混血ですが、この宮本さんの騒動の話をしたところ全員が「そういえば、我々もハーフだったんだ」と笑ってました。海外にいると自分が混血であることも忘れてしまうみたいです。

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ケン
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日本の大学を卒業後に、フランス、イギリス、アメリカを渡り歩き、気がつけばセブで生活をしている50代半ばのオッサンです。酒とビリヤードを愛する男。セブでは、日本人よりフィリピン人のほうが友達は多いです。ちょい悪オヤジになりきれない、か弱いオヤジ。今までの経験を通して、私らしい情報発信ができれば幸いです。