その留学は本当に”評価されるべき”留学なのか?

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Western Michigan University

留学をする上で難しい問題点に、自身での留学への「評価」があります。当然ですが、留学は実行した人自身によって、かなり評価が左右される傾向があります。今回は、私の留学当初の体験談を踏まえてお話します。

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自分の価値観を押し付ける人

当時、大学の寮に住み、9月からの大学院生活の準備をしながら英語学校に通っていた頃です。Aさんという30歳の日本語を流暢に話す日本育ちのアジア系留学生の方が、同じ英語学校におりました。この方が少々やっかいで社会人経験をこなした自信からか、周囲の若い学生に自分の価値観を押し付けるのです(ただし英語力はゼロ)。

当時、20代前半の私は真っ先に目をつけられ、人生教訓を語られたのですが、曰く「勉強が大切」とか「しっかり英語力を」とかなりチープな教訓です。教訓を語られる割にご本人は英語学校の一番下のクラスでして、なぜ勉強の大切さを問うのに、母国でTOEFLやGMATを受けず、一切の準備をしてこなかったのか不思議でしたが、そんなことは若造の私がツッコミを入れるべきことではありません。

カフェテリアでついに衝突

挙句、夜中の2時に私に電話をしてきて、ご自身のパソコンのトラブルシュートを頼んできたりと、相手の常識を疑い始めた矢先、衝突が起きました。

日本でTOEFLの準備してきた私は留学当初から、まったく英語を解さないというわけではありませんでした。自分で寮や授業の手続きもしましたし、買い物も特に不自由しませんでした。寮でアメリカ人の友達を作り始めたのも結構早かったと思います。

私が寮のカフェテリアで2名のアメリカ人と夕食を食べている最中、急にAさんが現れました。表情から推測して、私たちの輪の中に入りたいご様子。少々イヤな予感が横切りましたが、断るわけにもいきません。「どうぞ」と促すと、私の横に嬉々として座りました。

その時、私たちが話していたトピックは、課題の多さ。これは学生万国共通の愚痴でして、日米関係ありません。私は授業の情報を得るために、どのように授業が行われるのかなどを尋ねていると、急にAさんが大声で叫びました。

「あい、とーかうんごぜ、あちゅ、らぶられ!」

何事かと思い、私がAさんを見ると相手は満面の笑みです。私の友人たちもキョトンとしており、事態が飲み込めない様子。気を取り直して私の友人が言葉を繋ごうとすると、また同じ文句を叫ぶ。当然、私の友人はかなり気分を害した雰囲気に。

私が日本語で何を言いたいのか尋ねると、今日、図書館でアメリカ人と英語で会話をしたとのこと。私はこの時、Aさんの気持ちが痛いほど分かったのですが、英語が全くできないAさんは、きっと英語で話したという事実を周囲に褒めてもらいたかったに違いありません。

ですが、ここはアメリカ。英語を母国語とする人が多い国です。英語を母語とするアメリカ人の学生に対して「ぼく、英語を話したんだよ」といっても、「あ、そう」と返されるのがオチです。

また年齢による序列を重視するAさんに対して、年若い私が「スゴイですね!」なんて下手にいえば、返って相手のプライドを傷つけかねません。相手のプライドを逆なでしないように賞賛の言葉を英語で送ったのですが、アメリカ人の友人たちは、案の定、何いってんだという表情・・・。

場の雰囲気は最悪に

場を取り繕う私を更に困らせる事態が発生しました。
当日のカフェテリアのメニューがスパゲッティだったのですが、Aさんは大盛りのスパゲッティをざる蕎麦を食べる要領で、啜り始めたのです。ご存じの方も多いかもしれませんが、西洋のマナーでは食べる際に音を立てることは基本的にご法度です。

ジュルジュルとパスタを犬食いで啜るAさんに呆れたのでしょう。アメリカ人の友人はひとり、またひとりと席を立ち、私たち二人がテーブルに残されました。するとAさんは、「ふざけるな、あの野郎達!英語ができないからって、バカにしやがって!」と罵倒し、ご自身のマナーの悪さは目に入らないご様子。最初、私は下を向いて黙っていたのですが、私の友人に対するあまりの批判に言葉をはさみました。

西洋のマナーでは麺類はすすらないこと。英語を喋ったといくら喧伝しても、ここはアメリカ。英語を母語とする人が多い国では、自慢の種にもならないことを伝えました。が、予想通り私のアドバイスはAさんの怒りを煽るだけで、今度はテーブルを叩きながら私に長々と説教を始めました。私もおとなしくしていたのですが、もう我慢がなりません。突然立ち上がり、「失礼します!」と叫ぶと、席を後にしました。

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途中で帰国する人

その数カ月後、授業の帰り道、Aさんが寮の前で荷物を運び出している光景を目にしました。聞けば「母国の大学院で良い所が見つかったので、そこに移る」とのこと。私は即座に気づいたのですが、留学を諦めて母国に帰るに違いありません。

事実、その証拠に本人はアメリカに対する恨みつらみをこぼしており、「こんな筈じゃなかった。アメリカはダメです。」と言葉にしておりました。私は自分自身がいずれ同じセリフを吐かないようにと自戒の念を込めて聞いたものです。Aさんとは「お国での益々のご活躍とご発展をお祈りしております」という型通りの言葉を伝え、別れました。

うまくいく人・うまくいかない人

私は留学がうまくいった人といかなかった人の学力の差は、実は紙一重だと思っております。むしろ、本人の持つ思考の柔軟性、運、体力、社交性、健康、友人の有無などの要素が複雑に絡み、結果の違いを生み出していると考えています。問題は、思考の柔軟性を保持しながら自分のアイデンティティを守りつつ、どう環境に適応できるかです。

私のように40歳にもなり、ムダに海外での経験が長いと、今までの過去の経験にすがりがちになり、周囲の状況の判断に自分の価値観を当てはめ、独断に走りがちになります。若い頃は勝手なことをいうと、周囲の大人が諌めたり、親が注意してくれますが、年を取るに連れ、誰も構ってくれなくなります。どこからどこまで自分の経験や考えに頼ればいいのか、いつまでも学んでいけるような人間になるにはどうしたらいいのか、私は自分自身に対して問いかけています。

最後に

私は以前から申し上げるように、他人に留学は勧めません。別段、私にとって留学そのものが悪い選択だったとは思っておりませんが、個人が留学をどう捉えるかによって、留学の評価はかなり変わるのを横目で見てきました。留学が万人向けではないゆえ、簡単に勧めるわけにはいかないのです。ただし、今回お話したような経験を振り返ってみると、やはり若い方は積極的に海外に出て、良い悪い両方の経験を積まれるべきではないかなとも思うのです。

決して留学は当人にとって良い結果をもたらしてくれるとは限らず、心の傷になってしまった事例も知っています。しかし、日本に残って学校を卒業し就職をしたとしても、すべての経験が良いものであるという保証はありません。むしろ就職した後のほうが辛い経験が多いかもしれません。だとしたら、まだ失敗が許される学生の間に、リスクを背負うべきという考えも成り立ちます。

留学をするかしないか、迷っている方に参考にしていただけたら、幸甚です。

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この記事を書いた人

命かげろう
命かげろう

初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。