2度のテロの恐怖も乗り越えて自分の成長を実感できた--トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.6後編

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フランス・ストラスブール大学で演劇を学んだトビタテ生の栃倉那帆さん。大好きな演劇を景観の美しい街ストラスブールで学ぶことができただけでなく、日本文化の発信イベントやアヴィニョン大学のサマーコースへの参加など精力的に活動されました。栃倉さんが留学中にした忘れられない体験やそれを通して成長できたことなどをインタビューで聞いてみました。

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前編はこちら
フランス・ストラスブール大学で学ぶ演劇--トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.6前編

今回インタビューしたトビタテ生

アヴィニョンで共に演劇を作った仲間たち

栃倉那帆さん

栃倉那帆さんはお茶の水女子大学の4年生で、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム3期生としてフランスに留学されていました。フランスでは語学学校に通った後、ストラスブール大学で演劇を学び、アヴィニョン大学のサマーコースで実際に演劇を作り上げました。

日本文化を発信するイベントも開催するなど充実した留学生活を送り、成長を実感して帰ってくることができたそうです。そんな栃倉さんの留学について2回に分けてお送りします!後編の今回は留学中の印象に残っている体験と実践活動についてお伝えします。

漫画・縁日・茶会で日本文化を発信したい!

ーー フランスではどんな実践活動をしましたか?

茶会で飾られた華道の花

日本の文化を発信するイベントを色々やりました。大学の日本語学科のフランス人学生と日本人留学生による日仏会話サークルに参加したり、お茶会を開催したりしました。お茶会は、日本人留学生と協力して、お茶だけでなく、和菓子を提供したり生け花の展示をしたりと、日本文化を凝縮したイベントになりました。高校時代の華道部での経験が役に立ちました。

また、ストラスブ―ルで開催された、日本の伝統文化やお祭りの雰囲気を味わえるイベント、Midori Matsuriにボランティアとして参加しました。当日は、広い会場全体がアニメやコスプレをはじめとする日本のモノで埋め尽くされていました。そこで私はMidori Matsuri内の縁日ブースで金魚すくいやけん玉等の伝統的な遊びを説明しました。

テロによる恐怖、友達という宝

ーー 留学中、一番悩んだり苦労したりしたことは何ですか?

渡航直前、ストラスブ―ル大学に受け入れを拒否されたことです。必要とされるフランス語の語学水準は日本にいる時点でクリアしていたのに受け入れ許可が下りませんでした。悔しくて、現地に着いてから直接教授に直談判しに行きました。「私はこの大学で演劇を勉強したいんです。日本でちゃんとフランス語の勉強をしてきたし、これからフランスの語学学校にも通います。」と実際に教授にフランス語で伝えることができたので、「問題ないよ」と受け入れてもらい、入学できました。

他には、人種差別が大変でした。あるとき、スーパーで店員さんの態度が無愛想だったんです。フランス人はみんなに対してそういう接客をしているんだとも思いましたが、ヨーロッパ系の友達には明らかに態度が違いました。アジア人を真似るような言葉で馬鹿にされたり、すれ違いざまにフランス語で「国に帰れ」と言われたことがあったりして、結構ショックでした。もちろんフランス人全員がそういうわけではないですが、中にはそういう人もいました。

あと、パリでテロが起きた時は怖くて眠れませんでした。ストラスブールからは電車で2時間半くらいの距離でしたが、それでも不安でした。近くの広場の銅像の前に、花束やキャンドルが手向けられているのを見て、対岸の火事じゃないと感じました。ニースでテロが起きた時は、近くのアヴィニョンにいたのですが、ニースに旅行に行った友人と連絡が取れず、とても不安になりました。その後無事が確認できたので良かったです。

2度のテロでは今までにない恐怖を感じ、同時に平和の尊さも痛感しました。これらの経験から、異文化を正しく理解することが大事だと思い、日本文化も正しく誤解ないように伝えたいと思うようになりました。日本を発信するイベントを始めるきっかけにもなりました。

ーー 反対に、一番嬉しかった、感動した瞬間は何ですか?

受け入れを拒否されていたストラスブール大学に入れた時ですね。「実際にフランスに来て交渉するなんて、あなた勇気あるわね!」と言ってもらって行動力を褒められたのが嬉しかったです。

自分が変わったと思うのは人付き合いの仕方です。テロがあった時、現地の友達と話すことで不安が大幅に解消され、人付き合いに対する考えが変わりました。それまでは、本当に仲のいい親友だけが数人いればいいという考えだったのが、そんなこともないんだな、と。友達がたくさんいるって素晴らしいな、と。人間関係にドライであってはいけないと思うようになりました。友達の誘いを断らないようにしたり、積極的に日本料理を作ってあげたりと、人付き合いの仕方が変わって、どんどん友達が増えました。様々な国籍の友達が増えたのが宝だなと思います。

ーー 留学中にかけられた言葉で、印象的だったものはありますか?

日本人の友達に、「那帆さんってトランプでいうジョーカーみたいだね。」って言われたことがあります。どんな人とでも話せる、どんな組み合わせでも大丈夫という意味だったようで、それまで自分は人見知りだと思っていたので驚きました。人って変わるんだな、と思いました。フランスでテロなどの困難な経験をし、思ってもみないことが起こっても動じなくなり、人間関係も広がっていろんな人と話すようになりました。

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総括として取り組んだ演劇作成で成長を実感

アヴィニョンの教皇庁

ーー 留学の計画達成度と満足度はそれぞれ100点満点中何点ですか?

達成できなかったこともあります。70%くらいの達成度です。マイナスの部分は、毎日日記をフランス語で書くと決めていましたが毎日は無理だったことです。あと大学のクラブ活動に参加しようと思っていましたが、スケジュール的にかなわなかったので。

でも留学満足度は100点です!達成できなかったことはありますが、それ以上に、予期していなかったことが得られたので。こんなに友達ができるとは思わなかったし、こんなに性格も変わると思っていませんでした。

ーー 留学のハイライトについて教えてください。

アヴィニョン大学での1カ月です。ストラスブールにいた時は自分の成長についてもやもやしていました。フランス語も来る前よりは話せるようになったし、演劇も理論の面では学べたけど、本当に成長できたのだろうか、と。でもアヴィニョンで、実際に様々な国籍の学生がフランス語で一つの演劇を作り上げて演じるプログラムに参加して、コンプレックスもなく、語学も含めた自分の成長を感じられました。大学で学んだことも実践できたし、留学の総括のような感じでした。

ーー アヴィニョン大のプログラムは元々計画にあったんですか?

当初の留学計画にはありませんでした。ストラスブールにいた頃、自分が成長できているのか悩んでいた時に、フランス大使館のFacebookで見つけたんです。これは私のためにあると思い、参加を決めました。アヴィニョン演劇祭を生で観たいというのもありました。

ーー 留学での経験を、これからどうやって活かして行こうと思っていますか?

留学中に本当に多くの人と関わったことで、日本と他国の人をつなぐ交流を手助けしたいと思うようになりました。様々な方のお話を聞きながら自分のやりたい仕事を明確にしていくのが近々の目標です。トビタテのコミュニティーも大事にしたいです。

これからトビタつ全ての人たちへ

ーー トビタテ!に応募する人へのメッセージをお願いします。

絶対応募したほうがいいです。このプログラムは2020年までを目途にしているので、それ以降はどうなるか分かりません。この時代に学生であるということを利用して応募してほしいです。応募するだけで、合否に関係なく自分のためになります。申請書を書くだけで自分を見つめ直せるし、本当にやりたいことが明確になります。

ーー では、もっと広げてこれからトビタつ全ての留学生へのメッセージをお願いします。

留学に挑戦したいという思いはそれだけで貴重なことで、大きな価値があります。その気持ちを大事にしてほしいです。日本の外に出ていくことで、外から日本を見つめ直すことができます。今まで育ってきた環境や文化と違うところに行って、自分の軸が何か考えるようになります。

就活の兼ね合いで悩んでいる人もいるかもしれませんが、絶対にプラスになるし、自分の成長になるから迷わないでほしいです。準備も大変だとは思いますが、ビザや住居の手配など、それも含めていい経験になります。私は、フランス留学経験者の個人ブログを参考にしたり、フランスに留学する友達とも助け合ったりして準備しました。皆さんの留学を応援しています。

後編を振り返って

今回は栃倉さんの留学中に印象に残っている体験やトビタテ生として必須である実践活動に焦点を当ててお聞きしました。

栃倉さんは、テロというめったに体験しない危機的状況に遭遇しながらも、大好きな演劇を学ぶという軸を中心に、ストラスブール大学での講義やアヴィニョン大学でのサマーコースから沢山のことを吸収されました。多くの経験を通して成長したという栃倉さんのお話はこれから留学する方たちにとっても大きな励みになると思います!

ストラスブール大学のロゴです
名称Université de Strasbourg(ストラスブール大学)
国・都市フランス / ストラスブール
学校形態大学大学院
住所4 Rue Blaise Pascal, 67400 Strasbourg, フランス
電話番号+33 3 68 85 00 00
公式サイトhttp://www.unistra.fr/
口コミサイトhttps://ablogg.jp/school/114/
アヴィニョン大学のロゴです
名称Université d'Avignon et des Pays de Vaucluse(アヴィニョン大学)
国・都市フランス / アヴィニョン
学校形態大学大学院
住所74 Rue Louis Pasteur, 84000 Avignon, フランス
電話番号+33 4 90 16 25 00
公式サイトhttp://www.univ-avignon.fr/
口コミサイトhttps://ablogg.jp/school/10448/

インタビュアー

保坂福斗(ほさかふくと)/ 早稲田大学1年 / アブログインターン生

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THE RYUGAKU [ザ・留学] 編集部です。留学コニュニティサイト『アブログ』も運営しています。

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