「音楽の街ハレ」知られざるその魅力とは?ーーマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク留学生インタビュー

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今回のインタビューはマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク、ピアノ教育修士2年の大木美穂さんです。現在はピアノの先生として働きながら勉学に励む大木さんに、音楽の街ハレについてお話をうかがいしました。

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これまでコンサートに300回以上通い、本も100冊以上読んだという勉強熱心な大木さん。留学生活の過ごし方や2年目に直面した困難、そして大木さんにとって音楽の存在とはどんなものなのか、お話していただきました。

音楽の街ハレ

ドイツハレにはるヘンデルの生家

(ヘンデルの生家)

ーー ハレはどんな街ですか?

ハレは「教育の街、音楽の街、文化の街」と唱っているくらい、音楽が盛んな街です。「ハレルヤ」の作曲家で有名なヘンデルもハレ出身で、街中には像があり、生家も大学のすぐ隣にあります。バッハの長男もハレに住んでいたんですよ。今でも200年以上前に彼が住んでいた家がミュージアムとして残っています。

6月にはヘンデル祭があり、街のいたるところでコンサートが行われます。音楽を学びたい人にはおすすめの街です。

ーー 治安はいかがですか?

治安は、正直あまりよくないと思います。危ないな、と思う人がいたら避けるようにしています。差別的な発言や怖い思いをしたこともありますが、それはどこの国にいっても同じだと思うので、ハレだからという認識はありません。最初はそのような発言をされる度に動じてしまっていたのですが、今は地に足がついて気にしなくなりました。

外国人として外国に住むのって簡単なことではないですよね。だからこそ、自分が日本に帰ったときも日本にいる外国人の方に対して、そういう態度をとってないか考えることを肝に銘じるようになりました。

ーー 気候はいかがですか?

ドイツは寒いイメージを持たれる人も多いと思うのですが、夏はかなり暑くなります。暑い時は38度くらいまで気温が上がるのですが、大学にも家にもエアコンがないので、慣れるまでは大変でした。

ーー エアコンがないのは大変ですね。どうやって暑さをしのいでいるのですか?

そうなんです(笑)エアコンがあるのはデパートくらいですね。なので、暑い日は湖に泳ぎに行きます。ハレには公園がたくさんあるので、夏は湖に人が集まっています。

ハレは人の温かさが魅力

ドイツハレのヨーロッパサマーアカデミーにて。通訳させていただいたヨッフェ先生と。

(ヨーロッパサマーアカデミーにて。通訳させていただいたヨッフェ先生と。)

ーー 留学前後のイメージのギャップはありますか?

ハレは本当に住みやすく、現在通っているハレ大学もいい大学だなと前向きな意味でのサプライズはあります。先ほどハレは治安が悪いとお話ししましたが、人が温かくて住みやすさは感じています。

ーー どのようなところに住みやすさを感じますか?

ドイツは旧東側と西側で雰囲気が違うと言われているのですが、私は東側が好きです。昔ながらの町並みや風景が残っていて、昔のドイツを知らない私でもどこか懐かしさを感じます。家族のような温かい雰囲気で、新しく来た人たちも迎えてくれるのが心地いいですね。

ご存知の通り、ドイツは難民を受け入れているので最近はよく街中でも見かけるようになりました。ルームメイトの一人が難民の施設でドイツ語を教えたり、教育に関するアルバイトをしているのでその話もよく聞きます。

クラシックコンサートに行った回数は300回以上

ドイツのゲヴァントハウスにて友達との写真

(ハレ大学のピアノ科の仲間たちと。ゲヴァントハウスにて。)

ーー 現在の滞在方法を教えてください。

今はドイツ語でWG(ウェーゲー)と呼ばれるフラットに住んでいます。シェアハウスのような形で、部屋は一人部屋でキッチンやバスルームなどは共用です。フラットメイトは全員ハレ大学のドイツ人で、学校から帰ってきた時や朝食のときによく話します。

ーー 週末はどのように過ごしていますか?

平日にできなかった練習を休日にやることもありますが、夏は湖に行ったり、友達とごはんに行って気分転換しています。コンサートや外部のピアノ教育セミナーに行くこともありますね。

ーー コンサートにはどのくらいの頻度で行くのですか?

今は週3回行くこともあります。ハレから電車で30分くらいのところにライプツィヒがあるのですが、そこにゲヴァントハウスという有名なコンサートホールがあり、本場の音楽を楽しめるのでよく行っています。

これまでクラシックコンサートには300回以上行きました。

ーー 300回!それはすごいですね!

コンサート評論ノートというのを作っていて、今は4冊目です。初めは感想文のようなことしか書けなかったのですが、回を重ねるうちに批評を書けるようになりました。コンサートに何回も足を運ぶことで、自分が音楽をドイツで深く学びたいと思うようにもなりました。

ーー 回数を重ねることで何か変化や学びはありましたか?

成果として、やはり数はものを言うなと感じました。もともと300回を目標にしていたわけではないのですが、行けるコンサートはすべて行くようにしていました。多い時は月に10回以上行ったこともありましたね。大学時代には本も100冊以上読みましたし、数をこなすことで自信は生まれたと思います。また、以前よりもコンサートに行くことに対して意気込まなくなりました。ルーテーイーンで日常の一部になっています。

変化としては、最初と比べて音楽を聴けるようになりました。

ーー 具体的にはどのようにコンサートをお聞きになるのですか?

作曲家が何を伝えたいのか、そして演奏家がそれを再現するためにどう表現しているのか、テクニック的な部分を聞いています。もちろん、単純に音楽を楽しむことも忘れません。コンサートに行く度に、毎回音楽家として原点に戻れるんです。

今はコンサートに行く回数が多すぎてもう評論は書いていないのですが、パンフレットやチケットをノートにはさんでとってあります。

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ピアノの個人レッスンで先生として働く

ドイツのハレ大学生徒とのピアノレッスン中の写真(大学内にて)

(生徒とのピアノレッスン。大学内にて。)

ーー 大木さんは現在お仕事もしていらっしゃるのですよね?

はい。今は個人のピアノレッスンをして学費や生活費を稼いでいます。最初の1年間は自分が貯めた貯金と学部生時代にもらっていた奨学金の残りを使って生活していたのですが、2年目は奨学金を貰うことができなくて、仕事をしないと生活できない状況になりました。日本の奨学金制度では「ドイツでピアノ教育を学んでいる」といってもまだ受け入れてもらいにくいのが現状です。

仕事が見つからなかったらどうしようという不安にさいなまれたのですが、留学を続けるには何か見つけるしかありませんでした。やると決めてからは街のカフェに履歴書を送ったりもしたのですが、やはり自分が今学んでいるピアノを活かしたいと思い、個人レッスンの生徒を募集するためにホームページを作ったり、ポスターを街の掲示板に貼りました。

その結果、宣伝を初めて1ヶ月で10人生徒の応募が集まり、今では12人の生徒に個人レッスンをしています。小さい子は7歳、上は親子で習っている方のお母さんで50歳くらいと年齢層も幅広いのですが、予想よりも早く生徒が集まったので安心しました。

ーー 最初の不安はどのように乗り越えたのですか?

人は困難に当たると、ネガティブな言葉が自分の中で渦巻くと思うのですが、それをどうやって自分の中でポジティブにしていくかが大事だと思います。私は仕事が見つからなかったらどうしよう?という不安を、見つけるにはどうしたらいいのか?生徒を集めるにはどうすればいいのか?と思考を具体的な行動に変換したことで乗り越えられました。

もし生徒が集まらなかったら、ハレでピアノの生徒を見つけるのは難しいと思って他の道を探そうと思っていました。まずはやってみないとわからないですよね。

ーー 他になにかお仕事はされていますか?

あとはAnd Visionという音楽留学を斡旋する留学エージェントで、現地スタッフとして学生のサポートをしています。具体的には、要請があったときにハレの情報を提供したり、学生ビザをとるお手伝いをするのが私の業務です。

ーー このお仕事は出発前からやると決めていたのですか?

いえ。毎年夏にヨーロッパサマーアカデミーというイベントがハレで行われるのですが、そこに来ていた日本人学生の多くがAnd Visionを使って来ていたことをきっかけに会社を知り、自分で会社に連絡をしました。

イベント自体は10日間マスタークラスのレッスンを受けることができ、毎日コンサートが開催されるので世界中の音楽学生が集まってくるのですが、そのイベントで通訳をしていたのがきっかけです。そもそも日本人の学生がハレを視野に入れていないことが多いのですが、去年イベントに参加していた日本人の学生を私の先生に紹介した結果、今年の10月から一人の学生がハレに来ることになり、嬉しく思っています。

音楽は人生にとって大切なことを教えてくれた

ーー 最後になりますが、大木さんにとって音楽とはどんな存在ですか?

私自身は音楽を学ぶこと、そしてピアノを通して人生にとって大切なことを学んだ気がします。音楽は人が生んで、人が発展させてきて、今も人が発展させ続けています。それが私にとって音楽が偉大な理由であり、そういうことを伝えられる先生になりたいです。

編集部コメント

大木さんはドイツ語を使って現地で働くことは出発前からやりたいことリストに入っていたとおっしゃっていましたが、困難に直面した時でもそれをプラスに変えて、行動に移す力が自分の可能性を広げるのだと感じました。留学中は楽しいことばかりではないかもしれませんが、ピンチをチャンスに変える心意気が目の前の状況を変える秘訣だと思いました。

今回紹介したドイツのハレ大学の口コミ

ハレ=ヴィッテンベルク大学のロゴです
名称Martin-Luther-Universität Halle-Wittenberg(ハレ=ヴィッテンベルク大学)
国・都市ドイツ / Halle
学校形態大学大学院
住所Franckeplatz 1, 06110 Halle (Saale), ドイツ
電話番号+49 345 5527252
公式サイトhttp://www.uni-halle.de/
口コミサイトhttps://ablogg.jp/school/7099/

インタビュアー

安彦海咲(あびこみさき)/神田外語大学4年/アブログインターン生

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THE RYUGAKU [ザ・留学] 編集部です。留学コニュニティサイト『アブログ』も運営しています。

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