東日本大震災から学んだ海外在住者である私がやっている災害対策
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海外に住むことによって生じる課題のひとつに、日本に残してきた家族、親族の安否があります。私は2011年3月11日に起きた東日本大震災をきっかけに、色々と工夫するようになりました。その当時起きたことを絡めて、私の体験、工夫をご紹介します。何らかの参考になったら幸いです。
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早朝4時46分に東日本大震災が起きる
東日本大震災が起きた当日、私はミシガン州の自宅でいつものように寝ておりました。地震は当日の午後2時46分に起きたので、14時間の時差のあるデトロイトは前日の午前4時46分。当然寝ているわけです。ですが、私はアメリカ人の友人からテキストメッセージで目が覚めました。
Is your family OK?
このメッセージで私は日本で何か起きたなと悟りました。iPhoneを放り投げ、パソコンのスイッチを入れ日本の新聞のホームページを開くと、地震速報が目に入りました。
巨大地震によって崩れ去る建物の写真が掲載され、あまりの規模の大きさに地震がどれだけ日本に被害を与えたのか検討もつきません。おそらく、日本のメディアもその当時はよく何が起きたのか把握できていなかったでしょう。
家族の安否を確認
すぐにSkypeで私の両親宅に電話を入れたのですが、電話が混み合っているとの自動メッセージが流れるだけで連絡がつきません。そこで一計を案じ、静岡に住む私の母方の叔母に電話をかけました。
すると相手に繋がり、私の両親から家族は無事だとの連絡がすでに入ったとのこと。ひとまず安堵し、叔母家族の安全を確認した後、電話を切りました。メールをダメ元でチェックしてみると、なんと私の姉からメールが入っておりました。送信元のメールアドレスは彼女の携帯電話のアドレスです。後で聞いてみると、地震により自宅のネットと電話はダウンして私への連絡は断念かと思ったらしいのですが、なぜか携帯電話のメールは生きており、私にメールを送ることができたとのこと。
いつもと違う会社の雰囲気
会社に出社してみると、すでに日本での地震は私の会社で米国人の間にも広まっており、慌ただしい雰囲気です。中には携帯電話で必死に日本に連絡を取ろうとしている人もおり、悲痛な表情を浮かべている人もおります。
会社のテレビではニュース速報が流れ、津波に襲われる日本の表情が映しだされており、私としては為す術がありません。私は自分の会社に10年以上勤めていますが、日本人の職員が仕事をしないで一日中、ネットでニュース速報を見たり、電話をかけたり、慌ただしく同僚と話したりと仕事をしないでいるのを見たのは、この日だけではないでしょうか。一般的に日本人の職員は会社に来ても同僚と話し込まずに一心不乱に仕事に打ち込む姿勢が強いのですが、この日限りはまったく違う一面が見えました。
当日、仕事の関係上、北にある工場に行かなければいけなかったのですが、そこでも同じようにYoutubeにアップロードされた動画を見たり、ニュース速報を見たりと、皆仕事が手に付かない様子でした。
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アメリカ人にも衝撃だった大震災
後日、例のテキストメッセージをくれたアメリカ人の友人に、なぜ早朝なのに地震に気がついたのかと尋ねると、彼女はどういうわけかその晩よく眠れず、トイレに起きた際、テレビの電源を入れたそうです。すると偶然ニュース速報で日本の地震について流しており、その規模の大きさに驚いたとのこと。日本人だけでなくアメリカ人にとっても、この地震は大きな衝撃だったようです。
地震から数日後、私が通勤がてらコーヒーを手に入れようと、スターバックに立ち寄った時のことです。米国のスターバックスではカウンターの脇に新聞が置いてあります。その一面トップ記事が日本の地震災害を報じる記事でした。
高校生と思しきイガグリ頭の少年二人が避難所で抱き合う写真です。気軽にHugするアメリカ人と違い、日本人の男性は抱き合わないと私は思っていたのですが、涙を流しながら再会を喜びきつく抱きあうその姿に、私は改めて地震の被害の深刻さを見る思いでした。
思わず新聞を手に取り、記事を読みふけっていると、私に対する視線に気づきます。顔を上げると、心配そうな顔をしたアメリカ人のお客さんたちが、私のことを取り囲んでおりました。
海外在住者としての災害対策
この地震を機に万一の災害時の対策に乗り出しました。デトロイト周辺に地震はありませんが、私が火事や殺人、交通事故によって命を落とす可能性はあります。竜巻は時々近くまで来ますし、原子力発電所もありますから、「絶対に」何もないとはいえません。
アメリカ側の対策
1. 「在留届」の確認
2. 日本人の友人たちとの連絡網
3. 各種保険情報の共有
4. 自分の銀行口座などの相続人の確認
5. 銀行担当者の連絡先などを日本に通知
日本の領事館が実施している制度に「在留届」というものがあります。要は日本での連絡先登録ですが、邦人が米国で亡くなった際、警察を通して領事館に連絡が行き、領事館から日本の家族に連絡が行くようになっています。実際、私の知っている人が亡くなった際、領事館から日本に連絡が行ったそうです。
私と連絡がつかなくなった場合、すぐに駆けつけることができない家族のために、私の周辺に住んでいる親しい日本人友人との間に連絡網を作りました。同様に彼らのご家族にも私の連絡先を伝え、何かの際に力になることを約束しました。またアメリカで加入している保険情報と担当者をリストにし、日本に伝えました。
銀行の口座などの資産の相続人に家族の名前がしっかりあることも確認しました。また自分が取引している銀行口座の番号、担当者を含めた連絡先を日本側に伝え、万一私がアメリカで亡くなった場合でも、日本の家族が私の財産を引き継げるよう手筈を整えました。
銀行員をしているアメリカ人の友人から聞いた話ですが、ある邦人夫婦のご主人が交通事故で急死。残された奥様は英語が不得手だったにもかかわらず、相続人に自分の名前がなかったために、英語で弁護士と交渉をしなければいけなかったとのことです。
日本側の対策
1. ガラゲーの携帯アドレスの保持
2. 日本側の銀行、保険などの情報共有
3. 親戚などの連絡先一覧
連絡手段ですが、地震の際、コンピューターや通常の電話は連絡手段としてあまり頼りにならないことがはっきりしました。よって、日本とアメリカのやりとりは災害時、困難を極めることが予想されます。
今まで日本の携帯電話についてくるドコモなどの携帯メールアドレスは不要だと思っていたのですが、万一のために残しておくよう日本の家族に依頼しました。同様に日本の銀行などの情報を提供してもらいました。万一の連絡の際困らないよう、日本の親戚、親と仲の良い友人の連絡先リストも手に入れました。
大切なことはすべての情報を紙に打ち出して保管して置くことです。電気がおちたりコンピューターが壊れると、情報が引き出せなくなるのは困ります。
ここでの課題は、情報の「共有」の仕方です。以前は私の両親がパソコンで作ったリストを郵送で送ってきたのですが、郵便事情が悪いアメリカゆえに、2ヶ月ほど掛かりヤキモキしたことがあります。単純にメールにファイルを添付するやり方は、実はセキュリティ上好ましくありません。
よって、私は電話をかけながら、両親のパソコンにリモートで入り、ファイルにWinRARでパスワードを掛けてファイルを圧縮。その圧縮ファイルを自分にメールで送信し、アメリカで解凍という方法を取っております。
最後に
万一の対策は万全ということがないので、現在の時点ではこれが限度かなと思います。もしこのサイトの記事を読んでおられる方でもっと良いアイディアをお持ちの方はぜひ、記事を書いて知恵を共有してほしいと思います。
最後に、東日本大震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
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この記事を書いた人
初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。