スペインでビジネスを始める際の引き継ぎ「Traspaso(トラスパソ)」とは?

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仕事がないスペイン。それなら商売を始めればいいじゃないか?という発想を持つ人もたくさんいるようです。ところが、スペインは何かにつけて「許可」をもらうのが大変な国。そこで、もはや誰かがやっているビジネスを引き継ぐ「Traspaso(トラスパソ)」の際の注意点をご紹介いたします。

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Traspaso(トラスパソ)とは?

Traspaso(トラスパソ)とは、日本でいうところの「居抜き」に近いもので、ビジネスの権利を引き継ぐものです。筆者は、たまたま食品店をそのまま譲渡したいというオーナー夫妻に出会い、条件は5600€で店内にある備品と商品、および権利を全て譲るというものでした。家賃は月400€とのことでした。この商談の経験をベースにトラスパソについてお伝えします。

大事なのは「La licensia de apertula(営業許可証)」の確認

日本でもそうですが、スペインで商売するのにもライセンスが必要です。これがないと、市役所に見つかれば営業できなくなってしまいます。「La licensia de apertula(営業許可証)」の確認は絶対に必要です。

ところがトリッキーなのが「許可書は届いていないけど、許可はもらっている」という回答。つまり、許可の申請はしていて、ただ証書が届いていないけど、問題ないと筆者は言われ、弁護士と現在商店をやっている第三者に確認すると「許可証そのものがなければ、ないのも同然」という回答でした。許可証がない場合、契約は避けましょう。

購入するビジネスは正規のビジネス?

スペインに「negocio negro(ネゴシオネグロ:非合法ビジネス)」というものがたくさん存在しています。これを買ってしまうと、正規のビジネスにするために、多大な労力や出費がかかり、それでも成立しない可能性もあるのです。

そこで、きちんと手続きされたビジネスかどうか見分けるために、以下の書類を売却側から提出してもらいましょう。

  • La licensia de aperture(営業許可証)
  • Del alta en seguridad social(社会保障の登録)
  • De contrato de alquiler de local(店舗の賃貸契約書)
  • De pagos de declaraciones de IVA y de IRPF de este ano(今年の消費税と所得税の支払い証明書)
  • NIE/ DIN(売主の身分証明書)

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購入側が必要な書類

筆者が商店のオーナーと面談した際、店舗のオーナーも紹介してもらいました。店舗のオーナーは「Aval Bancario(残高証明書)」を要求してきました。

この残高証明書はどこの銀行でも発行できるものではなく、銀行によっては日本の所得証明を公証役場で公証しスペイン語に翻訳しないと発行できない、という銀行もあれば、簡単に作ってくれる銀行もありました。

ただし、口座開設はどこの銀行でもそれぞれ条件があるので、簡単に手に入る書類ではないようです。

注意点

居抜き物件のオーナーは5600€払ってくれれば、「明日からでも商売始められるし、商売を始めれば、すぐに居住権も手に入るよ」と簡単に言っていました。実際にはスペインでビジネスをしているからといって、簡単に居住権が入るわけでもなく、また店舗のオーナーが「もう出て行ってください」と契約期間後に言われてしまえば、売れ残った在庫を抱えて路頭に迷うことにもなりかねません。

日本の賃貸契約では借主が守られていますが、スペインでは敷金だけで賃貸契約が交わせる代わりに、借主の権利が守られていないのも特徴です。そこで、下記の点に注意が必要です。

  • 契約期間と最低契約していなければならない期間の確認
  • そこの店は何年ぐらい営業していたのか
  • 他の店舗はないか(これは他の店舗では合法にやっていて、もう一店舗は非合法の場合があるため)
  • オーナーがビジネスを手放す理由(国に帰る、という場合は後で問題があっても、追いかけられません。また、もう一店舗は残す、と言う場合は売却 する店の売り上げ利益がない可能性もあります)

まとめ

誰かが始めてくれたビジネスを引き継ぐのは手っ取り早い方法もありますが、その分リスクも高いのです。最も自分で一からやるのは、とても大変なのがスペイン。開業の手伝いをしてくれるサービスも弁護士、会計士、不動産業などありますが、必ず違う種類のプロフェッショナルに相談し、最終的には市役所でそのビジネスはきちんと登録されているか自分で確認してから契約しましょう。

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この記事を書いた人

bruja
bruja

スペインに親子留学をしたのがきっかけで、移住することに。1年近くいるのに、適当なスペイン語しか話せていません。それでも、スペインのいい加減なお国柄を最大限に利用して、楽しく自分らしく暮らしています。

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