日韓通訳・翻訳の難しさとは?ーー啓明大学校の留学経験者インタビュー

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韓国の大邱市にある啓明大学院通・翻訳学科 修士に通う長谷川睦実さんのインタビュー。第3弾では韓国ならではの、教授を敬う文化や先輩との上下関係、通訳・翻訳の難しさについてお話を伺いました。

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韓国の大邱(テグ)広域市にある啓明(ケミョン)大学院通・翻訳学科修士課程に通う「長谷川睦実(はせがわ むつみ)」さん。韓国政府招聘奨学生として大学院留学をしている長谷川さんに、韓国留学で苦労したことや通訳・翻訳の難しさをお聞きしました。

韓国の上下関係を重んじる文化に苦労

韓国大学院留学 通訳翻訳 引っ越し

(ジプドゥリといわれる引っ越し祝いの様子。)

ーー 留学生活で、苦労したことはなんですか?

教授との関係の築き方です。韓国では教授をとても敬う文化があり、学生が先生の鞄を持ったり、食事会の際にも教授の姿が見えなくなるまで見送るのが礼儀です。他にも、5月15日の先生の日にはお祝いとして花をプレゼントしたり、一緒に食事をしたりします。日本人ならメールで済ますちょっとした用事でも、教授に連絡するときはまずは電話をするのが礼儀です。もちろん、直接会って伝達するのが一番良いので、韓国の学生の間ではいかに教授の研究室に通うかが大事という認識があるようです。

ーー 韓国は上下関係が厳しいイメージがありますが、先輩との付き合いはどうでしたか?

本当は、先生にコーヒーを入れたり学科の飲み会の手配も一番目下の私がやらなければいけなかったのですが、土地にも詳しくなかったので、周りの先輩がやってくれました。日本語専攻だったので、日本文化にも理解があり寛容だったのかもしれません。

ーー 韓国語を勉強するモチベーションの源はどこにありますか?

最初の大学で経営学を学んでいた頃は、副専攻のような形で英語学習法研究のゼミに入っていたのですが、スピーキングだけは自信が持てないままでした。そんなとき、英語はだめでもゼミでやったことを別の言語学習に適用したらうまくいくのではないかと思いたちました。日本語と似ている韓国語なら、と英語での挫折を韓国語でリベンジしようと、独学を続けていました。

韓国語は日本語と似ている部分も多いので、ある程度までは簡単に習得できるのですが、中級以上になるとそこから上を目指すのって結構難しいんですよね。そこで苦戦している友達も多かったです。

通・翻訳はプレッシャーに打ち勝つ強いハートが大事

韓国語 留学 大学院

(韓国語独学時代に使用していた単語ノート)

ーー 韓国語の通訳翻訳の難しさとは何でしょうか?

どの言語にも共通しますが、初〜中級は文脈に関係なく置き換え、暗記ができる単語が多いため、通訳や翻訳もわりとカンタンにでき、伸びを実感できます。しかし上級になればなるほど、文脈や状況によって訳が何パターンか考えられたり、最も適切な言葉選びをしていく必要に迫られたりするのが難しいところです。

また韓国語は発音が似ている単語も多いので、特に通訳の場面では混乱することもあります。例えば、数字の「3(サム)」と「4(サ)」など超初級単語で目で見れば絶対間違わないのに発音が似ているせいで記憶が曖昧になります。聞き取りの時点では3と4の区別ができていたのに、メモを取る時には逆に書いていたとか、逆にメモは完璧に取っていたのに実際に口に出して訳したときに逆のことを言っていた、などの間違えがしょっちゅうあります。これは私だけでなく、同僚たちにもよく見られるミスです。

ーー ネイティブでも同じミスをしてしまうんですね。なぜそのようなミスが起きるのでしょうか?

通訳をしている時は常に二つ以上の動作を同時進行しているせいだと思います。一つの動作だけなら誰も間違わないようなことでも、発話を聞きながらメモを取る、訳しながらメモを書く、メモを見ながら訳出しする…など、通訳に入ったら最初から最後まで同時に二つ以上の動作をするため、どうしても注意力が落ち、精度が落ちてしまうのです。

逆に翻訳は、締め切りまでの時間が許す限り好きなだけ原文に寄り添っていられます。わからないことがあれば調べる時間的な余裕がありますが、その分完成度が求められます。そして何らかの形で残ってしまうのでミスは許されません。

いずれも原文を知っているのは通訳や翻訳を任された自分ひとりだけです。文章や発話者の意図がわからなくても、私たちは「わからない」とは言えないのです。通訳は聞いている人が理解できるように、最低限口に出した文章は必ず最後まで言い終えなければなりません。翻訳はわからないことは徹底的に調べる、そして調べても出てこない場合どうするか常にいくつかカードを持っていなければなりません。

そういう意味で語彙力やスキルはもちろんですが、通訳も翻訳もプレッシャーに打ち勝つ強いハートを鍛えるのが大事かと思います。

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韓国の大手企業でプロの通訳士として働きたい

韓国大学院留学 通訳翻訳

(啓明大学KGSPキャンプの様子)

ーー 留学を経験して、長谷川さん自身が変わったことはありますか?

私は一人っ子だったので、元々自分で全てやらなければと思いがちだったのですが、韓国に来てからはその気持ちが強くなりました。特に韓国政府招聘奨学金プログラム(KGSP)ではアルバイトが原則禁止なので、「お金が足りないから働けばいい」というのは許されません。現実的に考えても、高額なお金を親に頼むことはできないので、そのプレッシャーが強いです。自分でなんとか給付金の中でやりくりしなければならないので、慎重に行動するようになりました。

ーー 将来について、目標や夢があったら教えてください。

将来的には、博士号まで取り通・翻訳学の後進を育てられたらと思っています。近い将来は、韓国の大手企業でプロの通訳士として働こうと考えています。

留学を迷っている人へのメッセージ

ーー 最後に留学希望者にメッセージをお願いします!

人生は一度きりです!海外の大学院に留学したいけど、大学を卒業してストレート進学するか、一回働いてからにするか迷っている人もいるかもしれませんが、勢いも大事だと思います。

私は結局8年間大学生をやり、そこから修士に進んだので、人の2倍時間がかかっています。年齢的に結婚や出産などを考えると、正直今やりたいことをすぐに全部やるのは厳しいという思いがあります。ぜひ早いうちに留学に行くことをお勧めします。

編集部コメント

「日本と韓国は文化が似ている」といわれることも多いですが、やはりどの国に行っても異文化を経験することが留学の醍醐味だと思いました。今後も通訳翻訳の道を進む長谷川さんを、ぜひ応援したいです!

今回紹介した啓明大学の口コミ

啓明大学校のロゴです
名称계명대학교(啓明大学校)
国・都市韓国 / 大邱
学校形態大学大学院
住所大韓民国 대구광역시 달서구 신당동 1000
電話番号+82 53-580-5114
公式サイトhttp://www.kmu.ac.kr/
口コミサイトhttps://ablogg.jp/school/11536/

インタビュアー

安彦海咲(あびこみさき)/神田外語大学4年/アブログインターン生

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THE RYUGAKU [ザ・留学] 編集部です。留学コニュニティサイト『アブログ』も運営しています。

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