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頑張れニッポン男児!アメリカ人女性とのデートを脅かす「年上の日本人」への対処法【問題解決編】

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『頑張れニッポン男児!アメリカ人女性とデートで注意するべき言動・マナー【実践編】』では、アメリカ人の女性とのデートの実践編について書きました。留学先でアメリカ人女性とデートするためには様々な努力が要求されるものです。しかし、その努力もデートの醍醐味であり、楽しむのは自分の心がけ次第です。ただ、このデートにまつわる問題で解せなかったのは、年上の日本人からの説教でした。

年上の日本人留学生から受けた説教

私は留学初期、何回か年上の日本人の方から呼び出しを受け、説教を受けたことがございます。

自分の非で思い当たることがあるなら、相手の説教も素直に受け入れることができるのですが、正直、いまいち相手のいわんとしていることのポイントがずれており、なんで私に長々と説教をするのか、不思議でした。

また、そういう人に限って、失礼ながら留学生活が上手くいっているようにはお見受けできず、気の毒な顛末を見てきました。

33歳の日本人留学生からの説教

最初のセメスターも終わり、私は気晴らしに友人たちと一緒にバーで雑談をしておりました。当時のミシガン州ではバーでの喫煙は合法でして、薄暗い室内はタバコの煙で充満しており、遠くの席の方はかなり見えにくい状態だったのを憶えております。

そんな折、英語学校時代何回か話したことのある、33歳の日本人留学生の方が遠くの席でひとり、タバコをくゆらしながら座っているのが目に入りまた。当時の私は20代前半、英語学校から大学院に入ったばかりで、現在よりかなり日本人同士のコミュニティに依存した生活をしておりました。

相手の人は知らない間柄でもなかったので会釈をすると、なぜか顔をプッと横に向けます。一瞬、「変だな?」と思いましたが、私の隣りに座っていた女性が盛んに話しかけてきたこともあり、また相手はきっと、女でも待っていて、私に邪魔されたくないんだろうとの憶測もあり、私は彼に注意を払うことを忘れてしまいました。

「お前は日本人の良さを忘れている」

10分ほど経ったころでしょうか。突然、相手が私の方にツカツカとやってきて、「ちょっと来て」と私を呼びます。私は何事かと思い、相手のテーブルの真向かいに座ったのですが、それから相手は大声での説教です。曰く、

「お前は日本人の良さを忘れている」
「日本の恥だ」
「日本ではおまえは絶対にやっていけない」

という罵詈雑言でした。私は建前上、訳もわからず、頭を下げました。

相手は、自分がひとりで酒を飲んでいるのが見えただろう、なぜ、挨拶に来ないのかと非難しており、私は会釈をしたというとそれは十分ではないといいます。

また、ひとりでいたのが見えたなら、なぜ酌に来ない?とも言われました。酒をあまり嗜まない私は、相手に積極的に酌をするという発想が湧きませんでしたし、女性を待っているかもしれない相手のプライバシーを尊重する意味でも、邪魔はしなかったのです。

しかし、私たち双方の思惑は完全にスレ違いを起こしており、その後、私への説教は延々30分、続きました。

帰国していく年長者たち

実は私が年長者からこのような説教をアメリカで受けたことは一回限りのことではありません。大抵、私が非日本人の女性といちゃつているのを目撃した日本人年長者がブチ切れ、ひとしきり説教をした後、なぜかアメリカから消えていくのです。

私への説教と退学との直接的な因果関係はあまりないと思いますが、今になって思い返してみると、私に対して、湯気が出んばかりにブチ切れたひとは皆、どこか浮いており、アメリカ生活に馴染んでいるようには見えなかったように思います。

実際、この33歳の日本人もMBAの入学選考に落ち、その晩、やけ酒を飲んでいたのだと、私は人づてに聞きました。

空気と世間

こうやって考えてみると、アメリカに来て生活がうまく回る回らないの要因には、学力以外の要素も大きいのではないでしょうか。同時に、こういったひとはアメリカ人女性とのデートを非常に羨望している気が私にはするのです。

アメリカ生活が長くなった現在でも、私はごく一部の日本人男性からの強烈な視線を感じることが未だにあります。たとえ、それがアメリカ人のピチピチギャルと昼食を一緒に食べたということでも、非常な嫉妬心を駆り立て、無用なトラブルを起こしかねないのです。

これには相手のアメリカ人女性に対するコンプレックスなどが複雑に作用しているのだと推測していますが、「世間」に対する感覚も一因でしょう。

最近、著名な演出家の鴻上尚史著 『「空気」と「世間」』 を読んでいて、私は思わずを声を上げてしまいました。これは、私が以前書いた、 「場の倫理」と「個の倫理」 とまったく同じではないか。私にはそう思えて仕方がありません。

「世間」とは何か?

著者の鴻上氏は、テレビのお笑い番組司会者がいう、「空気を読め!」というセリフの「空気」を「世間」が流動化したものと定義しています。

では、「世間」とは何か?鴻上氏は歴史学者の阿部謹也氏の著作から、世間の5つの特徴を抜き出しています。

(1)贈与・互酬の関係
(2)長幼の序
(3)共通の時間意識
(4)差別的で排他的
(5)神秘性

これは日本の会社を考えてみれば、日本人の考える「世間」にピタリと当てはまると思います。

世間は利害関係のある人々全体を指しますので、(1)お歳暮のやりとり、(2)年功序列、(3)同僚が残っていると退社できない時間の使い方、(4)途中入社ではなく新規採用がメイン、(5)会議が不思議と長くて儀式的なのも、世間を体現しているからです。

「世間」は非言語的である

先に挙げた「世間」の中のルールに、もうひとつ、大きな特徴があります。それは「非言語的」であるということです。その世間の中に入ってしまえば、非常に守られた感が強く、その組織に自分を守ってもらえ、安定しています。

しかし、なぜ、その中の暗黙のルールに従わなくてはいけないのか、休暇を自分だけ取って休むことができないのか、自分だけ他の同僚を残して退社できないのかは、どこにも書いてはいないのです。

もちろん、会社には建前として従業員にこれだけの有休がありますと謳っておりますが、誰もその日数すべて使えるとは考えていません。この非言語的な部分は、臨床心理学者の河合隼雄氏も著書で何度も指摘しており、この雰囲気というのをアメリカ人に理解してもらうのはなかなか難しく、骨が折れることなのです。

アメリカ人にはない感覚

私は留学をした時、何人か(も)、中途退学になった留学生を見てきました。その際、そのことを知ったアメリカ人の反応があまりにもあっさりしてるのです。

せいぜい「Oh, it is a very unfortunate, but good luck」で握手するぐらいが関の山です。日本人とは違って、他人の退学に対して感情的にもならず、他人の人生に対して介入はできないといわんばかりに、口を挟みません。

考えてみれば、私はアメリカ人の女性といちゃついていて日本人の男性からプレッシャーを加えられたことはありますが、アメリカ人の男性からはありません。これは決して偶然ではないと思います。

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世間に取り込まれずに留学生活を送る方法

私は日本の社会とアメリカの社会について勉強していくうちに、こういった「世間」の価値観(場の倫理観)で、他人の人生に土足で踏み込んで説教し、コントロールしようとする輩に対する抵抗力を備えました。

おそらくこういった不快な経験をする機会は英語学校が多いと思います。大学や大学院は学生層の年齢が上がり、またアメリカ社会に適応しないかぎり生き残りは難しいので、日本の価値観だけに固執するわけにはいかないからです(言い換えれば、世間を捨てきれない日本人留学生は英語学校にいつまでも残り進学ができない)。

万年英語学校にいる日本人に注意

アメリカで社会人をする場合でも、会社では黙っていればいいわけで、私生活のことに口を挟まれることは少ないでしょう。問題は、よくいる万年英語学校に在籍しているような年長の日本人です。

栄陽子著『 留学で人生を棒に振る日本人―“英語コンプレックス”が生み出す悲劇 』でも触れられていますが、こういった年長の日本人留学生は新しく日本人が渡米してくると、やれ銀行口座開設やら寮の入寮やらと世話をしてくれるのは結構なのですが、日本的な場を強要してくることが多いようです。

そのため、私はアメリカ人の女性とデートするため、年長かつ英語学校年数が非常に長い日本人留学生とは距離を置いておりました。ただ、距離を置くこと自体が相手から叱られる口実になりえますので、愛想だけはよくしていました。

道化を演じる

毎朝「おはようございまーす!」とニッコリ元気よく挨拶し、相手が日本人だけで固まっておしゃべりをしていても、足を止めない。集まりに誘われても、「子供が熱を出したから」と言って、逃げる。そして、常に「道化」でいる。掴みどころのないキャラクターを演出し、世間に取り込まれそうだったら、ギャグをかまして逃げる。

私は趣味でコメディをやっておりますので、そのスキルは自分の身を助けることに現在の生活でも役立っています。それでも、相手が追いかけてきて、説教をしてきたら、下記のように話を進めてください。

理不尽な説教を受けた時の対処法

おそらく相手は長幼の序により、年長者ないし格上の序列の日本人が多いと思います。もしかしたら社会人経験者でそのことに誇りを持っているかもしれません。

1.不快にしたことを謝罪する

相手は問答無用に怒鳴りつけてくると思いますので、まず相手を不快にしたことを丁寧に謝罪をしてください。これは別に本心からでなくて構いません。相手の出方を伺うためです。要は後出しジャンケンで議論を有利に進めるためです。

2.言葉の定義を明確にする

相手は謝罪されたことに勢いづいて、おそらく「日本人の和」とか、「日本文化の素晴らしさ」とかいうはずです。ここで、つっこむところは、個々の言葉の定義です。

「『日本人の和』ってなんでしょうか?」
「さきほどから、『文化』って言葉をお使いですが、文化の定義を教えていただけますか?」

実は社会学や哲学といった論文では、重要な言葉の定義をはっきりと書き出してから、論考を進めます。言葉の意味合いがはっきりしないと論を展開できないからです。

おそらく相手は定義に関して答えられないと思います。「日本人の和は和だ!」とか畳み掛けてくるのが関の山でしょう。また、上記に申し上げたように、日本の世間のルールは、非言語ですから、議論に持ち込めばこちらの勝ちは間違いありません。

「日本人の和とおっしゃられておりますが、それが大切だと、どこに明文化されていますか? 十七条の憲法でしょうか?またそれはいまだに現行憲法なのですか?」
「日本人だったら、理解るとおっしゃられていますが、何が理解るんですか?」
「何をおっしゃられたいんですか?」

こちらが論理的に話を展開すればするほど、相手は言葉に詰まっていくに違いありません。

3.敬語を使う

ここにもうひとつポイントがあります。相手が年長者でも年少者でも、絶対に「敬語」を使ってください。冷泉彰彦著『 「関係の空気」「場の空気」 』では、いわゆるタメ口は、場の共有のために使われることを指摘しています。

つまり、タメ口は省略表現が多いゆえに、場を共有する間柄でしか通用しない。 相手と場を共有したくない場合(ケンカや議論など)、あえて「敬語」を使うことによって相手との対等な関係を演出し、相手との距離感を強調するのです。また、年長者から敬語の不使用を指摘され、議論の対象をすり替えられることを未然に防ぐ意味合いもあります。

私はこれらのテクニックを駆使することによって、こういった倫理観の混乱によるケンカのふっかけに無敗、自由自在に打ち負かせるようになりました。

相手とケンカせずに日本の文化に関して長々と説明をすればいいと思われるかもしれませんが、こういった自分の価値観、倫理観を相手に押し付けてくるタイプの人は、相手を格下と見なすと一切耳を傾けない傾向にあるため、説得は困難になるのです。

最後に

今回、本稿の執筆にあたり、日本のAmazonからいくつか「空気」に関する書籍を購入したのですが、化学でいう空気(いわゆる酸素と窒素と二酸化炭素の含まれた気体)について書かれた本より、雰囲気や世間に関して言及した書籍の方が数多く出版されていました。それだけ、私たち日本人が周囲の雰囲気や空気を重視しているということでしょう。

前述の鴻上氏は、日本社会はグローバリゼーションによって急速に変貌しつつあり、世間と社会を積極的に行き来する生き方を推奨しています。私は16年も日本を離れているため、日本社会が現在どの程度、世間の中で息苦しいのか、肌感覚で分かりません。

私個人としては上記に書いたケンカのテクニックが陳腐化し、無用な時代になることを切に希望しております。なぜなら、こういったケンカをしなくてよくなった時、私たちは他人の多様な人生をrespectできるということですから。

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