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留学に送り出す覚悟がありますか?留学をするお子様をお持ちのご家族の方へ
留学とは実際に送り出される本人だけが大変なものではありません。それを支えるご家族の金銭面だけでなく、精神面で大変な苦労が伴うものです。今回は私が見てきた経験をもとに、留学生を送り出すご家族が取るべき姿勢について論じていきたいと思います。
いいだしっぺ
留学を切り出したのは、本人でしょうか。それともご両親でいらっしゃいますでしょうか。私は本人が留学を望まないのに、ご両親(もしくは母親、父親)が強制的に留学に送り出したというケースを見たことがございます。本人を無理やり送り出して、本人が海外での生活に馴染む方法を自分で切り拓き、自立する術を身につけたら、それは大成功となりますが、そうではないケースも散見されます。
私の英語学校時代、精神を病んだ日本人の知人がいたのですが、どうも彼女のご両親が留学を強行に推し進めたようです。本人を引取に来られたら際、痛々しいくらいまで後悔をなさっておられました。お子様を留学させたい理由は何でしょうか?メディアが騒ぎ立てる「国際化」「英語」という言葉に踊らされていないでしょうか?また、会社での出世を先を越された理由を自分の英語力の欠如に見出し、その劣等の払拭をお子様に期待していないでしょうか。
留学は本人のやる気なくして、成功はありえません。留学の理由を今一度、ご家族で話されるといいと思います。
留学へ送り出す覚悟
大事なお子様を留学へ送り出す「覚悟」はできていますでしょうか。この覚悟という言葉が非常に重く響くと思います。この覚悟とは、いかなる状態でお子様が帰ってきても、温かく迎えてあげる準備があるかどうかを問うものです。
留学生は一様に皆、英語力が上がり、学位を取得した上で帰国するわけではありません。中には精神的にボロボロになって帰ってくる場合もあるわけですから、これで親御さんが温かく迎えなかった場合、本人はそれこそ、自分の居る場所が世界中にないと思ってしまいます。どんなことがあっても、自分の我が子が家に帰ってきた時には、温かく迎えてあげる、この姿勢が親御さんには必要です。
では具体的にどうやって親御さんは留学へ送り出すべきでしょうか。まず、きっかけとして、最初に学生である時分に早い時期に短期間の英語研修などに送り出すことが考えられます。その際、この言葉を相手に伝えましょう。
「お土産は心配しないで。何も買ってこなくていいから。その代わり、あなたのしてきた体験について聞かせてね❤」
この言葉は経験がない人にはわからないかもしれませんが、そうとうキツイ言葉です。なぜなら、お土産を買うことは誰にでもできますが、他人に話せる体験は誰にでもできるものではないからです。実のところ、海外からの最高のお土産は「土産話」なのです。
留学をしても、日本人の留学生と一緒に行動し、授業でこそ英語を少し話すけれど、午後のショッピングは日本人と・・・ という短期の語学留学生は多いものです。そこをいかに工夫し現地に溶け込むべく自分の生活を切り開いていけるかで、本人の持っているポテンシャルが出てくるのですが、そういったことは本人に体験談を話させてみれば、自ずと分かるものです。充実した生活を送っている留学生ほど、実家に帰った時に家族に話せるエピソードは多いです。
逆を言えば、本人が日本に帰国するやいなや、一切、留学の話をしないということは、本人が現地での生活を楽しまなかったということですから、それ以上の詮索はやめたほうがよろしいでしょう。
私の知っている例では、一ヶ月間ホームステイをした日本人留学生が英語でホストファミリーとやりとりしなければいけないことに嫌気がさし、一ヶ月間一日三食、なんとマクドナルドで食事をしていたのを知っています。彼は一ヶ月後、顔がむくんでおり、おそらく帰国後も家族にはその理由を言わなかったのではないでしょうか。後年、アメリカで大ヒットしたドキュメンタリー映画「 Super Size Me 」を観た時、私は「あれ?どこかでこの話、見たことあるな?」と思ったものでした。
留学エージェントや仮進学は不可
さて、本人が留学が好きそうだとわかった。本人も乗り気である。じゃあ、次はどうしたらいいのか。この際、親御さんが注意すべき点は、お子様が自分で留学に必要な情報を収集できるかという点です。ここでただ単に、お子さんが留学エージェントのパンフを親に見せるようでは、失格です。
「 留学生の半分が目標を達成せずに帰国?日本の準備段階でするべき7つのこと 」の記事でも書きましたが、留学は母国にいる時点でスタートを切る必要があります。進学のために現在在籍する日本の学校の成績が必要ですし、準備に数年は掛かるといっていいでしょう。
私の周囲でも何人か留学エージェントを通して留学してきた学生がおりましたが、留学エージェントの用意したロケットで送り出されたがゆえに、現地についてからSurvivalの仕方がわかっておらず、大半がいつの間にか消えて行きました。
またTOEFLなどの英語のテストの点数が足りなくても、仮進学させるシステムが米国などの大学には存在しますが、他のライターの方も「 英語力不足を補うEAPを当てにした留学プランをお勧めしない3つの理由 」の記事で指摘されるように、英語の実力なくして生き残りは難しいです。
親御さんから、お子様本人が自発的に情報を集め、学校と直接手続きをしていくよう、指導ないし啓発していくべきでしょう。第三者に留学手続きをしてもらっても、結局、現地に着いて以後も、寮や授業の手続きといった事務手続きは続きます。日本にいる時から入学手続きができないようでは、先が思いやられます。
費用負担をTOEFLの基準点を克服することを条件にするほか、留学エージェントを通しての留学の場合、費用の負担を拒否するという手もございます。また社会人を経て少し蓄えがある場合、その貯金を有効に使うべく、自分で手続をしていきましょう。
絶対に言ってはいけない言葉
私は親御さんの無碍な言葉に押されて悲鳴を上げる留学生を見てきたので、してはいけないアドバイスがあることを知っています。留学生を持つ親御さんがお子さんに絶対に言ってはいけない言葉を挙げます。例えば、
「英語ができるようになるまで、日本に帰ってくるな!」
「アメリカ人といえども相手は人間、心を開けば、通じ合える」
「やればできる!」
以上のアドバイスは一切、留学において意味をなしません。英語ができるようにというのは、どこまでできれば、「できる」というのでしょうか?私は16年いても、まだ英語を勉強しておりますし、これでも一応米国の大学院を終えております。平均的な日本人より英語はできるかもしれませんが、完璧にはなっておりません。
また心を開けば通じ合えるというのも、アドバイスをあげる側の都合の良い言い逃れです。なぜなら、相手は人間だから通じ合えるという前提は、戦争の存在を忘れた発言だからです。
やればできるというのもまたウソです。それではあなたは今までの人生において、挫折がなかったのでしょうか?また挫折がない人生は確かに素晴らしいかもしれませんが、本当にそんな人間がいたら、きっと鼻持ちならないイヤな人間だとお思いにならないでしょうか?それよりも他人の痛みが理解る人間にお子さんがなられた方が親としても嬉しいのではないでしょうか。
留学を成就する近道はありません。留学生を送り出す親御さんは、お子さんと人生の艱難辛苦を共に歩む姿勢が必要になるのです。
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引きこもり
留学において意外と多いのが、引きこもりです。私の知っている例では、英語学校に同時期に入学した一人が、寿司職人である人とホームステイをしていました。その人が転職のためケンタッキー州に引っ越しをすることになった。本人もそれほど勉強が好きではなかったので、英語学校を抜け出し、ケンタッキー州についていった。
それから2年半後。私が大学院を卒業し、就職が決まったので友人たちと晩餐を共にしていた際、偶然彼のことが私の友人の口から漏れました。驚いた頃に彼はまだケンタッキー州に居るそうで、学校にも行かず、引きこもっているとのこと。その友人の友人が退学をする際、この人に連絡をとったそうで、「精神的におかしくなっている」らしい。
おそらくその人のご両親は2年半もの間、知らずに送金を続けていたのでしょうから、現実を知った際はかなりショックのはずです。その後はどうなったのか知りませんが、これは私が知っている唯一のひきこもりのケースではありません。
上記のような事態を避ける意味でも、留学をする意味、目的をはっきりさせ、留学中も時折、連絡を取り合うことが大切です。私は留学中、定期的にメールで近況報告を友人にしておりましたので、そのメーリングリストに親のメアドも入れておきました。メールの長さは大体A4数ページに渡るような詳細な内容でしたから、私の妄想ではないことは親にも伝わっていたのでしょう。
最近は幸いなことにITが普及しておりますので、FaceTimeなどで相手の顔を見ながら会話ができるようになりました。お子様が留学されるのを機に、ご家庭にiPadなどを導入されるのもいいかもしれません。
帰国する理由
親御さんとしてお子様の健康はやはり一番心配かと思います。私個人の考えですが、健康を害してまで留学を続行する必要はないと思います。留学時、こんなことがございました。
英語学校時代、同じクラスに関西出身の日本人学生がおりました。彼女はヘビースモーカーなのですが、困ったことに喘息持ちなのです。いつも青い顔をしてゴホゴホとタバコを吸う姿に、私はいささかの矛盾と不憫を感じたものです。
ある時、授業が始まる前、彼女に校舎の前の喫煙所で出会いました。彼女は昨日休んでおり、喘息がひどく起き上がれなかったとのこと。その際、気づいたのですが、彼女は一本のタバコを吸い切る前に、新しいタバコに火をつけるのです。急かされるように吸い続ける彼女に、どうしてそんなに速いペースで吸うのか尋ねたのですが、返ってくる答えはいつもの、「タバコは止められへん」でした。
今になって考えてみると、もしかしたら彼女はあえて、健康の悪化を目的として、タバコを大量に吸っていたのかもしれません。なぜなら、日本への帰国理由が「英語を勉強したくないから」とか「勉強きつい」「留学つまらん」だった場合、出資者の親御さん、周囲の反応はいまいち芳しくなく、自分の顔も潰れます。
しかし、それを健康状態の悪化とした場合、周囲の理解も得られることでしょう。当時の彼女は一連の行動を無意識に行っていたのかもしれません。とにかく、彼女は日本に帰国していきました。
上記のような体験を踏まえても、人間はあえて、自分の健康を踏み台にしてまで自分のプライドを守ろうとすることがあることがわかります。留学生を送り出す親御さんは、やはり自分のお子さんが帰国しやすい環境を構築して、日本で待っていてあげることがベストだと思います。
自己管理
ひとりで留学するお子さんにご自身の口座からのクレジットカードを持たせることがあるかと思います。「いや、そんなことできまへん!そんなことしたら、うちの息子、全額、飲んでまう」と危惧される場合、あなたのお子さんは海外に出る前に、日本でまだ学ぶことがあるということです。
留学は自己管理が必要な生活になります。朝起きることを始め、料理、洗濯、掃除、買い物、勉強など自分で自分のスケジュールを組んで実行していかなければいけません。よって、お子さんが自分で自分の管理が出来るまで成長なさっているかどうかも、留学に送り出すか否かを判断する材料になります。
私は学生時代、8人の召使のいる家庭で育ったルームメイト(日本人ではありません)と住んだことがあるのですが、なにも自分でやろうとしない態度に、文化差とはいえ、憐憫と軽蔑の眼差しで相手を見つめたものです。
まとめ
留学に送り出す親の側も、留学について学んでいかないと、お子様が困難に直面された際、対処は難しいと思います。一緒に留学に関する雑誌を読んだり、留学先の国に関する本を読み込むなどをすればきっと親子の絆は深まるはずです。お子様のご健闘をお祈りいたします。
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