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取り扱い要注意!アメリカ人の「Love」の概念

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アメリカで生活をしていると「Love」という動詞は日本語で「愛する」という意味以上に広く頻繁に使うと思います。映画を観れば主人公とヒロインが「I love you!」とキスをしますし、 友達同士でも使っているようです。おちおちしていると「I love diet coke!」とか言い出す始末です。しかし一方では、アメリカ人男性の彼氏が、意外と「I love you」といわないことに驚く日本人女性も見聞きしたりします。その背景を探ってみたいと思います。

初めての「Love」体験

私が初めて「Love」といわれたのは、1999年にイギリスで一ヶ月の英語研修に参加した時のことです。家に帰ってみると、ホストマザーがいるはずの家はガランとしており、居間のテーブルに書き置きがございました。読んでみると、所要でちょっと出かける、冷蔵庫にあるものを勝手に食べてよし・・・ とあり、末尾に「Love」と書いてありました。

当時、知識として英語のメッセージの末尾に「Love」と書くことは知っておりましたが、言われるのも読むのも初めてでした。さらに、結婚している60代と思われるイギリス人女性に「Love」といわれるのは、いささか奇妙な感じがしたことを憶えております。

「Love」は重い?

時は経ち、今から10年ほど前のこと。日本人女性の友人が電話をかけてきて、アメリカ人のボーイフレンドのことを相談してきました。とどのつまり、彼氏の真意が分からないとのこと。映画で観るように「I love you」といってくれないし、この間のパーティーで、彼氏は友人たちに「This is my friend...」と自分を紹介したことが非常に癇に障り、友人以上の関係を結んでいる以上、許せないとのこと。

私はすべてのアメリカ人女性とデートしたことがあるわけではないので、個人差があることを前置きしたうえで、意外とアメリカ人のカップルはデートの初期では「Love」といわないのではないかと、告げました。

私自身が以前付き合っていたアメリカ人女性に「Love」という表現について尋ねたことがあります。もし、私がデート初期に頻繁に「I love you」といっていたら、相手はかなり引いたとのこと。「Love」には「Commitment」のニュアンスがあるので、重い響きになり、関係が熟さないうちにいわれたりすると、今後の交際を発展させる上で躊躇しかねないと言われました。

「Commitment」とは?

ここで、Commitmentについて説明が必要です。
アメリカでは一般的に、デートを始める際、日本のように告白という概念がありません。心ときめく女子高生が男子同級生に「私と付き合ってください❤」と告白することはあまりなく、気のある方から「Hi, I am wonderng if we can have dinner」というように、夕食に誘ったりします。

相手の女性はデートの過程で、男性の容姿、マナー、性格、相性(時には年収)などを値踏みしながら、関係を発展させていくことになります。この間、他の女性、男性とデートすることは全然構いません。普通の男友達がボーイフレンドに「昇格」することもあります(その逆もありうる)。

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キリスト教の「Love」と仏教の「Love」

それでは、私たち日本人は、どのように「Love」していけばいいのでしょうか?

キリスト教の「Love」

キリスト教では「汝の隣人を愛せよ」と説きますが、ここで日本語の額面通り受け取った場合、私たちはお隣さんと結婚しないといけません(本当は、嫌いな人を「Love」しなさいという意味)。私には以前から「Love」の概念が不思議でした。実は「Love」にはギリシャ語の影響が見て取れます。

エロース(性愛)
フィリア(隣人愛)
アガペー(真の愛)
ストルゲー(家族愛)
Wikipedia「アガペー」 より

上記の4つの概念が「Love」には含まれます。アメリカ人が、友達に対しても、恋人に対しても、また兄弟に対しても、「I love you!」を乱用する理由が分かります。

仏教の「愛」

では、私たち日本人男子は、なぜ「愛してる」といわないのか?
その理由を、橋爪大三郎著「 世界がわかる宗教社会学入門 」では、日本語の愛は、仏教でいう煩悩のことだからと書かれています。

物事に執着をし続け、こだわり続けるのが煩悩です。悟りを目指す仏教では、煩悩すなわち「Love」は断ち切らなければいけないものです。よって、ハリウッド映画を観ている最中、親が子供に「I love you」と告げたりすると、非常に日本語に訳しにくい。日本語では親が子供に「愛している」とはなかなかいいません。言ったとしたら、子供は親が気が狂ったと思うのではないでしょうか。

アメリカ人の女性はカンタン?

「Love」に関して面白い話を聞いたことがございます。私が通っていた英語学校を卒業後、数年してから再訪した際、以前の恩師が話していたことです。

某地域から来ている留学生グループは、アメリカ人の女性とデートすることに過大な期待を抱いている。その原因はハリウッドの映画で、必ずベットシーンがあることで、アメリカ女性は簡単だとの幻想を抱いているそうです。

私個人の経験と照らしあわせても、その考えはあまりに極端な思い込みでして、アメリカ人女性だからといって、簡単ということはありえないでしょう。ただし、外国から留学してきたばかりの留学生には、そう見えるかもしれません。

なぜなら、アメリカ人のコミュニケーションは、Hugなど非常にPhysicalですし、Hugになれない私はアメリカ人の女性の友人から、「練習」といって、強制的に抱き寄せられたことが何度もあるぐらいです。また、彼女たちは「Love」という動詞をすぐに使いますし、これを性愛の意味に取り違える可能性がなくはありません。

日本人留学生へアドバイス

これから留学をなさる日本人女性にひとつ、アドバイス。
非常に偏った話をすると、一般的に日本人女性は非常に人気があります。小柄、愛くるしい表情、男性に献身的に尽くすというイメージ・・・ 国際市場でまったく人気のない日本人男性(?)と大違いでして、英語圏ではアジア系の女性ばかりと付き合う男性を揶揄した「Yellow Fever」(本来は黄熱病のこと)という表現があるぐらいです。

ただし、アメリカでのデートは一般的に「Commitment」があるかないかが大きく左右します。米国に渡って寂しい毎日、つい憧れのアメリカ人男性に声をかけられ親密な関係にはなったが、相手がどうも献身的でない。他の女性とも付き合っているようだし・・・。

これはデートの概念が異なっていることから始まっています。先述したアメリカ人男性と付き合っていた日本人女性の場合、相手は日本語を流暢に話すアメリカ人男性でして、日本人女性の方は英語が不得手でした。おそらく、日本語のみでのやりとりをしている最中、「Commitment」に関して一切、話に出なかったのではないかなと推測しています。この「Commitment」の的確な訳語が日本語には見当たりませんから。

男性の方がいくら日本語を話せるといっても、いざ関係が始まってみれば、相手の男性の感覚はアメリカン。男性からしてみれば私の友人は「Girlfriend」ではなく「Friend」。彼女からしてみればデートしているんだから、当然、「彼女」でしょうということになる。

ここに男女の思惑だけでなく、文化的な違いも読み取れます。もしアメリカに来てアメリカ人とお付き合いをしたいというのでしたら、双方でお互いのデートの概念について関係が深刻にならないうちに、話し合っておくべきでしょう。それがお互いの相互理解に繋がれば、よりお互いの結束に貢献するに違いありません。アメリカ人の親しい友人にデートの仕方について、アドバイスを貰うのも一案です。

私は密かにアメリカでの日本男子の地位向上を目指しております。このエッセイがより的確なデートへの助けになることを希望しております。

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