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レディーファーストは男女平等に反するのか?「レディーファースト」の起源とその根底にあるもの
欧米に留学、海外で就職となると気になるのが、日本にはない「レディーファースト」という習慣です。一部では「男女平等の現代社会においては、無用の産物ではないのか?」という声もささやかれています。そこで、レディーファーストについて深く掘り下げて考えてみたいと思います。
レディーファーストとは
「レディーファースト」の起源は諸説あります。その一つが女性を盾や毒見役に使ったという説。レディーファーストの習慣が生まれた中世ヨーロッパでは、毒殺や突然斬りつけるなど暗殺が横行していた。それを防ぐために、女性を先に歩かせたり、食事を先に食べさせたりしたという都市伝説があります。
ただ、中世時代の会食では、テーブルに同席する女性はすべて貴族の奥方とその令嬢ばかり。貴族の奥方なら、奥方本人だって由緒ある家系の生まれです。そういう女性たちに毒味なんかをさせたら、たちまち実家相手の戦争になってしまう点を考えれば、これはあくまでも都市伝説だと言えそうです。
3つの有力説
数ある諸説の中でも有力とされているのは、下記の3つの諸説です。
1.貴族身分の処世術
騎士階級において貴族身分は長男が世襲するのが常でした。次男、三男は戦功を挙げて存在価値を誇示するか、裕福な未亡人にあの手この手で近づいて後釜に座るしかなかった。なんとか、ご婦人方に気に入ってもらう処世術として、レディーファーストが生まれたのではないかという説。
2.マリア信仰
もう一つは、女性を聖母とするマリア信仰説。女性を崇高なものとして扱う風潮があり、1500年前後のルネサンス期には、ラファエロやリッピ、ダビンチが数多くの聖母マリアを描いています。
3.騎士の礼儀の書
古くは13世紀に書かれたレーモン・ルル著「騎士の礼儀の書」の中に、騎士の責任として、教会を守ることに次いで女性と孤児を助けることが挙げられております。古くからの騎士道に基づいた紳士的な振る舞いだったのかもしれません。
レディーファーストの基本
- ドアというドアはすべて男性が開けて、女性を先に入れる
- レストラン入店後は、女性が先を歩き、男性はその後についていく(※1)
- レストランでは、女性の着席を確認後に男性が座る
- エレベーターでは、男性はドアが閉まらないように扉を押さえて、女性を先に中へ
- エレベーターを降りる際も女性が先
- エスカレーターの上りは、女性が先(※2)
- エスカレーターの下りは、男性が先(女性が倒れて来たら支えるため)
- 道路を歩く際は、男性が車道側を歩く
※1 例外として、初めて入るお店であれば男性が先に入って中の様子を伺います。安全かどうかを確認するためです。
※2 ミニスカートであれば、失礼と言って、男性が先に乗ってもよいです。
特に、気を付けるのがドアです。ドアは至る所にありますから。とにかくドアを女性に触らせないことが肝心です。あくまでも自然に、さりげなくです。得意顔をする必要もありません。
なぜ女性が先に歩くのか
当時の上流階級の女性の服装が大いに関係しているかと思われます。トップ画像にある絵画の通り、女性はロングドレスを着用し、さらにハイヒールを履いています。私はハイヒールを履いたことがありませんが、かなり疲れる履物であるみたいです。
食事をする場所に絨毯が敷かれていた場合は、さらに歩きにくくなります。貴婦人がよろけてしまうかもしれません。すぐに支えてあげられるよう男性が後ろを歩く習慣になったと考えるのが一番、妥当だと思われます。
さらに、男性が女性の椅子を引いてあげるのは、ロングドレスが乱れない為と、ハイヒールを履いているために手が後ろに届きにくい点からの配慮です。ドアを開けて女性を先に通すのも、ドレスが引っかかり転ばないようにする為です。
自分の身を守るために女性を盾にして歩かせていた俗説がありますが、すべての行動は、疲れやすく転びやすい服装の女性に対する、男性側の思いやりなのです。
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過剰なレディーファーストはマイナス
なにも、男性は家来ではないのです。過剰にやりすぎると逆効果です。「お節介」になりますし、男性としての尊厳もなくなります。レディーファーストはあくまでも、紳士的なエスコートに他なりません。習慣的な紳士の振る舞いです。ドヤ顔をする必要もありません。
また、レディーファーストは「女性が優遇される」と勘違いがあれば、男女平等に反する方向に向かってしまいます。特に欧米の職場においては、過剰なレディーファーストは無用であり、むしろ問題となります。
職場において、さほど重たくない荷物を持ってあげるなどは余計なお世話であり、そんなことも出来ない女性だと判断しているようなものです。女性でもできることは手伝う必要はないのです。
レディースデーは男女平等に反する?
日本の映画館ではレディースデーがありますが、決して女性を優遇しているのではなく、多くが集客目的の営業戦略です。男性は一人でも映画館に足を運びますが、女性は必ずと言っていいほど、誰かを連れて行くからです。
レストランや居酒屋でもよく女性限定のサービスが用意されていますが、これも女性が集まる店には男性も集まるという男性のスケベ心を見通した営業戦略だと思われます。
女性専用の車両に関しては、都心のラッシュ時は恐ろしいほどの満員で痴漢が発生している現状もあり、日本の都心での事情では仕方ない措置であるかもしれません。
レディーファーストと男女平等の問題
私は、レディーファーストと男女平等は別物であると思います。レディーファーストは単なる紳士としての身だしなみ程度のことであり、そもそも女性を優遇する措置から生まれてきているものではなく、単に思いやりから生まれた習慣なのです。
賛否両論あるかと思いますが、仕事中でないプライベートタイムでは、男は紳士であり女性は淑女でもあってもいいかなと思います。世の中は男と女、紳士はレディに惹かれ、レディは紳士に惹かれるのが世の常ではないでしょうか。
確かに、現代においては女性がロングドレスでハイヒールといった出で立ちではないかもしれません。そういった意味では、特に男性が後ろを歩く必要もないのかもしれません。
しかし、レディーファーストが「女性に対する思いやり」から生まれた習慣であるのであれば、男女共にその習慣を楽しむ余裕があってもいいかと思います。レディーファーストの必要性の有無を問う前に、レディーファーストは「思いやり」の精神から生まれた習慣であるという認識も必要だと思います。
「思いやり」があれば男性も家事や育児の手伝いをし、女性もより社会進出しやすい環境になるのではないでしょうか。海外では男性の育児休暇の制度を取り入れる会社も増えつつあるみたいです。思いやりが持てるような環境・社会づくりも重要だとも言えます。
私自身は、夫婦で共働きだったのですが、私もよく夕食を作ります。洗い物は子供も含めて、各自が洗うというのが我が家でのルールです。私はお互いに相手を思いやる気持ちが第一であり、レディーファーストはオマケの紳士と淑女のゲームみたいなものだと考えています。
まとめ
海外でのレディーファーストのマナーは、最初は日本人にとっては、照れくさいかと思います。私も最初はそうでした。しかも、気取らずにサラッとこなすまでには経験が必要かとも思います。完璧を求めるばかりに、肝心な思いやりを忘れない事が大切だと思います。
しかし、男性に関しては、肝心のエスコートする相手がいない事には話も始まりません。海外では、外国人の女性との接し方も日本人の女性とは異なるのも確かです。日本には、レディーファーストは根付いていないものの、「おもてなし文化」があります。根っこは同じです。
エスコートする相手を射止める為には、THE RYUGAKUの記事『 頑張れニッポン男児!アメリカ人女性とデートのための「心得」4選 【準備編】 』及び『 頑張れニッポン男児!アメリカ人女性とデートで注意すべき言動・マナー【実践編】 』を参考にされて頑張ってください。