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車をメンテナンスに出すだけの予定が…理解不能なオバちゃんとのエピソード
アメリカには車検という制度はないので、自己責任で車をメンテナンスする必要があります。先日、私が愛車のメンテナンスに出した時に、素敵な?出会いがあったエピソードについて書きます。
アメリカでは車検がない
アメリカでは車検という制度がないため、車のメンテナンスは自己責任です。私はトヨタ車を所有しているのですが、アメリカのトヨタでは5000マイル毎にメンテナンスを推奨しております。
アメリカではタバコを買いに行くにも車が必要な環境です。ディーラーにメンテナンスのために車を預けると、自分の足がなくなってしまいます。そのため、通常のメンテナンスであれば、ディーラーが職場やら自宅に送り返してくれるサービスをしております。
メンテナンス当日
先月、近場のトヨタ系ディーラーで愛車のメンテナンスをしてきました。私は、「朝8時に車をディーラーに預ける → シャトルで職場に送ってもらう → 就業後、同僚にディーラーに連れて行ってもらう」というスケジュールで、いつもメンテナンスをしております。
いつものようにディーラーに車を預けて、職場に送ってもらうためのシャトルに乗り込んだ際、「事件」は起こりました。シャトルといっても普通のセダンタイプの乗用車です。私が後部座席の左側に乗って、行き先を運転手に告げていると、「ちょっと待って!」と大声で私の右側に乗り込む人物がおりました。
ちょっと「?」なご婦人
年の功、40前後のご婦人、大型のハンドバックを片手に下げ、肩を怒らせているあたり、かなりフラストレーションが溜まっているようです。トヨタ系のディーラーにいるにも関わらず、大声で、某米国ビッグスリーのひとつ、F社のディーラーの悪口を振り回します。
「F社系のディーラーに自宅に送るよう伝えても、『配送エリア外』ということで、断られた」そうです。さらに、車のブレーキ、タイミングベルトの交換などもせず、かなりの費用が掛かることをブツクサいっており、私はちょっと心の中で警戒心を持ちました。
おまけに今晩の献立についてまで勝手に言及し始め、更に私の警戒心を刺激します。洋の東西を問わず、今晩の献立に関してブツクサ勝手に愚痴る主婦は、「キケン」と私は見なしています。
私の職場はディーラーからほど近いので、ひとりで勝手にしゃべるタイプの人といるよりは、さっさと車を降りてしまった方が身のためでしょう。運転手に目的地を告げると、ご婦人が私を遮ります。
「I want to go back home as soon as possible.(一刻も早く自宅に帰りたい)」
ご婦人の強い口調にちょっと驚いたのですが、私の職場より彼女の自宅の方が遠いことは間違いありません。私が先に降ろしてもらおうと運転手に交渉すると、「Are you not in harry, are you?(あなた、急いでいるわけじゃないでしょう?)」と私を牽制します。その勢いに押され、うっかり「No...」といってしまい、車はご婦人の家に向けて走り始めました。
見たことのない森の中へ
ご婦人はどういうわけか、高速道路を使わずに家に帰りたいそうで、高速道路を使うと家路がよくわからないとのこと。私はもう関わらないことに決めたので、目を閉じ、得意のSleep modeに移行。休眠状態に入ります。
このおばさんは尋ねられてもいないのに、勝手にしゃべる傾向があり、休眠状態といえども人間観察が大好きな私は、好奇心満々に耳をそばだてています。
おばさんは子供が二人おり、現在の家には10年以上住んでいるが、いつも使うF社のディーラーがシャトルを出してくれず、トヨタに来た。今回はブレーキとタイミングベルトの交換をせねばならず、大枚をはたくにもシャトルを出さないF社のディーラーが許せない・・・
私は車に揺られながら、早くおばさんの家に着かないかなと思っていたのですが、待てど暮らせどたどり着かないのです。おぼさんはその都度、「あ、そこ右」「そこの信号通りすぎて」と指示をだしながら、高速道路を使わず普通の幹線道路を使って移動しているためか、いやに時間がかかるのが気になってきました。
薄目を開けて腕時計をチェックしてみると、ディーラーを離れてからすでに20分が過ぎています。周りを見渡してみると、私の知らない風景。すでに私の住んでいる街から遠く離れたところに来ているらしく、長年住んでいる私でも見たことのない森の中に入っています。
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自分の家が分からない?
考えてみれば、ちょっとおかしな話なのです。トヨタは全米でも一番のディーラー網を誇る日系会社ですが、某F社の本拠地はもともとデトロイト(正確にはDearbornという街)。そのF社系列のディーラーが車を出さないというのですから、おばさんの自宅はよっぽどの僻地にあることが想像できます。
もしくは、おばさんは自宅近くのディーラーの存在を知らずに、わざわざ遠いディーラーを利用している可能性も予想できます。色々と訳の分からないご婦人ですから、もしかしたら高速道路の使い方も十分熟知していないのかもしれません。アメリカではスーパーに買い物に行くのでも、高速道路を使うのは一般的です。
ただ単におばさんは、高速道路の使い方を知らないがゆえに、在来線で私たちを自宅に導いているのではないか・・・という危惧が頭をもたげた瞬間、車は一軒の家の前で停まりました。やっと、家に着いたかと思うと、おばさんは衝撃のひとことを口にしました。
「あら、この家、私の家ではないわ!」
この言葉には参りました。運転手に道順を教えるために、そこ右、左と誘導していたのは他ならぬ、このおばさんです。10年以上住んでいる自宅の家路を間違える人がこの世にいるでしょうか。
あまりの事態に、運転手と私は「えー!」と声を上げてしまいましたが、仕方がありません。またぐるぐる近辺を走り、おばさんを降ろすと、すでにディーラーを出発してから30分以上が経っておりました。
おかげで完全に遅刻
職場の始業時刻はすでに過ぎており、私は完全に遅刻です。最短距離で職場にたどり着かなくてはいけません。私はGoogle mapで最短ルートを調べ、運転手に高速道路を使うことを告げると、高速道路exit3つ分の距離をノロノロ私たちはドライブしていたことが分かりました。
いざ高速道路の入口に近づいた瞬間、私の握るiPhoneが鳴り響きました。相手は今朝話したトヨタディーラーの担当者です。
「今、お車の整備、完了しました❤」
ということで、私は脱力。ディーラーに真っ直ぐ帰るように運転手に告げると、運ちゃんは大爆笑。私はそのままおとなしくディーラーで車を引き取り、自分の車で出社いたしました。
最後に
私は人から「なんでアメリカにまだいんの?」という質問を受けるのですが、やはり人間観察が好きな私に、色々な人がいるアメリカは魅力的です。おばさんにもう一度会ってみたい気もしますが、会っても遠い距離から眺めるに留めるのが無難でしょう。友達になりたいとは思いませんが、観察してみたいです(笑)。
後日談ではないですが、後になって考えてみると、今回のおばさんのキャラクターはコメディリリーフとして捨てがたく、私は後日、自分のコメディの舞台で再利用させていただきました。