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イギリス人はクイーンズイングリッシュを話さない?イギリスの英語事情
私が最初に仕事で渡英したのは、もう25年以上も前になりますが、その後も数回にわたり英国に赴いてます。毎回感じるのが、イギリスでは生活の中に階級社会が未だに根付いていることです。しかし、英国は時代の流れとともに徐々に変化しているようです。これから渡英しようとお考えのには方々には、非常に興味深い部分だと思います。今回は、どのようにイギリス英語が変わりつつあるのかお話したいと思います。
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「イギリス」を「England」と呼称するのは控えるべし
「イギリス(英国)」は標準的な呼び名としては、「Britain」もしくは「the United Kingdom(または省略してthe UK)」です。「England」は日本の感覚でいえば、関東です。イギリス内のイングランド地方を指します。
例えば、スコットランドにいるのに「ここイングランドが大好きです」なんて言った日には、スコットランド人にぶん殴られます。イギリスは4つの国の連合大国なので、それぞれの国でみなさんプライドを持っています。「Britain」などを使うのが無難です。
イギリスは4つの国の連合大国
私は個人的なライフワークとして、英国のスヌーカー(ビリヤードみたいなスポーツ)のブログをもう数年にわたって書いています。先日スヌーカーのワールドカップが開催されたのですが、英国はイングランド・チームやスコットランド・チームなどで国分けされているのです。
サッカーにおいても、サッカーの母国としてFIFAが例外を認め、英国ではサッカー協会はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つに分かれています。ユニオン・ジャックではなく、それぞれの国旗を掲げて戦います。
一口にイギリスとは言っても、そこには4つの国が存在し、それぞれの国が誇りを持っているのです。渡英前には、その点を充分に認識しておく必要があります。
イギリスのクイーンズ・イングリッシュとは
「イギリス人の標準英語 = クイーンズ・イングリッシュ」だと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実を言いますと、正統的なクイーンズ・イングリッシュとは英国王室で女王が使う英語であり、この英語を使っているのは国民全体の5パーセントもいないのです。さらに言うならば、この英語は衰退してきていると言えるかもしれません。
今現在、イギリス英語と呼ばれている英語は、BBC放送のアナウンサーが使っている言葉です。RP(Received Pronunciation:容認発音)とかBBC英語とも言われています。これが、日本人が思っているイギリス英語に一番近いかと思います。しかし、イギリス国民のみんなが使っている英語かと言うと、決してそうではありません。
映画「My Fair Lady」でわかるイギリスの階級社会
オードリー・ヘップバーンさんが主演した映画「My Fair Lady (1964)」をご存知でしょうか?この映画のタイトルは「Mayfair Lady」という言葉を、下町言葉(コックニー訛り)で発音したものから来ています。
コックニーの発音の特徴の一つとして、二重母音の「a」の発音が「ei」ではなく「ai」になります。「paper(パイパー)」「game(ガイム)」という発音になり、「Mayfair」だと「マイフェアー」になります。
「Mayfair(メイフェア)」とは、ロンドンにある高級住宅地です。教養のない下町言葉(コックニー)を話す女の子が、上流階級が住むメイフェアにふさわしい女性に変貌していくストーリーです。実はストーリーとコックニーを上手くもじったタイトルだったんです。
ドラマ「相棒」の杉下右京でわかる英国紳士像
日本で人気ドラマ「相棒」の杉下右京をご存知でしょうか?ドラマではロンドン留学経験者という設定から、彼のファッションは英国紳士そのものです。英国で上流のファッショナブルの基本は、派手さは抑えて地味に上質であることです。
余談ですが、日本語の「背広」の語源は、ロンドン中心部のメイフェアにあるショッピング・ ストリートである「サヴィル・ロウ(Savile Row)」から由来してます。名門紳士服店が集中しているストリートです。「背広」という言葉は英国紳士服の聖地から生まれたのです。
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英国人のベッカムが話す英語は?
デビッド・ベッカムの話す英語はコックニーでした。でも長期のアメリカ滞在で、ずいぶん変わりました。「コックニーだったのが、Posh(ポッシュ)になった」と、英国のマスコミで話題になったこともありました。
おそらく、アメリカ生活でコックニーにありがちな「H」を発音しないなどの癖が矯正されたのではないかと思います。面白いのが、偶然にも元スパイス・ガールズのメンバーである彼の奥様のニックネームは「Posh」でした。
一昔前から、この「Posh」という言葉がイギリスでよく使われているようです。「上流ぶってる」みたいな意味合いで、あまりいい意味で使われていません。例えば「dinner」と言わずに「supper」を使うと「poshぶっちゃって」と言われるみたいです。
時代と共に変化しているイギリス英語
最近ではposhな英語は敬遠される傾向にあるようです。女王の孫であるウィリアム王子はクイーンズイングリッシュではなく、コックニーっぽい英語(エスチュアリー英語)をよく使っています。
さらに、イギリスの首相 David Cameron は イートン・カレッジ 、オックスフォード大学という典型的な超エリートなのですが、国民の支持を得るために、いかにも上流ですといったポッシュなアクセントでスピーチしていません。
キャメロン首相のスピーチ
どうですか。かなり聞き取り易い綺麗な英語ですよね。このスピーチの中で驚きなのが「directly」という単語です。イギリス人の多くが「ダイレクトリー」と発音するのにアメリカ式に「ディレクトリー」と発音してます。
Estuary English(エスチュアリー英語とは)
元々はイギリス南東部の方言で、テムズ川の河口周辺で使われるようになった英語です。コックニーとBBC英語の中間という立ち位置にある英語で、学術的には「河口域英語」とも呼ばれています。このエスチュアリー英語を好んで使う方が増えている傾向にあるみたいです。
ハリーポッターはイギリス英語の見本市
よくイギリス英語の教本的な映画として「ハリー・ポッター」が取り上げられますが、実はこの映画の中ではさまざまな地域のイギリス英語が話されています。
ハリー・ポッターと友達の女の子、ハーマイオニーは極めて上品な英語です。友達の男の子、ロン・ウィーズリーはロンドン訛りがあります。ホグワーツのダンブルドア校長先生はアイルランド訛りで、髭もじゃの巨漢の教師であるハグリッドの独特の話し方は西部地方の訛りです。ほんと色んなイギリス国内の地方のアクセントが聞ける映画です。
イギリス英語を学習するのにお勧めの映画
Love Actually(ラブ・アクチュアリー)
オムニバス形式のストーリーの映画で、内容自体も素敵な映画です。ヒュー・グラントが話す英語はposhよりの綺麗な英語です。イギリス英語の日常会話をマスターするにもいい映画だと思います。
Bridget Jone's Diary (ブリジット・ジョーンズの日記)
またしても、ヒュー・グラントさんが登場する映画です。ブリジェット役のレイ・ゼルウィガーさんはアメリカ人の女優さんですが、みごとに綺麗なイギリス英語を話しています。
まとめ
私が感じるのは、言葉というのは生き物であり、つねに変化しているという事です。イギリスの若者の間では、アメリカのハリウッド映画がイギリス英語に影響をもたらしているみたいですね。また新語や流行語というものは、イギリスに限らず日本でも生まれたりします。
まだまだ英国では、服装や会話から相手がどの階級であるのかといった探り合いがあるようですが、少しずつ変化しているように感じます。10年後に私が日本に行った際には、「何、その古い言い回し!」と言われることもあるかも・・・笑
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