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アメリカの健康診断とは?私の健康診断体験記

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私はこの間、健康診断を受けてきました。日本では会社が社員の健康診断を行うようですが、アメリカではすべて自己責任です。私は年に一度、最寄りの病院に行き、健康診断を受けています。今回はその体験をコメディ調に書いていきたいと思います。なお、今回は役に立つ情報など一切なく、18禁です。

待ちに待った健康診断

今日は月曜日。待ちに待った健康診断の日だ。普通だったら「健康診断?」と気落ちするのが当たり前だろうが、ここはアメリカ。健康診断を受けられるということは、適切な医療を享受できる環境にあるということである。ましてや会社も午前中サボれるとあれば、嬉しくないはずがない。私は前日の夜8時から何も食べず、朝から水だけを飲み、最寄りの病院に向かった。

保険会社と保険制度

小奇麗な病院に入り、受付で自分の持っている保険のカードを提示すると「ああ、前回と同じ保険ですね」と受付嬢に一瞥される。その言葉で、今度会社が契約している保険会社が変更されることを思い出した。アメリカでは年々高騰する保険料にどの会社も頭を抱えている。どの保険会社も新規顧客獲得に躍起だから、新規加入のディスカウントを提供している。会社によっては保険料節減のために、毎年、契約する保険会社を変更している会社もあるというくらいだ。

保険会社が変更されるということは、保険の Claim の提出方法も変更になるということで、色々と面倒なことが予想される。まずは自分の使っている病院と、医師が保険のネットワークに参加しているかということを調べないといけない。つまり、病院が自分の保険のネットワーク内だったとしても、医師が必ずしも自分のネットワーク内の医師であるとは限らないからだ。万一、ネットワーク外の医師だった場合、高額な診療費を要求されるそうだし、駐在員の日本人がうっかり高額な医療費を請求された話も聞いたことがある・・・

アメリカの健康診断でやること

と考えて、待合室の席に座る。私がアメリカに住んでいて、タバコも飲酒もやらない理由のひとつに、健康の維持がある。アメリカは医療費が非常に高額だからうっかり病気にでもなった場合、高額な医療費がかかり、経済的に苦しくなる。また海外で暮らしていて最後に頼りになるのは、自分の健康だから、自分で自分の首を絞める行為をするわけにはいかないのである。最近年を取ってきて、周囲にも体を壊す人が増えてきた。自分も用心しないと・・・と考えていると、看護婦に呼び出されて、尿検査用のサンプルを取ってくるように言われる。

尿検査

この時を待っていた。今朝から水を飲んでいて私の膀胱はパンパンである。うっかりトイレに行ってサンプルを取れないと大変だから、今朝からトイレに行くのを控えていた。喜び勇んでトイレの中に入り容器を掴むと、洋式トイレの側に、サンプルの取り方の入念な説明が書いてあった。日本では確か尿検査の容器はスポイト状の容器だったと記憶しているが、ここではなぜか、フタ付きの小さなカップである。

こちらは男性だから、尿検査のサンプル取りに説明なんていらないと思うが、ここがアメリカ的なところである。アメリカは非常に説明が詳しい傾向が強い。問題集を買えばその厚さに驚くが、大半は問題文の解説に使われている。教科書も同様に分厚く、自学自習で事足りるほど説明が詳しい。ホテルに泊まればホテルのプールでも説明文が詳しく、プールぐらいに不必要なんじゃないかと思えてくるが、長くアメリカに住むにつれ理由がわかってきた。

アメリカでは「常識」というものが日本より通用しづらく、時に予想外の行動にでる人物も多い。きっとこれまで小用の容器に「大」を詰めたりといったトラブルがあったに違いない。また説明がなかったといって、法的措置にでようとする輩も多い。その結果、説明文がいたるところに貼りだされることになる。

驚くべきことに、説明文がちゃんと、女性用と男性用に分かれて書かれていることだ。私は男性なので、男性用の指示に沿ってパンツを下ろすと、今度は包皮が被っている人用と、被っていない人用に分かれて指示が書いてあることには恐れいった。聞くところによるとアメリカでは新生児を割礼する場合もあり、包皮が被っていない人と被っている人で半々だと聞く。実際に見て調べたわけではないので分からないが、私の友人の赤ん坊も割礼をしたと話していた。

まったくアメリカの説明文化には驚きだなと思いつつ、指示通り、最初の尿を捨て途中からの尿をとっていると、きっと過去になみなみとカップに注いで提出した人がいたのだろう、説明文の末尾に手書きされた”Don’t fill up!” という文字が目に入り、笑ってしまった。危うく手にオシッコがかかりそうになるが、すんでのところで免れた。カップに自分の名前と生年月日を書き、脇のボックスに投函して提出。

主治医による診察

また待合室に戻るやいなや、再度名前を呼ばれて身長、体重、血圧を検診。奥の部屋に招かれて、備え付けのガウンに着替える。ガウンの下は真っ裸で10年前にアメリカで健康診断を受け始めた頃は随分と抵抗があったのを思い出す。

しばらく待っていると、私の主治医が入ってきた。彼女は年の功、50代で上品な婦人という感じ。私は頑強なので年に一、二回しか会う機会はないが、私の家族構成、職種、趣味などをよく憶えいてくれ、信頼がおける。私の健康に変化はないか、簡単な問診の後、聴診器で診察。ガウンをはだけ全身にホクロがないか、チェック。数年前に胸の大きなホクロを除去した際、随分と心配していた。ネットで調べてみると白人の皮膚がんの発生率が日本人より高く、そのせいもあるだろう。結果は良性で別に問題はなかったが、国が違えば医師が注意を払う箇所も違うものだ。

ドラッグチェック

考えてみれば、10年前の初診の際、ストレートに、”Do you do any drug?”と尋ねられた時は驚いた。あわてて”No”と答えると、私の腕に注射針の痕跡がないか入念に確認していた。懇意になってから意図を聞いてみると、アメリカではドラッグの問題が深刻で、この質問に”Yes”と素直に答える人がいるとのこと。

酒タバコをやらない私はドラッグもやらない。唯一嗜む”合法”ドラッグはカフェインだけだが、コーヒーを一日10杯以上飲む人は施設に送られる可能性もあるとのこと。鎮痛剤を常用する人も多く、アメリカ人に薬漬けの人も多いのかもしれない。

◯◯◯の触診

今度は下半身を露出し、大事なところを視診と触診。これも最初の頃は抵抗があったが、今では慣れてストリッパー気分だ。引っ張ったりされたりすると、カルテに”Small”とか”Useless”と書かれたりすると面白いなあと、くだらないことが頭をよぎる。玉の奥に手を添えられ、咳をするようにいわれ、咳をする。聞くところによると、これでヘルニアがあるかどうか分かるらしい。すべて問題なし。何か質問は?と聞かれたので、”Can I still use this?”と指で指しながらおどけると、彼女はニッコリ”Yes!”と太鼓判を押してくれた。

直腸がんの検診

次は今回の健康診断のハイライト。アメリカでは直腸がんの検診を40歳になるとやるとそうで、私は去年からいわれていた。高台のベットに手をつき、おしりを突き出す。40歳のおっさんがやるには少々酷な、「世界で最も恥ずかしい格好」だが、仕方がない。女王様の指示に素直に従う。「昨晩から興奮して眠れませんでした」というと、彼女は爆笑しており、痛いものではないという。その証拠に「私の指は細いもの」と見せてくれたが、私の指より太く、返って不安になった。

彼女は医療用の薄いゴム手袋にジェルをつけ、意外や意外、簡単に指が入り、今まで体験したことのない感触が広がり、新しい世界が開けるようだ。”Do you feel any pain?”と彼女は指を中でグリグリと回す。その感触の異様さに笑ってしまったが、これも問題なし。私が Improv(※)をやっていることを知っている彼女は、私が「Improv のネタ(Improv material)」に使わせてもらうというと、喜んでおり、外国で意思疎通が図れるお医者さんが身近にいることはとても嬉しいことだと思う。

血液検査

直腸がんの検診が終わったあと、血液検査。看護師の人が腕にゴムを巻き付け、血液のサンプルをいくつか採取する。これも手早く終わり、受付の人に例を言って病院を後にした。

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結果はウェブで確認

当日の午後にはメールで検査結果が病院のサイトにアップロードされた旨を伝えられた。アメリカはネットが浸透しているのでこういった手続きにネットが活用されるのはありがたい。なぜなら病院の検査結果を口頭で伝えられても、私のような外国人には分からない場合が多いからだ。ましてや病名なんて山のようにあるから事前に予習のしようもない。検査結果をダウンロードすると例の医師からの簡単な説明文と詳細な検査結果が表示されていたが、要は問題ないことだけが分かった。

まとめ

上記のような顛末が私の今年の健康診断でした。大事な点は、健康診断を受けること。海外での生活では(も)健康なくして生活が成り立ちません。その次に、保険のシステムが日本と大幅に違うので、自分の会社の提供してくれる保険のシステムを良く調べてから健康診断を受けること。健康であることで海外生活が楽しめます。健康診断を毎年必ず受診されることをお勧めします。

※Improvについては、『 アメリカ版の漫才?即興コメディ「Improv」の魅力と面白さ 』の記事にてご紹介しています。

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