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なぜ企業はプラスチックストローの使用を廃止する?プラスチックごみが与える深刻な海洋汚染

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以前、世界のプラスチックごみに関する現状をご紹介しましたが、今回は海外メディアの記事を元に、プラスチックごみが与える海洋汚染についてご紹介します。合わせて、我々ができることについてもお伝えしていきます。

こちらの記事は、以前の記事 なぜ企業はプラスチックストローの使用を廃止する?世界のプラスチックごみに関する10の真実 の続編です。

プラスチックを大量に飲み込み死んでいくクジラたち

2018年2月下旬、スペイン南部ムルシアの海岸に死んだオスのマッコウクジラが打ち上げられました。

調査団体によると、このマッコウクジラは30キロ近くのプラスチックのゴミを飲み込んでおり、胃袋の中からはビニール袋やネット、ロープ、さらに燃料などを入れるポリ容器まで出てきたそうです。

専門家によるとクジラはプラスチックを排泄することができず、バクテリアへの感染が原因で腹膜炎を起こしたことが主な死因とされています。

@9NewsMelb

さらに、同じような出来事が2018の5月にもタイ南部でも起きています。小型のクジラの一種であるコビレゴンドウがビニール袋やプラスチック容器約8キロ分をのみ込んで死んでいるのが発見されました。

タイの水域では毎年、ゴンドウクジラ、ウミガメ、イルカなど少なくとも300頭の海洋生物がプラスチックを飲み込んで死んでいます。

地元の人たちも事態の深刻さに気が付き、海岸でプラスチックやごみを拾う活動をしている人たちもいるようです。しかし、マイクロプラスチック(後述)は粒子が小さいため、ざるなどを使っても海辺の砂と大差がないため回収するのが困難だとされています。

マイクロプラスチックとは?

マイクロプラスチックとは、5ミリ以下のプラスチック材料の小さな断片のことで、陸や海に放棄されたプラスチック製品が太陽光や波風により段々と細かい断片になり、マイクロプラスチックとなり、環境中に広がっていきます。

「マイクロプラスチック」と一言で言っても、実際にはペットボトルやレジ袋などの「ポリエチレン」、食品容器の「ポリスチレン」、ナイロン、ポリ塩化ビニルなどを含む、さまざまなタイプのプラスチックから構成されます。

マイクロプラスチックはヒトにとって有害な健康影響を与える揮発性有機化合物が放出されます。元々プラスチック自体が石油から作られているため、海中に存在する油脂性の汚染物質をどんどん吸収していき、有害物質を100万倍まで濃縮したマイクロプラスチックも存在するそうです。

恐ろしい話ですが、その有害物質の中には、DDT(農薬)・PCB(毒性が極めて強いポリ塩化ビフェニル)・ダイオキシンなども含まれます。

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マイクロビーズとは

ゴミから排出されるマイクロプラスチック以外にも、我々の日常生活から排出される、更に小さなプラスチック粒子があります。それがマイクロビーズです。マイクロビーズとは、洗顔剤、歯磨き粉、ボディソープなどに使われる超微細なプラスチック粒子(汚れ・角質を除去するためのスクラブ)のことです。

マイクロビーズは1ミリ以下の目に見えないほど微細で、私たちのバスルームや洗面所から下水処理施設のフィルターを通過して川や湖、海に、毎年何百万トンも流れ込んでいます。

海に与える影響

マイクロプラスチックやマイクロビーズが海に影響は、数年前までは人々が気にもしていなかった問題ですが、人間の食料となる魚の生態、個体数にも大きく影響を与えると多くの研究者が発表した後、人々の大きな関心になりつつあります。

マイクロビーズは海の汚染物質を濃縮し、それを食べた魚が体内に有害物質を蓄積するため、食物連鎖で環境全体を汚染し、人間にも深刻な影響を与えるリスクがあります。

近年、魚アレルギーの患者が増えているのも、海中のマイクロプラスチックやマイクロビーズの影響があるのではないかという研究者らもいます。

魚は捉えやすいマイクロビーズを好んで食べる傾向があり、大きな魚もマイクロビーズを食べて動きが鈍くなった小魚を好んで食べる傾向があるため、私たちの食料の魚への影響はもうすでに深刻化していると言っても過言ではありません。

環境のために私たちにできること

ここまで、プラスチック製品が与える環境への影響についてご紹介しましたが、ここからは、そんな中、私たちができることについてご紹介していきます。

環境に負荷をかけないためのアクション「5R」

筆者の住むカリフォルニア州は環境問題やリサイクルへの取り組みが他の州より熱心で、プラスチックのリサイクル率も高く成功している方と言われています。そんなカリフォルニアでは「5R」という、Rを頭文字にした環境へ配慮したアクションに関するスローガンを良く見かけます。5Rとは、以下の単語の頭文字です。

  • REDUCE(減らす)
  • REUSE(再使用)
  • RECYCLE(再利用)
  • REFUSE(断る)
  • REPAIR(修理する)

REPAIRの部分が、RESPONSIBLE(責任のある)になっている5Rも見かけます。

不要なものは断りマイバッグ・マイボトルを持参する

日本では多くの人たちが缶やペットボトルへのリサイクルへの協力はしていると思いますが、案外できてないのはREFUSE(断る)の部分だと思います。日本人はコンビニの定員さんが弁当に箸を付けるなど、相手が親切でしていることに対して、断るのが苦手なことに起因しているのかもしれません。

しかし、ストローやプラスチックのフォークやスプーン、箸などは全て家にあるもので充分なので、全て断ることができます。また、食事をテイクアウトするときも、ガラス容器や以前もらったプラスチック容器などを持参して対応することができます。

コーヒーチェーンのスターバックスはマイボトルを推奨しています。マイボトル持参だと少しドリンクも安くなるので、コーヒーをよくスターバックスやその他のコーヒー店で買うという人は、マイボトルを持ち歩きましょう。

個人的な見解ですが、プラスチック容器に入っているホットドリンクより、マイボトルで飲んだ方が味もずっと美味しくなる感じがします。

環境に負荷をかけていない製品や企業を選択する

アメリカでは2015年末、オバマ大統領がマイクロビーズ除去海域法という法案に署名し法律が成立しました。これによりアメリカでは、2017年7月1日からは、マイクロビーズが配合化粧品やその他の製品の輸入も製造も禁止され、2018年7月からは販売も禁止されました。

しかし、結局はあくまで化粧品のみの規制なので、マイクロビーズ入りのハンドソープを医薬品として売る化粧品メーカーもあり、マイクロビーズ入りの汚れ除去剤などはまだ出回っています。マイクロビーズ入りのクッションやおもちゃなども規制されておらず、個人輸入などもあるため、国も厳密には把握できないそうです。

結局は買う側がマイクロビーズを拒否するという姿勢が大事だと思います。

なお、日本国内での化粧品のマイクロプラスチックに関する規制は世界に後れを取っており、いまだに企業の自主規制に留められています。そんな中で、石鹸メーカーの花王は2016年までに自社製品のマイクロビーズを全て天然由来成分(セルロース、コーンスターチ)に切り替えました。

日本でもおなじみの化粧品メーカーLUSHはマイクロビーズを一切使わない商品を世界中で提供しており、コーヒー豆、砂糖、シーソルト、ライムなどすべて食品からスクラブを作っており、ビーガンなどにも支持されているエコブランドです。

マイクロビーズ入りではなく、炭の石鹸や砂糖のスクラブなどの自然分解可能な環境にやさしい物質でも、古い角質や黒ずみは充分落とすことができ、その方が肌にも優しいでしょう。

このように、環境への配慮を心掛ける企業の製品を積極的に選択することも重要なアクションです。

ちなみに、マイクロビーズを使用しているかいないかを商品のバーコードを読み取ることで、一発で識別してくれる便利なアプリ「 ビートザマイクロビーズアプリ 」を活用するのも一つの手です。

なるべくプラスチックを買わないようにするのと同時に、ボトルを買う際はリサイクルマークが裏にあるかチェックしましょう。家の掃除でも、プラスチックのスクラブ入りではなくても重曹やクエン酸、アルコールなど、環境に負担をかけないもので充分綺麗になります。

常に安い方を選ぶばかりではなく、環境を配慮した商品を積極的に購入する消費者が増えると、環境問題をもっと真剣に取り組む企業も増えるのではないでしょうか。

再利用可能なものを選択する

アメリカのエコ意識の高い人たちはサランラップやプラスチックバッグを一切使いません。代わりに、木綿のバッグ、BEEWAXペーパーなどを代用品として使っています。

例えば、こちらのStretch&Freshという企業のシリコン製のラップは洗って何度も使用することができます。ただし、シリコンラップは少しテクニックがいるので、使いこなせるまで少し練習が必要かもしれません。

ちなみに、シリコンも何度も使えるためエコだとされていますが、廃棄後はリサイクルされにくく生分解されない素材(丈夫な素材)なので、決して環境にいいものではありません。シリコン製の物を買ったらなるべく大事に使い、長持ちさせるようにしましょう。

まとめ

日本ではマイクロプラスチックのことは、毎日ニュースで取り上げられるほど話題にはなっていませんが、筆者の住むアメリカではSNSやニュース、インスタグラムの投稿などで良く見かけます。

ここでご紹介した内容は、皆さまが海外に出られたときの話題のネタとして知っていただくだけでなく、少しでも環境に負荷をかけない意識を持っていただければ幸いです。

なぜ企業はプラスチックストローの使用を廃止する?世界のプラスチックごみに関する10の真実 も合わせてチェックしてみてください。

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