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オーストラリアの海に魅せられて3度の留学!?-- トビタテ!留学経験者インタビュー Vol.12前編

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「とにかく海外に逃げるしかない。そう思い、留学を決めました。」留学のきっかけは人それぞれですが、こんな留学動機はなかなか珍しいですよね。英語は赤点を取るくらいニガテ。それなのに留学を3度も経験!?そんなユニークな留学をしたのは、トビタテ!留学JAPAN1期生の大野礼奈さんです。ヨット部から始まる彼女の留学ストーリーをご紹介します。

今回インタビューしたトビタテ生

大野礼奈(おおの れな)さん

大野礼奈さん(写真左)は現在社会人1年目、トビタテ生の第1期生です。大学3年時にトビタテ(※)プログラムを通して、オーストラリアのブリスベンにあるグリフィス大学に留学しました。

1年生の頃からオーストラリアに自分の居場所を見出した、行動力あふれる大野さん。しかし最初の留学を決めた理由はかなり意外!前編の今回は、留学のきっかけとグリフィス大学での経験に迫ります。

※トビタテ= トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム 。官民協働の留学支援制度で、返済不要の奨学金が給付される。

留学のきっかけは「逃げ出したい」?

ーー トビタテに応募しようと思ったきっかけはなんですか?

トビタテで留学する前にオーストラリアにはすでに2度行っていました。ですがどちらも短期の滞在だったので、次は大学に長期留学したいと思ったのです。当初は、費用が抑えられるので大学の交換留学プログラムを見ていましたが、私が行きたかったブリスベンにはなく、パースの大学しかありませんでした。

でもどうしても以前訪れたブリスベンに戻りたくて…。私費留学はすごくお金がかかるので悩んでいた時、応募締め切りが1週間後に迫るトビタテプログラムの存在を知りました。

その次の日には、留学エージェントが開催するトビタテの説明会に参加していました。そしてそのエージェントが提供しているプログラムにはブリスベンの大学があり、「これなら1週間で書類を作って出せる」と思い、応募することにしました。

ーー 過去2回ブリスベンに留学したことは、どのようにトビタテ留学につながったのでしょうか?

実は、留学するまで英語がすごく苦手で、試験では赤点ばかり取っていました。理系の学部に進んだのもそのためです。ただ、理系の方がむしろたくさん英語を使うと分かったのは、大学に入学した後だったのですが。(笑)

ーー 入学後、海外に興味をもつようになる転機があったのですか?

はい。もともと海が好きで入学後はヨット部に入りました。私の大学は伝統ある大学なのですが、部活を始めてみると、そこには良い伝統だけでなく悪い伝統も残っていると感じました。

例えば男性が女性より高い地位にあり、年上が年下よりも強い立場で、一女(1年生の女子大生)だった私は当時一番低い立場なので発言権もなくて。それがすごく嫌だったのです。

なんとか部活は続けていたのですが、1年生の春休み、どうしても合宿に行きたくなくなってしまって。とにかく逃げるために、「英語は苦手だけど日本だとバレるからもう海外しか無い」と思い、短期留学を決めました。

ーー それが1回目のブリスベンになったのですね。どんな経験ができましたか?

印象的だったのは、オーストラリアは移民の国であり、女性だとか年がいくつだとかではなく一人ひとり、個人が認められていること。当時の私にはそれがすごく大きな衝撃でした。

それまでは「1年生だから」「女性だから」と言われる場所にいたのに、ブリスベンでは「私」という存在があるのがすごく嬉しかったのです。そんな場所で何か自分ができることを残したいなと思ったのが、次の留学とトビタテ留学に繋がりました。

英語は当時、本当に笑ってしまうくらい話せなかったけれど、そんなきっかけで海外に出てしまったのが最初の留学のきっかけです。正直、最初はポジティブな目的ではなかったですね。

大好きなブリスベンに「戻りたい」

(↑語学学校の卒業式にて)

ーー もう一度留学したい、と思うようになったブリスベンの魅力を教えてください。

ブリスベンは自然もあるし、文化とも融合している、とてもきれいな街です。そんなブリスベンで生活しているうちに、ここが好きだなと思うようになりました。同じように、初めて行った海外の地にまた戻りたいと言ってトビタテに応募する人は結構多いですよ。

東京にも公園などの自然はありますが、狭くて人が忙しい感じですよね。でもブリスベンは、もちろんオフィス街もありますが大きな公園があって、川を挟んだら動物もたくさん見られます。そして夜には友人たちとBBQをするのです。

本当に川一本で、「私生活」と「仕事」が切り離されている感じです。日中はみんな仕事をしていますが、午後になると自然豊かな場所で自分の生活を楽しんでいます。

ーー 素敵ですね!大野さんが好きな「海」も魅力の一つだったのでしょうか?

そうですね。オーストラリアは海洋保護に関してすごく発達していて、市民一人ひとりが海のことを、子供の頃から良く知っています。私が知りたいことも、ブリスベンにあると感じました。

ーー 2回目はどんな留学をされたのですか?

2年生の夏休みには1カ月の海洋実習に参加しました。大好きなブリスベンになんとかして戻りたいと思ったのですが、すぐ交換留学できるわけではないので、方法を模索していました。

そんな時に、大学に理工学系の奨学金があることを教えてくれた教授がいて、その奨学金もトビタテのように自分のやりたいことを計画にまとめて応募するスタイルでした。そこで、英語もできないにも関わらずブリスベンの大学や研究機関に何件もアプライを送りました。

もちろんほとんど返信は来ないのですが、なんとか返信をもらえた大学があり、奨学金を獲得できました。最初の渡豪から半年後、ブリスベンの地を再び訪れることができたのです。

ーー 1回目と比べて、どんな新しい経験ができましたか?

2回目で初めて現地で海の勉強をするようになり、初めてオーストラリアの海をしっかり見ることができ、本当の海の色や、生物たちを見て、やはり私が深めたい分野は「海」だと確信しました。

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留学テーマの設定と、グリフィス大学を選んだ理由

Griffith University

ーー トビタテ応募の際に気を付けたことは何ですか?

トビタテは留学をゴールとしていないので、留学後のその先を考えなくてはいけません。でも私は「留学したい!」という気持ちがすごく強かったので、なかなかその先を練られてなくて…。

留学して終わりです、ではなくて、帰ってきてからどうしたいのか。もちろん留学を通して変わってもいいけれど、今の時点で「これがしたい」ということを考えられていないといけません。

ーー 大野さんはどんなテーマで留学の計画を作られましたか?

当時は、憧れていた化粧品の研究会社は諦めていて、海をテーマにするなら観光がいいかなと思っていました。そこで、東京オリンピックを見据えて「マリンリゾートの国際化」というテーマを設定しました。

私の地元は江ノ島に近く、当時は東京オリンピックのヨットレース会場が江ノ島になると決まったばかりでした。留学を通して、マリンリゾートの成功例をもつ都市であるブリスベンから観光業を学び、東京オリンピックで外国人を温かく迎えられる江ノ島を作りたい。それが当初の留学テーマでした。

ですが先に言ってしまうと、留学中に大学で観光の勉強している間に、自分がやりたいことは観光よりも化粧品だと気が付きました。

ーー 勉強中に気持ちの変化が生まれたのですね。留学先の大学はどのようにして決めましたか?

ブリスベンにはクイーンズランド大学もあったのですが、実践的な大学ということでグリフィス大学を選びました。グリフィス大学は2つのキャンパスがあり、語学学校のある方は森の中にあり海も遠くて、コアラも見られるくらい自然に囲まれてるキャンパスでした。(笑)

学部の授業が始まると海の近くのキャンパスになって、自分の勉強したいこともできるようになりました。

アジア人は1人、専門用語だらけの授業の克服法

Griffith University

ーー グリフィス大学での授業はどうでしたか?

海洋学の授業が印象に残っています。というのも、生徒80人中アジア人が私1人だったからです。中国やインドの学生はビジネスの授業に多く、海洋学などのサイエンス系の授業にはオーストラリア人やヨーロッパ人が多くて、馴染むのがとても難しかったですね。

第一言語が英語である学生が多く、会話についていけないのが怖くて話しかけることもできませんでした。さらに授業では専門用語もとても難しかったですね。

ーー それはついていくのが大変そう…。どのように克服されたのですか?

グリフィス大学ではすべての授業が録画されていて、帰宅後にも授業を見ることができます。そこで私はまず0.5倍速で何度も見て、単語を調べながら「ああこういうことか」と理解しながら勉強してました。

慣れていくうちに、2回見れば分かるようになり、徐々に1回でも良くなって、最終的には授業に出席するだけで分かるようになりました。そこまでが一番大変でしたね。

ーー 大野さんが一番面白いと感じたのはどんな授業ですか?

やはり実習ですね。朝早くから海に行って潜ったり、シュノーケリングを通してどの魚がどの魚を餌としているのか観察したり。魚同士のふれあいを見て、喧嘩まで観察できました。

「ああ、習ったのはこういうことか」と、自分の目で確かめることができました。黒板で見ていたものを生で見られるのは、きれいな海があるからこそできることです。

留学を通して得られたもの、繋がったこと

ーー 留学先としてブリスベン、グリフィスはどんな人におすすめですか?

グリフィス大学は総合大学なのですが、自然が豊かで自由に過ごすことができ、授業が実践的なので自分で色んなものを見てみたい人にお勧めです。

ボランティアの紹介も多いので、授業以外の「やってみたい」を叶える機会が多く、チャンスがたくさんある大学だと思います。

ーー 留学中に一番大切にしていたことは何でしょうか?

学校のスローガンでもあった、”Know more Do more”(知れば知るほど行動できる)です。授業で苦しいときも、勉強して単語を知れば知るほど実験もできます。知らないことは怖いけれど、やってみないとできることは増えません。

最初は聞けなかった授業も勉強して聞けるようになりましたし、やってみないと、または知ってみないと分からないことはたくさんあるんだと思いました。大事にしていた、というより励まされた言葉ですね。

当時はこの言葉を付箋に書いて部屋に貼ってました。手帳とかにペタペタとね。今でも大きい存在です。

ーー トビタテの留学成果報告会ではアンバサダー賞を取られたと思うのですが、どんな経緯でどんな活動をされたのですか?

トビタテには事前研修があるのですが、1期生は”日本発信プログラム”というものあり、日本文化を広げる活動を考えました。もともとアクセサリーや洋服を作るのが好きで、ちりめんの折り紙だったら簡単に可愛いピアスが作れるかなと思ったのです。

「折り鶴のピアスで日本文化を広めたい」というアイデアで発表したところ、とても反応が良く、背中を押してもらったので留学中に日本料理屋さんで販売させてもらいました。

自分が好きなことと、可愛いって思う女の子の気持ちを大切にしていたら、賞を頂くことができました。

ーー 日本文化の発信は「海」という軸とは全く別のものに見えますが、実は大野さんの興味や好きなことに繋がっていたのですね!

そうですね。可愛いものが好き、創り出すのが好き、というのは、その後の化粧品の研究にも繋がっていきますね。

インタビュー前半を終えて

最初の留学のきっかけは「逃げ出したい」という一見ネガティブな理由だった大野さん。しかし実はそれは、もっと自分らしい何かができる場所へと彼女を導く、とってもポジティブな決断だったのです。

自分が身を置く環境を変えてみる、という行動には困難は付き物ですが、その決断は必ずあなたに変化をもたらします。新しい世界に飛び込み、自分の本当にやりたいことを見出していった大野さんの姿勢から学べることがたくさんあります。

後編の次回は、大野さんが研究機関で経験したインターンシップについてお伝えします。

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