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クレジットカードなしでは生活できない?アメリカ生活とクレジットカード

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アメリカに来てから大きく変わったことのひとつに現金をあまり持ち歩かなくなったことが挙げられます。支払いは9割方クレジットカード。もはや現金で支払うことがほとんどありません。今回はアメリカ生活におけるクレジットカードについて、重点的に書いていきます。

アメリカでのクレジットカードの浸透具合

以前のコラム 銀行口座開設やソーシャルセキュリティナンバー取得などアメリカでのお金の管理のコツ で書きましたように、クレジットカードはアメリカでの生活に欠かせません。大抵の小売商店でも受け付けており、アメリカ人の中には、一切現金を持たない人もいるぐらいです。中にはガソリンスタンドのタイヤの空気入れの機械までクレジットカード払いになっており、高々数十セントの金額までカードに付けてしまう世の中です。

ホテルに泊まろうとするとクレジットカードを要求され、部屋を汚したりした場合の損害額はそこに強制的に課金されてしまうことになりますし、レンタカーを予約する際も番号を要求されたりします。クレジット(信用)ゆえに、クレジットカードを持たない人間は信用できないのでしょうが、カードを持たない人間は一体どのように生活しているのか、不思議になるぐらいアメリカ社会においてクレジットカードは重要な役割を果たしております。

かくいう私もクレジットカードは現在4枚所有しており、光熱費はおろか飲食代、ガス代、書籍代など支払いの9割はカードで決済をしております。唯一家賃のみ口座からの引き落としですが、もはやクレジットカードなしの生活は考えられません。

カード支払いですと現金を持たずに決済ができる反面、使っているという実感が湧かないかもしれませんが、私はカード決済の履歴を閲覧できるオンラインの資産管理サービス mint.com で決済の履歴を毎朝確認しているので、自分が今日までにいくら使っているのかを把握しています。

さらに、ポイントを貯められるメリットや、カード番号が盗まれて知らないものを購入されてもカード会社が補償してくれるという点を考慮すると、カード決済が便利かつ安心だと思います。

日本でのクレジットカードの浸透具合

クレジットカード社会のアメリカに慣れて、たまに日本に帰って驚くのは、日本ではカードが使えない商店が多いことです。まず個人商店では使えませんし、カードを使うとお店のポイントカードへの加算を減らされるお店もあると聞いています。

数年前に日本に帰った際のことです。出かけようとする私に両親が「西瓜(スイカ)」をくれるというので「冬なのにスイカ?」と不審に思っていたところ、お手渡されたのは交通ICカードの「Suica」でした。Suicaは電車の切符を購入だけでなく、コンビニや自動販売機での決済が可能でした。

ただし交通ICカードはクレジットカードとは違い、事前にお金を振り込んでおくという時点で、アメリカでいうところの「Prepaid Card」に近いところがあります。

アメリカのPrepaid Cardとは、いわゆるギフトカードみたいなものでして、他人に差し上げる商品券に近い感覚かもしれません。日本では電子マネーの普及が著しいですが、逆にアメリカではあまり電子マネー決済は見受けられません。

Apple Payなどの携帯による決済は普及が著しいですが、これはクレジットカードをApple Payを介在して使うだけなので、結局はクレジットカード決済の一部と言えるでしょう。

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アメリカでクレジットカードが人気の理由

なぜ日本では電子マネーでの決済が広がり、アメリカでは依然としてクレジットカード決済が多いのか。アメリカでクレジットカードが人気な理由のひとつによく挙げられるのは、現金への信用が低いこと。実際、日本の銀行で円を米ドルに両替して、アメリカでピン札の100ドル札を使ったところ、ウェイトレスから怪しまれたなど、現金に対する懐疑の色が強いことは頻繁に日本人から驚きの声として聞きます。

日常生活ではまず100ドル札は使うことはありませんし、場所によっては受け付けてくれないところもあります。高額紙幣は使いにくいので、銀行でくずしてもらうことも珍しくありません。

そして、これは私の独断ですが、アメリカ人は一般的に「借金」への抵抗感が日本人より少ないのではないでしょうか。クレジットカードは現金を持たなくても買い物ができる魔法のカードですが、クレジット(信用)ですので、クレジット会社からの信用調査に合格した人でないと基本的に持つことはできません。いわゆる借金をして買い物をするので、毎月返済しないと金利が付くのです。

ネット記事「 Most Americans have less than $1,000 in savings 」に依れば、実に62%のアメリカ人が銀行口座に$1,000以下しか持っていないと述べています。さらにリンク先にある記事「 5 reasons Americans are not saving money 」では、アメリカ人がなぜお金を貯めないのかという理由について、以下のとおり挙げています。

  • 金利が低い
  • 銀行手数料が高い
  • 今日生きて、明日のことは忘れる
  • 公的なインフレ率と比べて給与が増えてない
  • カード会社からの貸し付けが激しいので、カード使ってやりくりすれば何とかなる。

私個人としては周囲のアメリカ人に「一体銀行口座にいくら入ってんの?」なんて尋ねるわけにもいかず、この記事の信ぴょう性を評価することはできません。

私には数多くのコメディに携わっている友人がおります。その半数はもしかしたら、ウェイトレスやバーテンダーといった商売に携わっているかもしれません。基本的にこういった職種は医療保険や401Kといった年金はつかず、仕事場を変えやすい反面、それなりの賃金で働くことになります。

私が不思議なのは、こういった職種についている若い20代の友人たちのFacebookやInstagramに、メキシコやハワイ、マイアミでのリゾート写真が頻繁にアップロードされる点です。

大変失礼ながら、私より彼らは所得が低いはずですが、生活は写真を見る限り、物質的に豊か。こういったSocial Mediaには見栄えのする生活だけアップロードされる傾向がありますから、見かけだけかもしれませんが、一般のアメリカ人の方々は日々の金繰りをどのようにされているのか、訝しくなることもあるのは事実です。

もうひとつの隠れた理由

さらに理由があるとするならば、日本での生活よりもっと身近な「投資」のせいもあるかもしれません。アメリカは日本と違い、人口が増えていく先進国です。外国からやってきた移民は米国で家や車を買いますから需要が見込め、経済成長を促します。

小林由美著「超・格差社会のアメリカの真実」 では、経済的な成功がアメリカンドリームの目標と断言しています。私の周囲のアメリカ人の友人にも投資をしている連中は数多くあり、日本人と比べてもアメリカ人の方が投資している人は多いと思います。

上の記事には「Saving Account(普通預金)」に、お金が$1,000以下としていますが、Saving Accountは銀行の口座の一種でして、投資口座とは別です。よって、おそらくアメリカ人は現金を持たずに、株券や国債などに変えてしまうので、ただ単に口座に現金が少ないのかもしれません。

実際、私自身全財産の1割以下が現金でして、そのほとんどは投資口座に入っています。

まとめ

アメリカ社会にクレジットカードが浸透している理由に、借金への抵抗が少ないこと、現金を持たずに投資をしたりして財産を増やすという感覚があるゆえに、現金を持たず、買い物も現金を用いないことになるのではないでしょうか。これは経済成長を前提としたライフスタイルゆえに少々危なっかしい気もしますが、車もリースする人が多い現状では広く受け入れられているように見受けられます。

もしアメリカでの生活を体験するご予定のある方は、アメリカは金融に彩られた消費社会であることを肝に銘じてから、渡米されることをおすすめいたします。家も「借金をすれば買えなくはない」範囲で手に入りやすいアメリカでは、銀行が「Mortgage(家のローンは特別にこう呼びます)を組めば、Tax Return(確定申告)の際、税金面でお得ですよ」と言葉巧みに誘ってきます。

つまり、家を買うためにローンを組めば、政府が減税してくれるのですが、これも考えてみればおかしな話です。政府が銀行と結託して国民に借金をするよう勧めていると解釈しても良さそうです。

ローンの金利を抱えてまでして減税を得たいのかは個人の判断かと思いますが、私はアメリカが借金奨励国家であることを知っているので、まだMortgageを組んだことはありません。アメリカ社会にクレジットカードが浸透している深層には、アメリカ社会の借金奨励文化があるのかもしれません。

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