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ヘイトクライムとは?海外で人種差別や偏見に巻き込まれそうになった場合の対処法
アメリカにやってきて早17年、今までそれほど人種差別や偏見を意識せずに、生活をしてくることができました。現代のアメリカでは、人種偏見的な意見や表現には大変敏感でして、表立って自分の人種を避難されたり、他人を肌の色で区別することは厳禁となっております。しかしヘイトクライムと分類される犯罪が消滅していない以上、私たちの心に偏見の芽は消えていないといっていいのかもしれません。本稿ではヘイトクライムについて、私の考えを述べていきたいと思います。
ヘイトクライムとは?
ヘイトクライムとは一体何でしょうか。Wikipediaには以下のように載っています
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ヘイトクライム(英: hate crime、憎悪犯罪)とは、人種、民族、宗教、性的指向などに係る特定の属性を有する個人や集団に対する偏見や憎悪が元で引き起こされる暴行等の犯罪行為を指す。
- Wikipedia - ヘイトクライム
要は、人間の偏見が犯罪のレベルにまで達した場合、ヘイトクライムと呼ばれるといってもいいかと思います。言い換えれば、犯罪とみなされないヘイトクライムは、ただの偏見でして、これは毎日の日常の中に沢山ありそうです。
本当に人種差別が原因なのか?
私は過去のコラム「 その偏見は本当に「人種」に対するものなのか?私の人種偏見考察 」でも書いたように、表立って、強烈な人種偏見などを受けたという意識や記憶はありません。
これは、ただ単に私がボーッとしていて偏見を受けているにも関わらず気づいていないだけなのか、それとも本当に偏見のない扱いを受けてきたからのかは、まったく分かりません。この人種や国籍に関する感覚は個人差が激しく、私は大学時代の体験が思い出されます。
私は大学二年のときに初めてイギリスで英語研修を受けました。日本の大学での研修プログラムでしたから、私の大学から日本人大学生30名ほど参加して、イギリスの英語学校で英語を学ぶのです。
この中のひとりがなぜか、韓国人や中国人のことを大変嫌っていることに気づきました。彼がなぜ、中国人や韓国人を嫌っていたのかは今となっては分かりません。しかし、他人を単純に人種や国籍で評価する彼は、この価値観が自分で自分の首を絞めていることに気づいておりませんでした。
私が他の学生に混じり、カフェテリアでトレイを持ちながら、自分の番を待っていたときのことです。急に彼が近づいてきて、粗暴な口調で私に質問をしてきました。曰く
「小銭」に関する英単語は何か?
私が「Changeじゃね?」と回答をすると、そのままお札を握りしめたままレジに行き、レジのおばさんにお札を突き出すと、「Change! Change!」と怒鳴り、その作法の悪さに私は唖然としたものです。
彼が戻ってきたので、せめて「Please」ぐらいつけろと諭したのですが、相手は私の言葉を無視。彼は自分のホストファミリーが人種偏見主義者ゆえに自分が冷遇されていると、ことあるごとに非難していたのですが、私はその原因の一因を垣間見た思いでした。
研修が終わった後、フランスとオーストリアに寄ってから日本に帰国することになっていたのですが、最悪なことにホテルで私は彼と同室になってしまったのです。彼は一晩中、自分がなぜ友達ができなかったのか。日本人だから嫌われた。自分が日本人だから舐められた。ホストファミリーは人種偏見主義者だ。などブツブツつぶやいていました。
彼とはまったく違うイギリス体験をしていた私は同じ部屋にいるのがイヤだったので、できるだけ外出をして同じ時間を過ごすことを避けておりました。
しかし、夜、ホテルに帰ってきてシャワーを浴びようとトイレのドアを開けると、愕然としました。バスルーム一面水浸しでトイレのマットレスもぐちゃぐちゃに濡れております。どうも推測するに、本人はシャワーカーテンをバスタブの中に入れないで、シャワーを浴びていたようなのです。
あわてて彼に注意すると、騒ぎ出してしまい私の手に負えませんでした。一ヶ月のイギリス研修後ですから、イギリスでのホームステイ先でも毎日カーテンを中に入れずにシャワーを浴びていたのではないしょうか。
その後もトイレを詰まらす、集団行動なのにバスの集合時刻に完全に遅れる、など粗相は続き、彼は問題の原因を自分や他人の人種や国籍に擦り付けることによって満足し、自分の行いを客観的に判断する思慮を欠いておりました。
こういったタイプの人間はまったく留学に向いてないことは自明の理でございましょう。留学をすれば、自分が「ガイジン」ですので、すべての不利な材料を自分の人種、国籍に擦り付けて、自分の行状の是非を問わなくなるからです。
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安易に人種や国籍によって判断することは危険
私はこの体験を通して、できるだけ自分や他人を人種や国籍によって判断することを排除することに決めました。つまり、イヤなことがあっても、その理由を自分の肌の色や国籍に求めるのではなく、他に理由があるのではないかと考えを巡らすのです。
たとえアメリカ人の女のコをデートに誘って冷たくあしらわれても、日本でも女のコに冷遇されていた私は、容易に自分の人種が原因ではないと断言することができます。英語でアメリカのカスタマーサービスに電話をしていい加減に扱われても、相手はただ単にその日、働きたくなかっただけなのかもしれません。
自分の英語力に原因を見出すこともできますが、相手はもしかしたら、外国人と一度も話したことのない人ゆえに不得手なのかもしれないのです。私はアメリカでの生活が長くなるにつれ、自然と自分が偏見に足を取られ、判断を見失わないような手段を培ってきました。下記のようにされると、対処がしやすくなることでしょう。
偏見に巻き込まれそうになった場合の対処法
自分が人種や国籍などの偏見にあいそうになった場合、できるだけその相手と距離を置くことにしましょう。日本の学校や事務所でもそうですが、他人の悪口しか話さない人間については、周囲の人間も合わせるだけで、自分も影で悪口を言われているのではないかと危惧するので、周囲は信用しないものです。自分の偏見を振りかざして、他人を判断して喜んでいる人間と付き合ってメリットはありません。距離を開けるのが一番です。
また自分の知らない人が自分にセンシティブなトピックを振ってきた際、私は英語の分からないフリや、寝たふりをして逃げることにしています。基本的に私は、よく知らない人とは、政治、宗教、戦争、人種、性の話題はしないようにしています。なぜならこれらの話題は個人個人で非常に意見が違いまして、話の収拾がつかなくなる可能性も高いからです。
ただし、どうしても苦手なタイプの人が、携帯電話ショップの店員や役所の係の人だった場合、どうしたらいいでしょうか。何としてでも自分のリクエストに答えてもらわないと、自分の生活が成り立ちません。
答えは「チェンジ!」です。
マネージャーか別の担当者に変わってもらい、その言い訳は「Well… you seem to have a hard time with my accents. Can I talk to someone else?(うーん、私の言葉の発音のせいであなたに苦労をさせてしまっているようなので、他の担当者の方に変わってもらえますか?)」と自分に非があるように言えば、相手はすんなり引き下がってくれるはずです。
そして、新しい担当者が良かった場合、名刺を必ずもらっておきましょう。次回から、「あ、ちょっと以前から対応してもらっていた案件があるから」と、直接その担当者を呼び出せばイヤな思いをしなくて済みます。
それでも、偏見に遭って不快な思いをした場合、日本でも同様なイヤことが起き得ると思い起こしましょう。日本でのイヤな体験を思い起こすのもいいかもしれません。
私は上記で同じ日本の大学から来た日本人の学生のことを書いておりますが、この種の人間はアメリカにもいることがアメリカに長く住むにつれ、分かってきました(ただし基本的にガイジンを嫌っているので、私には寄りついてこない)。要は自分がこういった人間にならないように注意すればいいのです。
そして、もし自分のした不快な体験が犯罪レベルであった場合、会社では人事部、大学ではしかる部所に相談をしましょう。大学には通常、弁護士付きのセクシャルハラスメントや人種差別などに対応する部所が設立されております。
私は大学院時代、テストの試験監督に行ってアメリカ人の学生たちから笑われたことがあります。本人はそれほど気にしていなかったのですが、私の周囲は大問題として取り上げました。
今になって考えてみると、自分はこういった偏見にちょっと疎かったかなと反省する面もございますし、ワーワー騒ぎ立てて子供じみた事態に陥るのを避けることができてよかったと思う面もございます。
最後に
私は幸いな事に偏見が集約して犯罪レベルになるヘイトクライムにまだ遭遇したことはございません。自分の身を守るためにも、治安の悪い場所には行かない、もし酒場やクラブなどに出向く場合は友達と一緒に行動をする。運悪く、一人の際に犯罪に巻き込まれそうに鳴ったら、助けを求める英語表現を必ず頭に入れておく。女性でしたら、防犯ブザーなども用意しておいた方がいいかもしれません。
そして大切なことですが、麻薬には絶対に手を出さない。女性を買わないといったことも自己防衛に繋がります。安全に海外での生活を楽しんでいきましょう。