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イギリスでの夫婦二人暮らし&留学生活とはーーイギリス大学院の留学経験者にインタビュー
旦那が留学や赴任で海外に行くことになったけどどうしよう…そんな方必見!大学に通いながらも主婦生活を送っていた方もいます。今回は夫の留学でイギリスへ行き、バークベックカレッジに留学していた方にイギリスでの留学生活と2人の生活について語ってもらいました。
今回インタビューを受けてくれた留学経験者
今回の留学経験者インタビューは、ロンドン大学バークベックカレッジ大学院修士課程パートタイムコースに留学していたTonakaiさん。バークベックカレッジでは分析化学科を学んでいた彼女は、留学中も主婦業と研究を両立させていたそうです。
社費留学の夫と共にイギリスへ
ーー 留学のきっかけを教えてください
夫の社費留学に着いてイギリスへ行ったことがきっかけで、自分も留学することにしました。大学生の頃からずっと勉強したかった分析化学が学べる大学があったからです。
私は聴講生としバークベックヘ入学を申請していました。その時に申請書・経歴・志望理由のエッセイを提出したのですが、なぜか面接に来いと言われました。
ーー 聴講生なのに面接!?
そうなんですよ。それですごく驚いて怖かったですね。何を聞かれるんだろう、と。
ーー 対策などはどうしたんですか?
夫がロンドンビジネススクールの経営修士(MBA)に1ヶ月早く入学していたので、その際受験の経験から対策してもらいました。
ーー それは心強いですね。
はい、そうなんですよ。それで丸2日間夫に特訓してもらって、面接に臨んだのですが、なんと私が話すより先生が話す方が長かったくらいでした。
志望理由書や経歴を見て、「ぜひ正規留学生として入学しないか」と言われました。バークベックでは通常1年間のコースなんですけど、半分に分けて2年間でもできるんですね。主婦業と両立するために、2年間でゆっくりすることにしました。学費もフルタイム1年コースとパートタイム2年コースのどちらになっても一緒なんですよ。
ーー 学費はいくらくらいなんですか?
最近イギリスのEU離脱でポンドが暴落しましたが、1ポンドが170円だったころに学費を支払ったので日本からの留学生の場合はトータルで当時240万円くらいですね。修士は意外と手の届かない価格ではないです。日本の私大の理工系の2年分の修士課程でもそれくらいするので。イギリスの理系で博士課程というと、3年間のトータルで1000万円くらいしますね。
ーー 1000万円!?
でも夫の通っているロンドンビジネススクールはもっと学費が高いですね。経営修士のMBAは1200万円なので、そっちはできるなら社費留学で行ける方が気分的には楽ですね。
ーー 社費留学というのは?
会社がお金を出してくれる留学のことです。私の夫は就職活動の時から社費留学を視野に入れて会社を探していました。会社によって負担額が違うのですが、夫の場合は、学費と渡航費と家賃が会社負担でした。知り合いでは学費のみ会社負担で、引っ越しや家賃は自分負担、という場合もあったので要注意です。
大学では11年ぶりの日本人だった
ーー イギリスでの生活について教えてください。日本人とのつながりはありますか?
私の大学には日本人が少ないので…日本人のつながりは夫の友達とその奥さんがほとんどですね。バークベックは本当に日本人が少なくて、私の学科では11年ぶりの日本人だそうです。留学都市のロンドンでは珍しいんですが、勤労学生が多く、イギリス人やイギリスに長く住んでいる移民の方が多いですね。
ーー 日本人のコミュニティーなどには参加していますか?
私は参加していないんですけど、ロンドンには日本人が多いので、日本人コミュニティーもあります。イギリスに4万人日本人がいるんですけど、ロンドンには3万人いると言われています。日本人同士で助け合ったり、情報交換をしていますね。ママ友が多いみたいです。やはり異国での子育てのことなど、相談できる相手がいるのは大きいですからね。
夫の留学、奥さんのストレスや病気に注意
夫に付いて海外に来て、ストレスで色々な病気になってしまうような奥さんもいますね。海外生活が合わず、奥さんだけ帰国してしまった例も私の知っている限りで4組ありました。
ーーどういう人が海外生活に適応できないんですか?
子どもの有無は関係なくて…子供がいてもいなくても同じように海外で参ってしまうケースがあるようです。なのでやはり、英語力かもしれません。生活の中で言葉が通じないのはストレスですからね。
ただ、英語ができない人が必ずしもストレスにつぶされるわけではないです。私のように「海外に来た」という感激が大きいのは、英語が話せない奥さんの方が多いように思います。元々英語が話せると、ショックも少ないけど感激も少ないようです。
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生活でも授業でも英語が大変
ーー Tonakaiさん自身は、イギリスでの生活で大変だったことはありますか?
私は英会話の苦手意識がすごく強いので、最初は牛乳を買いに行くだけでもヘトヘトでした。あとは、住まいを借りたり携帯や市民税、銀行口座のセットアップをしたり、最初が大変でしたね。英語力が英検2級レベルだったので…。でも、夫は帰国子女で英語でコミュニケーションを取ることに障害がなかったので、頼りきりでした。
ーー 英語というと、授業も大変でしたか?
はい。最初は聴き取れなくて授業を全て録音して家で聴いていましたね。早くて聴き取れないのでパソコン上で録音再生アプリを使って80%のスピードに落として聴いていました。でもスライドが配られるので、途中からは録音せずにスライドを見ながら授業を聴いています。
ーー イギリスへ行く前に何か対策などはされましたか?
「 edX 」や「 Coursera 」を使って英語で理系の授業を聴く練習を指定ました。週1回ネットで開講される講義で、コーセラ単位というのも取ることができるんですよ。
学位論文審査の厳しいイギリス
ーー 理系大学院留学、学位論文審査や実験について、日本との差はありますか?
基本的には日本もイギリスも一緒ですね。授業も卒論もあって、工学部の化学だと化学に使う統計を含むなど、カリキュラムもそっくりでした。日本の大学は西洋のカリキュラムを取り入れているんだなぁというのがよくわかりました。
ーー そうなんですね!逆に違うところはありますか?
私の大学では授業が全部必修なことですね。日本だと授業は選択で、取れなくても卒業までに数が足りれば大丈夫なんですけど、私の大学では1つでも落とすとアウトです。
ーー 厳しいですね。
あと、卒論はイギリスの方が厳しいです!日本だと、就職活動の時に、レベルの低い大学でトップの人より、レベルの高い大学での下から数えた方が早いような学生の方が有利だと思うんですね。でもイギリスでは出身大学によってせっかくの優秀な人が不当に低く評価されないように公正な成績をつけることに重きを置いています。
とにかく優秀な人は優を、できなかった人には不可を絶対評価で出します。ちなみに私の修士論文は指導教官と「第三者の先生」が半々で点を付けられます。「第三者の先生」はランダムに他の大学の先生が選ばれるので、日本の大学院のようにこちらから好きな先生を査定者に選ぶことはできません。
しかも、卒論を書いていく途中のフィードバックが少ないんですよ。特に文系だと提出までに3回しか指導教官から添削してもらえないらしいです。それ以上はカンニング扱いになるそうです。理系だと回数のリミットはないんですが、それでも出来上がりが全てですね。
日本だと出来上がりよりもその人がどれだけ伸びたか、を見てくれる場合が多いのですが、イギリスは「これはテストなんだ」という感覚なので、意欲があって毎日学校に通っていてもその提出物がある程度の水準に達していない人はダメですね。
充実した大学院留学のカギとは?
ーー どうやって大学を選ばれたんですか?
まずは夫の通うビジネススクールから選んだのですが、第1希望が今通っているロンドンビジネススクールで、それがダメだったらアメリカに行こうと思っていました。
ーー 情報収集など大変だと思うのですが、どうしてアメリカではなくイギリスにされたのですか?
キャンパス・ビジットというのがあって、実際に現地の大学に足を運んで見てきました。私も、夫が見に行く際に付いて行きました。授業に潜ってみることもできるんですよ。そこでアメリカにも行ったのですが、雰囲気がイギリスとアメリカで違いましたね。
アメリカの方が学生同士を競わせる雰囲気で、ディスカッションの授業などもすぐさま「あなたの意見は矛盾している」と反論をぶつけるようなアグレッシブな感じでした。夫はビジネススクールに行くための予備校にも通っていましたので、そのつてを頼って現地の大学院に1日ずつ授業のモグリをしましたね。
「絶対にここの大学」というのでなければ、留学先は大都市にした方がいいと思います。
ーー どうして大都市なんですか?
私のように「夫の留学に付いて行く」場合には、その場所で留学先を探すことになると思います。そんな時に田舎だと学校がの数が少ないので、どちらかの勉強したい分野を学べる大学はあっても、パートナーの学びたい分野はないかもしれないんですよ。特に理系では大学院は実験する場所なので、やりたい分野と少し違うだけで、自分のやりたいことはできなくなってしまうんです。
ーー そうなんですね。
はい。だから、興味のある分野にこだわりを持ってほしいですね。せっかく勉強をするのですから、自分の興味ある分野を学びたいですし。私の学んでいる分析化学が研究できる大学は、ロンドンの中でもバークベックと、ヒースロー空港のはずれにある大学にしかないんです。特に理系の場合、実験道具などの機械がないとできないことなので、その大学でしかできないことは多いです。
家族連れで留学を考えている方にメッセージ
ーー これから家族連れで留学する人に何かメッセージはありますか?
伴侶を連れていくと、良くも悪くも伴侶の人生も大きく変わることになります。特に、伴侶が平日どう過ごすか留学準備をする頃からよく家族で話し合って考えておいたり、現地の人のブログを眺めたりして情報を集めておくことはものすごく役に立ちます。
「先進国だからなんでも揃うだろうし、行ってから考えればいいよ」 「スカイプでいつでも日本と話せるからホームシックにならない」 とタカをくくって悲惨な結果になったケースもあります。 家族以外に話し相手がいないと女性は参ってしまう人が多いので、現地で日本人の友人をすぐに確保しましょう。
また、奥さんと引き離されて日本で寂しい思いをさせられている奥さんの家族には配慮しなくてはいけないと思います。当然ですが、留学生自身が留学のプランやこんな生活になるということを伝えて少しでも安心、納得してもらうことです。
長期の留学であれば最低1回は義両親に来てもらうか奥さんを一時帰国させた方がいいです。留学が終われば奥さんの実家にも、辛抱してもらったことへの感謝を伝えることです。 奥さんまで勉強やお稽古事をする必要は全くないけど、家族全員が健康で楽しく過ごせたかどうかが「やってよかった留学」に直結していると思いました。
編集部コメント
いかがでしたか?主婦業と両立しながら大学院留学をしているTonakaiさん。大学を卒業してすぐに進学するだけが留学のカタチではないのです。自分に合った留学のカタチを見つけて、興味のある分野にこだわりを持って、学校探しをしてみてください。
今回紹介したバークベック・カレッジの口コミ
名称 | Birkbeck, University of London(ロンドン大学バークベック校) |
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国・都市 | イギリス / イングランド / ロンドン |
学校形態 | 大学 大学院 |
住所 | Malet Street, Bloomsbury, London WC1E 7HX イギリス |
電話番号 | +44 20 7631 6000 |
公式サイト | http://www.bbk.ac.uk/ |
口コミサイト | https://ablogg.jp/school/11645/ |
インタビュアー
鈴木莉帆(すずき りほ)/ 早稲田大学2年 / アブログインターン生