【シニア留学体験記】71歳で初の単独海外!2週間のロンドン留学で得た気づきと180度変わった人生観

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「若い頃、留学してみたかった」「留学は若い人たちのためのもの」「語学や新しいことに挑戦するには遅すぎる」と思っていませんか?そんなことはありません!50歳60歳を過ぎてから留学する方は増えてきています。この記事では、71歳で初めて一人で海外渡航し、ロンドンで2週間の留学生活を送ったTao Kimikoさんの留学体験記をご紹介します。

71歳で留学しようと思った訳

ここ最近の留学の傾向として、親子留学やジュニア留学など、留学の低年齢化が進んでいるのは事実ですが、その一方で、仕事や子育てから手が離れた50代以上の方の、所謂「シニア留学」も増えてきています。
実際に、語学学校には「50歳以上の方向けコース」など、シニア世代を対象としたコースを設けているところも多いです。

71歳で初めて一人で海外渡航し、2週間のロンドン留学生活を体験したTao Kimikoさんにお話を伺いました。

▼Tao Kimikoさん・プロフィール

  1. Taoさん

    71歳(留学時)
    職業:保険コンサルティングアドバイザー
    留学先:イギリス・ロンドン
    留学期間:2週間
    留学時期:2025年9月
    滞在方法:ホームステイ
    語学学校: ECロンドン
      (2025年10月現在)

――Taoさんが留学しようと思った理由を教えてください。

Taoさん:70歳を過ぎ、「今までやりたいことはやってきたけれど、まだやっていないことはなかったかな?」とふと考えた時に、「まだ留学をしていない!」と思ったので、留学してみることにしました。やったことがないことをやってみよう、という軽い気持ちでした。

――年齢に関わらず、やったことがないことをやるのには、勇気がいりますよね。

Taoさん:そうですね。毎年海外には行っていますが、いつも誰かと一緒でした。さらにロンドンは旅行でも行ったことがなかったので、気軽に決めたこととはいえ、一人でロンドン留学に行くのはかなりのチャレンジでした。

――留学先の学校は、どのようにして決めたのですか?

Taoさん:YouTubeを色々見て決めました。普段、Chat GPTやGoogle Map、 YouTubeなどのAIやインターネットはあまり使わないのですが、留学では、これらを駆使して乗り切りました。

緊張のイギリス入国

――日本を出発する時は、どんなお気持ちでしたか?

Taoさん:一人で海外に行くことや留学は初めてなので、「きっとトラブルもあるだろう。でも、そのトラブルも楽しもう」という気持ちで出発しました。

――実際にイギリスに着いてすぐにストライキで交通機関が麻痺したり、トラブル続きだったそうですね。

Taoさん:そうなんです。まず、きちんと入国審査を突破してイギリスに入国できるか、ということすら、私にとっては挑戦でした。

――イギリスの入国には自動ゲートが導入されているので、入国審査官と英語で話す必要はありませんが、一方で、使ったことがない機器に戸惑う方が多いですね。

Taoさん:事前にYouTubeで自動ゲートでのイギリス入国方法について調べたのですが、分かりやすい動画を見つけることができず、不安の中、自動ゲートに向かいました。

――問題なく通れたのですか?

Taoさん:結論から言うと、通れました。でも、飛行機の中で知り合った日本人の男の子の助けが大きかったです。
私の隣の席にたまたま座っていた男の子で、フィリピンに留学経験があって、今度は半年のロンドン留学に行くところでした。入国が不安だったので、思い切って話しかけたら、飛行機を降りた後、自動ゲートまで一緒に行ってくれました。
その子は一発ですぐに通れたのですが、私は1回目は通れず…。別のゲートで試してみたら通れました。

――初めての場所で誰かと一緒だと心強い気持ちになれますよね。もしかしたら、相手の男の子も同じ気持ちだったのかもしれませんね。

Taoさん:私たちの飛行機は1時間程遅れてヒースローに到着したのですが、ちょうどゲートを出たところで、空港送迎のドライバーから電話が掛かってきました。私は、「飛行機が遅れて今着いたから、もう少し待って」と伝えたかったのですが、英語で上手く伝えることができずにいると、その男の子が電話を代わって状況を英語で説明し、待ち合わせ場所の確認までしてくれました。

――それは助けられましたね。

Taoさん:実はそれで終わりではなく、留学2週目に、その男の子から連絡があり、一緒にナショナル・ギャラリーに行ったんですよ。世界中の名画が展示されている素晴らしい場所に誘ってもらえて、良い思い出になりました。

――日本にいたら話すこともない人と知り合って仲良くなるというのは、留学ならではですね。

▼飛行機の中で出会った学生

到着後すぐにストライキ発生!3時間掛かって学校到着

Taoさん撮影│ECロンドン入口

――Taoさんがロンドンに着いた日から交通機関のストライキが始まり、1週間続いたそうですが、学校初日は、どのようにして登校したのですか?

Taoさん:ホームステイ先から学校まで自分で行かなければならないので、事前にGoogleで学校への行き方を調べて、当初は地下鉄を乗り継いで学校へ向かう予定でした。それをホストマザーに話したところ、途中まで地下鉄で行って、その後はバスに乗り換えた方が学校のすぐ近くまで行けるとアドバイスをもらいました。
でもバスに乗るのは不安だったので、「バスには絶対乗らない」と言ったのですが、「地元の人にしか分からない行き方もある」と言われ、バスに乗ってみることにした。

――外国人にとって、異国の地でのバスはハードルが高いですよね。それでも、ホストファミリーの提案を頑なに拒否するのではなく、まずは受け入れてやってみるという姿勢が素晴らしいです。

Taoさん:ホストマザーに、地下鉄を下りたら、どこのバス停から乗ればいいのか聞いたら、「その時、近くにいる人に聞いたらいい」と言われれました(笑)

――欧米の人らしい、アバウトな回答ですね。それで、当日は問題なくバスに乗れたのでしょうか?

Taoさん:最終的にはバスに乗って学校に行くことができましたが、ストライキの影響もあり、家から学校に着くまで3時間も掛かりました。

――3時間ですか!

Taoさん:ホストマザーのアドバイス通り、地下鉄を下りてから、近くにいた人や駅員さんに何度も聞き、なんとかバス停には辿り着けました。でも、ストライキの影響で地下鉄の一部が運休し、たくさんの人が代わりにバスを利用したため、私が乗ろうとしていたバスが来ても満員で乗れずに見送る…というのを繰り返しました。Uberでタクシーも調べてみたのですが、やはりストライキの影響でたくさんの人がタクシーを利用していたため、料金が通常の3~4倍になっていた上、予約も取れない状態でした。

――それは大変でしたね。

Taoさん:満車のバスをいくつも見送って、やっとバスに乗れた後もなかなか大変でした。次の停留所の案内表示もなく、車内アナウンスも何を言っているのか聞き取れなかったので、隣にいた親子に聞きました。そしたら偶然、その親子も私と同じバス停で降りる予定で、「そこで私達も降りるから、一緒に行きましょう」と言ってくれて、目的のバス停で下りることができました。

▼降りるバス停を教えてくれた親子

――困ったことがあったら人に聞くというのは、大人になるとなかなか難しいですよね。

Taoさん:このバスで出会った親子も、とても素敵な方々だったんですよ。目的のバス停に着くまで話をしていたのですが、私が「71歳で一人でロンドン留学にチャレンジしている」と話したら、とても感激してくれて、一緒に写真まで撮りました。さらに、話が聞こえていた周りの人たちまで「素晴らしい」と言ってくれて、盛り上がりました。

――Taoさんの人間力の賜物ですね。

Taoさん:バスを降りてからも、学校がどこにあるのか分からなかったので、さらに人に聞いて、ようやく学校に到着しました。 家を出てから学校に到着するまでに、合計6人の人に尋ねました。着いた時には、もうオリエンテーションは終わっていたので、私だけ一人で必要な手続きを行いました。

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クラスメイトとの交流、放課後観光を満喫した2週目

――クラスメイトは、どんな方達でしたか?

Taoさん:クラスメイトは最初は全部で8人いました。サウジアラビア人やトルコ人、ブラジル人など出身地は様々で、日本人は私一人でした。ストの影響もあり、日に日に生徒の数が減って、私一人で授業を受けた日もありました。
私は色々な人と話したかったので、いつも違う人をランチに誘って、近くのレストランに行きました。学校が街中にあったので、近くに色々なレストランがありました。

▼Taoさんの1日のスケジュール

6:30  朝食
7:00  家を出る
8:00  学校が開くまで、近くのスタバで予習
8:30~12:15 授業
授業後  誰かを誘ってランチ→ショッピング・観光
17:00  帰宅→昼寝/休憩
20:00  ホストマザー帰宅&夕食→シャワー→翌日のシミュレーション

Taoさん:1週目はずっと交通機関のストが続いていて思うように移動できなかったので、ほぼホームステイと学校の往復で終わりました。それでも、17時頃に帰宅すると、緊張感と疲労感がどっと押し寄せて、ホストマザーが帰って来る20時頃まで遅めの昼寝をしていました。
2週目からは、放課後に観光をしたりショッピングをしたり、色々行動しました。

▼ロンドン・ロータリークラブ訪問の様子

Taoさん:私は日本でロータリークラブに入っているのですが、ロンドンでも、ロータリークラブを探して、飛び込みで訪問しました。

――ロンドンのロータリークラブには誰もお知り合いはいないのですよね?すごい行動力です。

Taoさん:はい、知り合いはいません。ロータリークラブにはいろいろな国籍の人が40人ほどいて、最初は隅の方に一人で座っていたら、会長から「スピーチをしてください」と言われたので、何も用意していない中で、英語でスピーチをしました。
受付の方には「英語はできません」と伝えていたのですが、スピーチ後、「英語できるじゃない」と言われました。でもその後にされた英語の質問はさっぱり分からなかったです(笑)

――それでも、ぶっつけ本番で英語のスピーチができるのは、すごいです。

▼ロンドンで観たレ・ミゼラブルの舞台

Taoさん:舞台も2つ観に行きました。
最初に観たレ・ミゼラブルは、日本からチケットを予約して行きました。その時に、マイケル・ジャクソンの舞台もやっていることを知って、その場でチケットを購入して、後日観に行きました。
バッキンガム宮殿やビッグベンなど、ロンドンの名所にも、もちろん行きました。

2週間の留学で得たもの

――2週間の留学で、英語力に変化はありましたか?

Taoさん:英語のリスニング力は少し良くなったと思います。なんとなく、こんなことを言っているのかな?と分かるようになりました。
学校も滞在先も日本人がまったくいない環境だったので、より英語が鍛えられました。
分からないことやトラブルがたくさんあり、街中で英語で聞かなくてはいけないシーンが多かったので、そういう時に使う英語は聞き取れるようになりました。
外国人に英語で話しかけることへの抵抗もなくなりました。

――英語力の他に、2週間の留学で得たもの、気づいたことはありますか?

Taoさん:幅広い年齢層の人と知り合いました。留学生活の中で、イギリスの一般の人や日常を見ることができたことにも大きな発見がありました。皆が凛としていて品があるという印象を受けました。もう一度ロンドンに行きたいと思えるくらい、素敵な2週間でした。今なら、「一人で行ける」と思えます。

――観光では垣間見ることのできない、現地の人たちのありのままの日常に触れる機会があるのは、留学の魅力の一つですね。

Taoさん:2週間も仕事や家族から離れたことは初めてだったので、自分と向き合う時間を持つことで得た気づきもありました。
今までは、自分のことは二の次で、目の前のことや家族を優先してきましたが、もっと自分の気持ちを優先してもいいんだ、と思えるようになりました。

――その気づきを経て、帰国後の生活に変化はありましたか?

Taoさん:日本に帰って来てからは、自分を優先に考えるために、時間を大切にするようになりました。
仕事で接客する際も、各お客さんとの一期一会を意識するようになったし、犬の散歩をするにも、この時間を大切にしようと思えるようになりました。
日々の生活内容は留学前と同じですが、一つ一つのことを大切に、丁寧に生きることを心掛けるようになったように思います。

――留学を通して、様々な新しい経験をしただけでなく、たくさんの気づきがあったのですね。

Taoさん:留学で、人生観が180度変わりました。
「自分を大切にする」と考えられるようになったことが、留学して得た一番の気づきです。

これから留学する方へアドバイス

Taoさん撮影│ホームステイ先の様子

――留学中は、ストライキや道に迷うなどはあったものの、盗難・紛失には遭わなかったそうですね。盗難・紛失などのトラブルに巻き込まれないように、心掛けていたことはありますか?

Taoさん:準備と下調べを入念にしました。
スリ対策についてインターネットで調べ、斜め掛けのシンプルなカバンや貴重品を携帯するポーチなど、渡航前に防犯グッズをたくさん買って備えました。
それでも、留学最終日の空港で、カバンを一つ置き忘れそうになりました(苦笑)

――それは、危なかったですね。

Taoさん:チェックインカウンターがどこか空港スタッフに聞いた時に、カバンを一つ置き忘れてしまったんです。
そのスタッフは不親切な方で大雑把にしかカウンターの場所を教えてくれず、その後、また別のスタッフに聞かなければならなかったのですが、結果的に、最初のスタッフの教え方が不親切だったことが、今回は功を奏しました。

――どういうことですか?

Taoさん:最初から丁寧に教えてもらえて、正しいチェックインカウンターに案内されていたら、カバンを一つ置き忘れたことに気づく前にチェックインを終え、搭乗口まで行っていたと思うんです。そしたら、もうチェックインカウンターがあるロビーには戻ってこられないので、カバンはそこに置き忘れたままでした。
嫌なことがあっても、すぐに悪いことと捉えるのは良くないと考えられるようになったのも、留学をしてからです。

――なるほど。おっしゃる通り、予期していなかったことが起こるのが留学です。それを、「日本だったらこんなことは起きないのに」「最悪」とネガティブにとらえるのではなく、Taoさんのように、ポジティブに捉えたり、トラブルそのものを楽しむことが大切ですね。

Taoさん:今回の留学が100%無事にとても安全に過ごせて、とても貴重な体験ができたのは、私の人生の指針である『愛と勇気と感謝と笑顔』のなせる技だったと思います。
AIはただのツールで、人との関わりの中で素晴らしい体験をさせていただけたと、今、つくづく思います。

インタビューを終えて

Taoさんへのインタビューを通して一番感じたのは、”とにかく若々しくてアクティブ”ということでした。見た目はもちろんですが、その行動力は、とても71歳には思えませんでした。
帰国後は時差ぼけと疲労から、日常に戻れるまでに3週間ほど掛かったというエピソードを聞いてようやく、Taoさんが71歳だということを思い出したほどです。

留学中の写真もたくさん見せてもらったのですが(2週間で350枚以上の写真を撮ったそうです!)、ロンドンで購入したファッションに身を包み、ショッピングから人との出会い、トラブルまで、留学中のすべてを楽しんでいる様子がひしひしと伝わってきました。

今は、来年6月に海外で開催される仕事の国際会議に向けて英語を引き続き勉強中だそうです。
また、プライベートで続けているオペラの講演が12月に迫っているので、その準備にも追われているそうです。

「Taoさんがアクティブな性格だから留学ができた」というのは事実ですが、「留学したからこそ、益々アクティブになった」というのもまた事実ではないかと思います。

留学に年齢は関係なく、どんな方でも留学を楽しみ、新しい発見ができる可能性があるということに、改めて気づかされたインタビューでした。

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