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ドイツ在住日本人が語る!ドイツ移民問題に関する最新事情とは?

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「Wir schaffen das!(筆者訳:我々にはそれができる!)」というスローガンのもと、2015年、メルケル首相は100万人にも及ぶ大量の移民の受け入れを決断しました。それから3年経った現在のドイツはどうなったのでしょうか。この3年間ドイツ各地で生活した筆者が現地メディアから得た情報と経験を元に、この移民政策の原因や背景、その経過や現在にわたるドイツ社会への影響について語ります。

はじめに

ここで述べるのはあくまで個人的な観点や個人的な経験、または各種メディアから集めた情報に基づいたものであり、オフィシャルなものではございません。あくまでドイツに長年在住するいち日本人が見たドイツの移民問題に関するまとめです。

なぜドイツは移民を積極的に受け入れをするのか?

ドイツが積極的に移民を受け入れを行う背景のひとつに、第二次世界大戦後の出来事があります。

第二次世界大戦後、敗戦したドイツに対して連合軍はドイツの国を東と西に分けて管理することになりました。当時の東ドイツや、それよりさらに東の地域はソビエト連邦の管轄地となることに。

当時、プロイセン地域やそれより東の地域には数100万に及ぶドイツ人が住んでいましたが、ソビエト連邦に所属する国々がその地域を管轄地としたために、その地域に住んでいたドイツ人たちは住み慣れた土地から追い出されることになったのです。結果、数100万人にも及ぶドイツ人難民が中東やアメリカへ移住することになりました。

このような背景があったため、かつてドイツ人移民を受け入れた中東が戦火に苦しめられている現状を見て、今度は我々が手を差し伸べるべきだとメルケル首相がメディアで語っていました。

2015年から現在にわたる移民数の推移

2015年にはシリアでの内戦の影響などで世界的な移民問題が発生しました。そのとき、約100万人近い移民がドイツにたどり着いたと言われています。先日筆者が見たドイツ国内での報道によると、2017年にドイツで受け入れた移民の数は約20万人弱とのことでしたので、移民問題から3年、ドイツに来る移民の数は明らかに減って来ていることは確かです。

移民の増加に伴う社会問題

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多くの移民を受け入れたことで社会問題も発生しています。実際にどのようなことが起こっているのでしょうか。

経済難民の流入と違法な仲介役による悪徳ビジネスの暗躍

非常に残念な話ですが、ドイツに渡った難民の中の一部は経済難民であることは否定できません。経済難民とは、戦争や政治的な迫害ではなく、ただ生活が経済的に困難なために自国から離れ先進国へ渡る人のことです。

つまり、彼らは家が焼けたわけでも周りが戦地になったわけでもなく、以前ほどの繁栄が期待できないことから、土地や財産を売り出し違法の仲介役に多額な報酬を渡して、ヨットのような小舟でヨーロッパに渡ってきます。

このような中東の人々をヨーロッパへ送り出す違法な仲介役が多数存在しているのは有名な話ですが、彼らはデマで現地の人を惑わします。

例えばドイツに行けば戸建てがもらえる、ドイツで在留許可が下りなくてもドイツ政府がカナダへ送ってカナダの永住許可を仲介して出してくれる、など、おいしい噂話を作り、数万ユーロ(日本円にすると数百万円)を払わせます。

経済難民も本当の難民も問わず、初期の移民のほとんどは、このような違法の仲介役を通じてヨーロッパに渡ってきました。

移民による犯罪やテロ行為の増加

これも残念な話ですが、一部の犯罪事件は「難民」として入国した人が起こしたのは紛れもない事実です。移民問題が発生した年、筆者が以前通っていた大学のキャンパスの近くでも、移民が起こした強姦事件が2件も発生しました。

また、本当の難民の中にテロリストが混ざり込んでドイツへ渡ってくるケースも少なくありません。2016年12月のベルリンで起きたクリスマスマーケットでのテロ事件を起こしたのは、まさに難民として入国した人による犯行でした。

2016年以降、ドイツ各地で発生したテロ事件や公表されたテロ未遂事件の多くが難民と共に入国した人によるものでした。

社会福祉及び補助金の悪用

難民として認定された人々は政府からさまざまな補助金を受け取ることができます。一部の人はこの制度を使いドイツ政府から多額なお金を騙し取る犯罪を起こすことがあります。

以前ドイツ国内で話題になったひとつの事件を挙げると、とある移民が偽りの名前や身分証明を使い、数ヶ所の市役所で補助金を申請し多額なお金を騙し取る事件が発生しました。

また、難民として認定された人がドイツ国内で民間の物件を借りるとき、ドイツ政府から補助金を受け取ることができる政策があります。これを使って無駄な贅沢をする人もいました。

これは筆者が実際に経験したことですが、難民として移住してきた女性が、どうせドイツ政府のお金だからと一人暮らしの部屋としては贅沢すぎる60平米以上の物件を借り、その物件に付属している家具をすべてブランド品に変えることをしていました。

これらは極端な悪い例ばかりかもしれませんが、このようなことが起きていることも事実です。

本当の移民像

もちろん上記に挙げたような悪い人たちばかりでなく、本当に困窮して難民となってしまった人たちも多くいます。筆者がかつて通っていた語学クラスでは、難民として認定されたシリア出身の若い男性がいました。筆者はこの人と難民問題について話したことがあります。

まず、この男性は本当に戦火から逃れるためにドイツに渡った人でした。故郷で一緒に生活した家族は全員空爆で亡くなり、仕方なく独り身でドイツに逃げてきたのです。この人は自分の故郷で博士課程を修了し薬剤師として働いたこともあります。

ここでひとつドイツ政府が掲げる移民像について話すと、移民の受け入れを積極的に始めた当初、戦争に苦しめられる人々を助けるためだけではなく、中東地域の高度の人材を吸収したいという目的もメルケル首相は持っていました。

前述したこの男性は、まさにメルケル首相が望んでいた移民像に当てはまるそのひとりですが、実際に彼がドイツに来てからの境遇を聞いてみると、仕事チャンスの少ない小さな町に配属されたため、インターンシップどころか、働き口見つけるのも難航しているという状況を語ってくれました。

しかし、政府はこんな状況に対して補助金を出す以外、斡旋などの助けはあまりしてくれないと語ってくれました。

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根本的な原因とは?

それでは、一体どうしてこんなに多くの問題が起きるのでしょうか。

まず最初に挙げられるのが、難民認定が極めて雑ということです。筆者が見たニュースによると、テロリストは難民に紛れ込みヨーロッパに潜入するのは紛れもない事実であるのにも関わらず、移民局での審査の際、申請人はテロ組織との関わりがあったかどうかという調査は一切せずに、書類審査などで通ることが多いそうです。

また、難民認定の審査が雑であることが原因で、前述したように身分証明を変えて補助金を騙し取るという事件も発生するようになりました。それと同時に、年齢を偽って未成年を装い、犯罪しても刑罰から逃れようとするケースも一時的に多発しました。

さらに、ドイツの難民認定に対する対応はEU域内の難民申請ルールである ダブリン規約 に違反しているのではないか、という批判もあります。

ダブリン規約では、難民は最初に入国した国で難民申請をしなくてはならないことが決められています。しかし、ドイツ政府のオープンな態度から、最初に入国した国を問わず申請はすべて受け入れるという事態になっていました。

ドイツ政府は、どんな申請も受け入れる一方で難民が中東地方、あるいは南ヨーロッパからドイツへ渡る交通手段などは手配しませんでした。結果、大量の難民の殆どが違法な手段を使って入国することになる結果になりました。

そもそもドイツ政府が事前の移民認定という手段を取らなかったことが、移民政策において一番大きな失敗ではないかという批判もあります。言い換えれば、移民を受け入れたければ、ドイツやEU諸国の政府はヨーロッパと中東地域との間に審査所を設けるべきだということです。

ドイツの隣国であるオーストリアにて2017年の選挙を勝ち取って首相に就任したセバスチャン・クルツ氏は、移民が入国する前に審査を始め、本当の難民をきちんと助け、難民を装った違法な移民は許さないという厳しい規制を伴った移民政策を打ち出し人気を獲得しました。

難民受け入れに伴う政治問題

2015年当時、移民を受け入れると同時に受け入れる数に上限を設けないという政策をメルケル首相は打ち出しました。しかし、ドイツ国内の数多くの政党は、この政策についてさまざまな反論を挙げました。

最初は人道的な理由からこのような政策を支持する人は少なくありませんが、移民による犯罪が次々と起きるとともに、この政策は民衆から徐々に信頼を失っていきました。

そんな中、移民政策に明らかに異論を挙げた極右政党であるAfD(Alternative fuer Detuschland)が大衆から支持を得るようになり、2017年に行われたドイツ国内の選挙では13%の票を獲得し94議席を確保。戦後初めて右の政党が国会に入ることになりました。

さらに、メルケル首相が所属した政党であるCDU(Christlich Demokratische Union)と、連立与党であるCSU(Christlich Soziale Union)やSPD(Sozialdemokratische Partei Deutschland)の間でも、移民受け入れの数の上限などの政策について意見の分裂や対立が起きています。

それが原因のひとつで、2017年の9月の選挙から現時点(2018年1月)にわたり、ドイツ国内ではまだ組閣が難航しているという、歴史の中でもまれに見る政治的な難題に直面しています。

ちなみに、最初は絶対に移民の数の上限を設けないと強く主張していたメルケル首相ですが、選挙や組閣の話し合いでも、やっと妥協かという姿勢で、移民の数の上限として毎年20万人までというラインを設けることにしました。

最後に

以上、現時点(2018年1月)のドイツ移民問題に関するまとめでした。

ここまでお読みになり、ドイツに対して不安になった人もいるかもしれません。しかし、ここで書いてあるのはあくまで一部の例と一時的のニュースや事件であり、2017年以降からは、そう頻繁に起こることはありません。

確かに、難民による犯罪やテロ事件が起きてからドイツ国内の治安は悪化している傾向になりつつあります。特に2017年からは、2016年のベルリンテロ事件の影響も受け、移民政策も厳しくなったとともに、ドイツ国内での犯罪事件も明らかに少なくなってきたように見えます。

もしそれでも不安であれば、長年ドイツで生活してきた筆者のアドバイスをするならば、これから留学やワーキングホリデー、あるいは生活や出張などでドイツへ渡る予定の方は、まずドイツに来てから、周りの先輩や地元の人に、その地域の治安の悪い所をまず確認してみてください。

それと、林のようなところに決して一人で近づかないようにして下さい。

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