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ドイツ語能力を証明するには?ドイツで有名な3つのドイツ語検定

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イギリスのIELTS(International English Language Testing System)やアメリカのTOEFL(Test of English as a Foreign Language)など、英語力を証明するための語学検定は数多く設けられていますが、ドイツでもドイツ語能力を証明するための語学検定があります。今回はその中の最も認知度が高く、ドイツで有名な検定を3つご紹介します。

1.DSH(Deutsche Sprachpruefung für den Hochschulzugang)

DSH(Deutsche Sprachpruefung für den Hochschulzugang)とは、直訳すると「大学入学するためのドイツ語語学試験」という意味になります。この試験は、ドイツ国内の各大学で行われております。残念ながら、まだ日本では受験することは不可能です。

この試験の成績はドイツ国内の大学の間で適用することができます。つまり、ひとつの大学でこの試験に受かったら、別の大学でも認定されます。

DSHは、読解、聴解と作文の3つの筆記試験と、口頭試験の2部から構成されております。すべてが記述式で選択式はほとんどありません。筆記試験が合格した受験者のみ口頭試験を受けることができます。筆記及び口頭の試験が全て受かった場合のみ合格だとされています。

合格ラインとしては、低い順からDSH1〜3の3つに分かれています。得点を割り算にして解答得点率を出し、そこで合格ラインが引かれます。

DSH1は、一応合格だとされるが、大学ではあまり認定されない成績です。DSH2は、合格ラインだとされていますが、解答得点率の基準としては67%〜82%までとされています。この成績を取っていれば、すべての大学でほとんどの学部に入学基準として認定されます。

DSH3は、少なくとも解答得点率が82%以上でなければいけない、最高合格ラインだとされています。DSH3に合格すればすべての学部に認定され、医学部などの超難関学部にも入学することもできます。

DSHの筆記試験は、3つの部分から構成されていますが、合格ラインとは、3つの部分の総合点数で計算されています。口頭試験は試験官がその場で発音や言葉遣いなどの表現力を判断して、合格ラインを出しています。

ただし、最終成績は筆記と口頭の中で低い方を取るというやや厳しいルールになっています。例えば筆記試験ではDSH3を取ったものの、口頭試験ではDSH1しか取れない場合、DSH1としか認定できなくなります。

筆者はこのDSHを受けて大学院に入学しましたが、個人の勉強体験談としては、この試験とは、ただの大学入学試験のような退屈なものではありません。この試験には、社会学や生物学、時事問題から環境保護など、豊富な話題があります。

なので、入学するためではなく、単なるドイツ語の語学としても、かなりやりがいのある勉強だと思います。

2.TEST DaF(Test Deutsch als Fremdsprache)

ドイツ語で直訳すると「外国語としてのドイツ語テスト」で、日本語では「テストダフ」だと呼ばれています。TEST DaFは世界で最も知名度の高いドイツ語の語学試験のひとつで、世界中80ヵ国で受験することができます。日本でも年間数回に渡ってこの試験が行われています。

この試験も、筆記(読解、聴解と作文)及び口頭の二部から構成されていますが、DSHとは違って、受験者はこの4つの試験を一気に受けることになります。また、DSHがほとんど記述式に対して、TEST DaFでは選択式と記述式が両方存在しています。

口頭試験は試験官との面接式ではなく、受験生が機械で録音して、試験官がより客観的に受験生のスピーキングを判断したり、学術的な長文を一回のみで聞き取って聴解問題を解くなどの特徴もあり、DSH試験より難しい試験だと言われています。

また、TestDaFの合否判定はDSHよりは厳しいものになっています。DSHでは、総合点数で得点率を計算するのに対して、TestDaFでは、4つの試験それぞれの得点率を計算し、ひとつの試験でも合格ラインに達成できない場合は、不合格になります。

TestDaFでは、合格ラインはTND3〜5の三段階の評価に分かれています。ほとんどの大学の入学基準としては、TND4が必要だとされています。

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3.ゲーテ・インスティトゥート(Goethe-Institut)のドイツ語検定試験(C2)

ゲーテ・インスティトゥートとは、ドイツ政府によって設立された公的な国際文化交流機関で、世界92ヵ国にあり、日本にも東京・大阪・京都にあります。そんなゲーテ・インスティトゥートが主催するドイツ語検定試験があります。

通称「C2」と呼ばれるこの試験はゲーテ・インスティトゥートでしか受けることができません。この試験に受かると、ドイツ語能力はほぼ母国語と同水準だと証明することができます。まさにドイツ語検定試験の最高峰だと言っても過言ではありません。

この試験でも、筆記(読解、聴解、作文)とスピーキングがテストされます。しかし、内容的にも、合格基準も、前のふたつの試験よりはるかに難しいものになっています。この試験を合格するには、ドイツ語で交流する際、些細なニュアンスが伝わることや理解することができるかどうかという、非常に高いドイツ語能力が問われています。

さらに、どんな状況に置かれてもドイツ語を聞いた際に即座に理解できることや、ドイツ語でうまく表現を構成できるかどうかという、ドイツ語の実力性もこの試験ではかなりテストされます。

筆者はドイツでたまたまこのC2試験が受かった留学生と知り合いました。この留学生は、DSHとTestDaFとC2の3つの試験を全て受けて合格したという経験を持っています。しかし、この学生はDSH試験の聴解で95%、TestDaFの口頭で満点という成績を出したものの、ゲーテ・インスティトゥートのC2はやはり一番難しくて、合格するのに精一杯だったと言っていました。

さらに、話によれば、C2の聴解試験では、DSHとTestDaFと比べてかなり速いスピードで、音声の聞き取りだけでほぼ一時間ほどになっていたと言われています。

他にも知り合いの留学生の間では、みんなこのC2の試験を知っているものの、かなりの難関で、ドイツ語専攻の留学生でさえチャンレンジすることができなかったとのこと。この試験はドイツ語を勉強する人にとって、まさにヒマラヤの頂点のような伝説の試験とも言えます。

ですが、もしドイツ語をさらに勉強したいのなら、この試験を試しに受けてみるのも、いいモチベーションになりますね。

番外編:日本のドイツ語検定(独検)

日本では、ドイツ語能力を証明するために、「ドイツ語検定(通称:独検)」という試験が毎年行われています。筆者は日本の独検とドイツでのドイツ語試験の2つの受験経験を持っています。日本で行われる試験はどちらかというと、文法や文章構造に重点を置くのが多いですが、ドイツでは逆になっています。

ドイツのドイツ語検定試験といえば、読解、聴解、作文及び口頭の4つの部分から受験者の能力をテストしています。つまり、文法など原則的なものを暗記するより、この言語を使った表現力、理解力や実用的な能力がテストされるわけです。

最後に

いかがでしたか?ドイツ語を証明するための検定は他にもいろいろありますが、ここではドイツの大学ではかなり知名度の高い3つの試験を検定しました。難易度から言うと、DSH試験<TestDaF<C2になります。ですが、たとえドイツ語力がまだまだ初心者でも、これらの試験をクリアするのは決して夢ではありません。

筆者の体験からすると、この中でしたらDSHに合格するのが一番簡単です。目安としては、初心者から勉強をスタートして合格するまでには一年くらいでしょうか。また、ドイツ国内でも日本国内でも、これらの試験の準備のための語学コースがたくさんあります。

せっかくドイツ語を勉強されたのでしたら、このような試験を受けてみて、自信をもって自分の実力を世界に証明しましょう。

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  • まとめ
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