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ネイティブ英文を書く秘訣は「シンデレラ実験」にあり!日本人がうまく英文を書くためのコツとは?

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海外留学を成功させるために、まずスピーキングスキルを向上せることが大事と言われていますが、次に大事なのはライティングのスキルであると筆者は考えています。特にアメリカの大学では、出題されたテーマに沿って小論文を書くという課題(英語で、ペーパー、もしくはエッセイ )が、課題として頻繁に出されるのが特徴的です。今回は、シンデレラ実験という有名な文章実験の結果をもとに、日本人がよりネイティブに近い英語の文章を書くにはどうしたら良いかをご紹介したいと思います。

シンデレラ実験とは?

シンデレラ実験とは、1980年代に米プリンストン大学の名誉教授で言語学者の牧野成一氏によって実施された文章実験です。内容は、大人の日本語母語話者と大人の英語母語話者を対象に、幼い頃の記憶だけを頼りにシンデレラの内容を母語で書かせるというものです。

紹介する前に、まずこちらの日本語母語話者の被験者によって書かれた実際の文章をご覧ください。

「シンデレラは美しい、気立てのやさしい少女です。けれども幸福ではありません。なぜならシンデレラの母は継母で、ことごとに彼女につらくあたるからです。継母が自分の子供ばかりを可愛がって 継子をいじめるというのは一種の偏見にすぎませんが、それはこの際どうでもよいことです。とにかく、シンデレラは、いつもボロを着せられ、つらい仕事にこき使われていました。」

時制のシフトに目を向ける

みなさんは上の日本語での例文を読んで、時制(現在形、過去形など)が文の中で自然とシフトしていることに気づかれましたか。文章の最初の方でシンデレラの生い立ちを紹介しているところでは、「〜です。〜ありません。」のように現在形が使われていますが、最後の一文で「〜ていました。」といったように文が突然過去形にシフトしていることがわかります。

この時制のシフトというのは日本語で文を書いた時に起こる特有の現象で、面白いことに、英語の母語話者が書いた英語版のシンデレラの話を読んでみると、最初から最後まで全て過去形が使われていて、誰一人として時制をシフトさせていなかったということがわかりました。

つまり、英語で文を書くとき、時制 (Tense) を最初から最後まで一貫させ、シフトさせないということがよりネイティブに近い文を書くためのコツにつながるということになります。

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受け身文をなるべく使わない

次に大事なのが、日本語の文章で頻繁に使われる「受け身文」を英文ではなるべく避けて使うという点です。先ほどの例文の中にも受け身文がありましたね。

「とにかく、シンデレラは、いつもボロを着せられ、つらい仕事にこき使われていました。」

英語にももちろん受け身文があります が、上の例文をそのまま英語の受け身文になおして書いた場合、ネイティブの耳にはものすごく不自然に聞こえてしまいます。英語の文章の中で受け身文を書きたいときは、主語をシフトさせることがコツになります。つまり、この例文の場合だと、シンデレラではなく、継母を主語にした文に直したほう が、より自然でネイティブに近い英語の文章に聞こえるということです。

まとめ

この実験を通して、外国語で文章を書くとき、どうしても無意識のうちに母語の影響が強く出てしまうことがお 分かりいただけたかと思います。よりネイティブに近い英語の文章を書くためには、正しい英語の文法を学び、英単語の数を増やすといった、「テクニカル」な側面以外にも 、こういった日本語と英語の文章を書く際の根本的な違いを知ることも同じように大事であると考えます。次回みなさんが英語で小論文を書く機会などがあった際には、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

参照:牧野成一1983「物語の文章における時制の転換」
『月刊言語』 東京:大修館、 pp. 109–117

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