スポンサーリンク
遅延やスルーは当たり前?トロントの公共交通機関「TTC」あるある10選
トロント市内を縦断する交通機関「Toronto Transit Commission」略して「TTC」。自家用車に頼らない生活を送る人には必要不可欠になるこのTTC。TTCを利用しているとよく出会う、日本では考えられないような習慣(?)を10個ピックアップしてみました。
TTCとは?
トロント市内で運行されているトロント市管轄の公共交通機関。バス、地下鉄、ストリートカー(路面電車)をさまざまなルートで運行しています。乗車賃は、日本のように移動距離によって課金されるのではなく、一律料金で市内のほぼ全域を横断することができます。しかし、日本と違う点はそれだけではありません。他にどのような点が違うのでしょうか?TTCならではの、よくある10つのシーンを見てみましょう。
1.時刻通りに来ない
バスや地下鉄が時刻通りに来ないのは、もはやトロント市民の間では常識の範疇。時刻表はあっても目安にしかならない上、ある時間帯からは「Frequent Service(FS)」と表示されていて、正確な時刻すらない。このFS時間帯は、「だいたい10分から15分の間に1本来ます」というおおまかさ。最近では、「NextBus」などのケータイアプリを使って、リアルタイムでバスの到着時間を教えてくれるサービスがあるため、住民はそちらに乗り換えつつある。
2.バスが一気に3本到着する
15分間隔で来るはずのバスが30分経っても来ないと思っていたら、一気に3本も到着した、なんていうのはよくある話。バスがルート上のどこかで遅れを取っている間に次のバスが追いついてしまったり、乗客から「バスが時間通りに来ない」という苦情を受けて管制局が余分にバスを走らせたりすると、このような結果になる。「そんなにいっぺんに来なくても!」と思うが、利用客はこの状況に慣れているのでツッコミすらしない。
3.バスの運行途中に寄り道をする
長時間、いくつものルートを運転し続けているバスの運転手達。ときどき、我慢の限界なのか、思い立っただけなのか、バスを道の脇に停めてバスを降りたかと思えば、向かうその先はカフェ。トイレが本来の目的かもしれないが、帰って来ると片手にコーヒーが。眠気やトイレで運転に支障が出てはいけないと思っての行動だと思われるが、この間、乗客は静かに文句もなく運転手が帰ってくるのを待つのみ。
4.目的地まで辿り着かない
バスや地下鉄に乗り遅れないよう必死で走って、間に合って、さぁ、これで一安心!とはいかないのがTTC。必ずしも乗車中の車両が目的地に辿り着くとは限らない。バスであれば乗車中、知らない間に突然「Short Turn(目的地前の地点で折り返し)」に切り替わり、ルートの途中で乗り換えを余儀なくされたり、地下鉄であれば不慮の事故や緊急警報が作動したりなどで乗り換えを余儀なくされたりする。バスを乗り換えることになった際には「transfer(乗り換えチケット)」を忘れずにもらうと良い。
5.バスにスルーされる
心待ちにしていたバスが、エクスプレスバス(区間快速)でもないのに、なぜか目の前を通り過ぎて行ってしまう・・・。考えただけでも悲しいが、あるのです。特にラッシュアワー時など乗客が多くバスの許容量を超えてしまった場合は満員のバスが目の前を空しく通り過ぎていく他、満員でないにも関わらず運転手がうっかりして停車するのを忘れて通り過ぎていくことも。バス停で待っているからと言って油断は禁物。バスに乗る際は「乗せて下さい」アピールをして運転手の気を引くことが防止につながる。
スポンサーリンク
6.停車駅を忘れられる
待っていたバスに拾ってもらえないことがあるかと思いきや、今度は降りたいバス停を忘れられることもある。乗客は降りたいバス停が近づくと各々ボタンなどを押して「Stop Request(下車願い)」を運転手に送るのだが、時に運転手が物思いにふけっているのか疲れているのか、降りるバス停を過ぎてしまうことも。そんな時は、泣き寝入りせず、きちんとバスの運転手に「I wanted to get off at that stop.(あそこで降りたかったんですけど)」と主張すること。
そうすると気づいた時点で停まってくれる。「You didn’t stop at my stop! (あなた、私のバス停で停まらなかったでしょ!)」と言うと、運転手を責める感じがするので、もしかすると逆ギレに合う恐れあり。
7.自動アナウンスが壊れている
近年、TTCも技術革新により次の停車駅を自動アナウンスが紹介してくれるようになったが、そのアナウンスが壊れていることは全く珍しくない。運転手も故障の直しかたを知らないことが多く、結局次の駅がどこで何という名前なのかさっぱりわからないまま走り続ける。バスで馴染の無い駅で降りる場合には、運転手に予め「I want to get off at “xx”. Would you let me know when you get to the stop? (私、XXで降りたいんですけど、その駅になったら知らせてもらえますか?)」と言って運転手の近くの席に座っておくと安心。
8.降りようと思ったらドアが開かない
何かと車両不備の多いTTC。バスでは車両後方のドアをいくら押しても開かないことは割とよくあること。そんなときは、運転手に知らせて開けてもらうか、前方のドアから降車しよう。一方で、地下鉄でドアが開くのを待っていると、隣のドアの人は既に降りている、というドッキリがあることも。気づき次第、すぐに降りるしかない。
9.毎年のように値上がりする
年々、サービスが少しずつ良くなっているTTC。それに合わせるかのように、乗車賃や定期が値上がりしているので、乗客としては「今年は何が値上がりするのか」という心持ち。ちなみに、メトロパス(月額定期)に至っては2006年頃には約85ドル程だったものが2016年現在では約147ドルと、過去の値上げが重なっておよそ42%増しの値段になっている。
10.何かとおしゃべり好きな人が多い
そもそもおしゃべり好きであることが多いカナダ人。TTCを利用していると何かとそれを改めて実感させられる。地下鉄の運転手用の窓を開けて駅員と雑談、バスの運転中に信号停止でたまたま隣になったバスとわざわざドアを開けて会話、長い道中お客さんと世間話などなど、公で会話を楽しむTTC社員の姿は珍しくないが、時にそれが原因で発車時刻が遅れることも・・・。それでも何かと大目に見てあげる心の余裕があるのがトロント市民なのだろう。
終わりに
いかがでしたか?なんだか悪いことばかりのように聞こえるかもしれませんが、どれも人間が運営・管理するからこそ起きるミス。近年ではサービス改善・向上に力を入れているだけに、筆者が初渡加した13年前に比べれば随分と良くなりました。
今後もますますサービス改善が期待される中、TTC利用中に遭遇するこれらのシチュエーションは、日本ではあまり例のないことで驚くこともあるかもしれません。「日本のようにバスや地下鉄が運行されない!」と怒るのではなく、「これがトロント、TTCなんだな。」と大目に見る目を持つことで、トロントでの留学生活をよりエンジョイできるのではないでしょうか。
しかし、行き過ぎた行為にはハッキリと苦情を申し立てることを忘れずに!