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優秀な人が陥る?自分の能力を過小評価する「インポスター症候群(Impostor syndrome)」とは?
芸能人など社会的に成功を収めた人が突如、自分の成功や達成を肯定的に捉えることができず「自分は詐欺師である」と思い込んでしまう「インポスター症候群(Impostor syndrome)」をご存知でしょうか?このインポスター症候群ですが、近年では有名人だけじゃなく、研究などで多忙を極める大学院生の間でも陥ってしまう人がいるようです。ここでは、そんなインポスター症候群と、逆に「能力の低い人が自身を過剰に評価してしまう」心理状態である「ダニング=クルーガー効果」についてご紹介します。
成功者が陥る「自己評価を低く」見る心理状態「インポスター症候群(Impostor syndrome)」とは?
インポスター症候群(英:Impostor syndrome)という言葉をご存知でしょうか?「Impostor」とは英語で「詐欺師」の意味で「Syndrome」は「〜症候群」を意味します。
インポスター症候群とは、仕事などで何かを達成したり成功した場合でも、自分の力によるものだと考えることができず、自己評価を低くしてしまう心理状態のことです。具体的には、以下のような症状が挙げられます。
- 成功は運がよかったため
- 自分は詐欺師で、成功に値しないと思ってしまう
- 能力があって数々の栄誉がありながらも、能力があるように見せかけて手に入れた成功だと思ってしまう
ハリー・ポッターシリーズ主演女優「エマ・ワトソン」もインポスター症候群?
この言葉が広く聞かれるようになったのは、ハリー・ポッターシリーズに出演した女優エマ・ワトソン自身の告白による影響が大きいようです。
映画の興行の世界的成功に加え学業も修めたエマ・ワトソンは、単に運が良かっただけで、そんな自分が詐欺師であるように感じ、自分に能力がないことを見破られてしまうのではないか、という思いに苛まれるというのです。
参考リンク:VOGUE UK 2015「Emma Watson Covers September Vogue」
有名人だけじゃない!大学院生にも広がるインポスター症候群
エマ・ワトソンの告白は一般の人には謙遜にも捉えられるかもしれません。ですが、この症状は彼女のような有名人だけでなく、学生、特に大学院生の間でも男女を問わずよく見られる症状のようです。
マンガで分かる!海外の博士課程学生(PhD student)の日常とは? でもご紹介した、博士課程学生に関する漫画 PhDコミックス と xkcd でも、このトピックを取り上げています。
筆者のパートナーはスペインにて、とある理系の分野で研究者として大学に所属しております。数学、物理の基礎知識に加え、英語力、プログラミング力も必要な「高度な分野」であるのにも関わらず、本人曰く、自身の能力を肯定的に捉えられない、不安に押しつぶされそうになる、とのことです。
インポスター症候群を克服するコツ
では、どのようにしてインポスター症候群を克服していくのでしょうか。博士号習得までには数々の試練があります。ひとつひとつ成功体験を重ねていき「自分は大丈夫だと」自身に言い聞かせる。地味な方法ですが、こうして博士になっていった人が周りには多かったです。
アメリカのビジネス関連に関するメディア Inc. では、インポスター症候群を克服する13の方法として、以下の通り挙げています。
インポスター症候群を克服する13の方法
- 現在に目を向ける
- 自分が知らないことリストにする
- スマートな人々の中に身を置く
- 大きな問題は解体する
- 全てを知っている人などいないことを受け入れる
- 自分の問題を認める
- 褒め言葉をきちんと聞く
- 成功を運のおかげにしない
- 言葉遣いを変える
- 日記をつける
- 完璧を信じるのをやめる
- 謙虚さを強みとして認識する
- 手伝いを受け入れる
参考リンク:Inc.com「13 Ways to Fight Back Against Impostor Syndrome」
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逆に実際よりも高い評価を行う「ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)」
自己評価を低く見る心理状態であるインポスター症候群に対し、能力の低い人が実際よりも高い評価を行う「ダニング=クルーガー効果(英:Dunning–Kruger effect)」という現象があります。この効果を定義したコーネル大学のダニング(David Dunning)とクルーガー(Justin Kruger)の2人の名前を取ってこのように呼ばれています。
ダニング=クルーガー効果とは、能力の低い人は自身の能力、または他者の能力を理解したり推測することができないため「自分はとても賢い人だ」と錯覚してしまう(過大評価をしてしまう)傾向があるというものです。脳科学者の池谷裕二先生によると、このような錯覚は「認知バイアス」と呼ぶそうです。
また、同氏によると、能力が低い人が「自分はできる人」だと錯覚した状態になり、自分を棚に上げて他人の例を挙げ始める状態を、ダニング=クルーガー効果の亜種で「バイアスの盲点」と呼び、これは脳が無意識に判断ミスをすることであって、脳にはこういった思考癖があるとのことです。
参考リンク:現代ビジネス「なぜ能力の低い人ほど自分を「過大評価」するのか」
ダニング=クルーガー効果に陥らないようにするには?
能力が低い(できない)人が「賢いレベルの人は一体どのようなスキルや知識が広がっているのか」を想像することができないのは、世界が自身のレベルで止まっているからだと、筆者は思います。
最近はSNSを通して自分の主張が容易であるため、根拠のない声高な発言が散見されるように感じます。「井の中の蛙大海を知らず」のことわざ通りです。
自分自身が偏った認識を持たないためには、このような現象があることを意識し、広い気持ちで接するべきなのでしょう。
まとめ
以上、自己評価を低く見る心理状態である「インポスター症候群(Impostor syndrome)」と、逆に、実際よりも高い評価を行う「ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)」についてご紹介しました。
留学生活中、突如自分自身に自信を持てなくなったときは「インポスター症候群」の可能性があります。克服するのは大変なことですが「インポスター症候群」の存在自体を知っているだけでも、少しは客観的に物事を見ることができるかもしれません。
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